GLORY HILL @ 恵比寿リキッドルーム

GLORY HILL @ 恵比寿リキッドルーム
地元名古屋での2公演を皮切りにスタートした、ニュー・シングル『DAYS』(周知のとおり“DAYS”は名古屋グランパスのオフィシャル・サポーターズ・ソングだ)を引っ提げてのGLORY HILL初のワンマン全国ツアー。6都市8公演を締めくくる、リキッドルームでの2日目である。生憎の雨にもかかわらず、恵比寿駅のコインロッカーに荷物を預け、Tシャツ一枚で会場に赴くパンク・キッズもちらほらと見かけた。

大音量のオープニングSEとストロボの洪水、そして歓声の中にメンバーが登場し、KENSAKUの硬質なスネアがフロアをつんざく。まずは『DAYS』収録曲の“Stay Awake”でスタートだ。ゴリッとしたリフから、サビではメロディックに走り出す。TAKUYA(Vo/G)とJYUNYAの(G)の豊かなハーモニー・ワークを絡めつつ、“Why I’m me”で更に加速する鉄壁のアンサンブルである。それに比例して、会場内の温度・湿度もグイグイと上昇線を描いてゆく。

TAKUYAが「もっと、もっとこーい!」と煽り立て、“Up to you”ではさっそく盛大なoiコールが繰り広げられた。2速発進して次の瞬間にはもうトップ・ギアにぶち込むような、ありとあらゆる憂鬱を突き抜けて置き去りにしてゆくスピード感。なのだが、爆走するだけではなく歌詞の物語に応じて拍の強弱にメリハリを効かせるKENSAKUのドラミングといい、自分のコーラス・パートでないときもオーディエンスを見据えてずっと歌詞を口の中で転がしているKo-01(B)といい、GLORY HILLはメンバー全員で一丸となって「歌」に向き合っている感じがすごくいい。バンドなんだから当たり前じゃんと思うかも知れないけど、そうでもない。バンドによっては、「あまり歌詞のことよく分かってない」っていうメンバーがいることもある。そういう人は音そのものへの気配りの比重が大きかったりするのでどちらが正しいというわけではないのだけど、GLORY HILLの場合はこの「歌」に向き合う姿勢が〈だって「メロディック」・パンクじゃん〉というアティテュードに直結している印象があって、なんというか、とても理に適っている感じがする。

「ちょえーい!!」。“Carry on”をプレイしたところで、Ko-01のMCタイムだ。「昨日、KENSAKUの車、ボルボで、帰ったんだけど。途中で後ろからびったりパトカーがつけてくるのね。止まりなさーい、って言われて。何だろ、ブレーキランプ切れてたりすんのと思って。したら、ブレーキランプが切れてます、だって。案の定だよ! で、お巡りさんは、こっち系(腕に注射器を刺すジェスチャー)が気になるらしくて。一応、ダッシュボードの中見せて、って言われてさ。KENSUKEは、通帳が入ってる、って言うんだけど。開けたら、コンドーム出てきちゃって! お巡りさんも、コレは危ないですねー、とか乗っかってきちゃって。お巡りさんありがとー! 今日、お客さんに絶対これ言おうと思って。ばっちりウケて、テンション上がってまーす!」。はっはっは。ナイス、ツアー小咄。あと、ナイスエモ。初のワンマン・ツアー、この時点で大成功である。

“DAYBREAK”では途中、歌メロをオーディエンスに預けてみせた。バンド一丸で歌に向き合う姿勢が感じられるから、シンガロングにせよこうした場面にせよ、オーディエンスがスムーズに歌の中に入ってゆける求心力が働いているようにも思う。美しいギターのイントロ・フレーズが聴こえたところで歓声があがる。“イノセント”である。このところよく披露されるようになった日本語詞の楽曲は、やはり歌われるべき歌としての敷居の低さが強みだ。というか、もともと彼らの楽曲は英語詞のメロディック・パンクなのに英語圏のバンドでは余り耳にしないメロディというか、あくまでもGLORY HILLの声にフィットするメロディとして書かれているフシがあるため、日本語詞が挟み込まれてもまったく違和感がない。クライマックスに配置された“All night alone”、そしてスピードや爆発力よりも多くの人に歌われることを曲自体が望んでいた“DAYS”は、日本語詞スタイルの現時点での結実として、フロアに響き渡っていた。

なお、アンコールでは新曲“Cosmic Fly”もお披露目された。こちらは英語詞だが、疾走感の中にもめまぐるしくアレンジが変化し、様々なギター・フレーズが登場するかっこいい曲だ。7月のリリースを楽しみにしていて欲しい。(小池宏和)

1.Stay Awake.
2.Why I’m me
3.Time to promise
4.ステアウェイ
5.Up to you
6.Cried out
7.Endless Summer
8.The world says
9.end of truth
10.Carry on
11.DAYBREAK
12.Forget
13.KISS AWAY
14.イノセント
15.BRAVE DRIVE
16.Everything
17.All night alone
18.DAYS

アンコール
19.Cosmic Fly
20.Get up
21.Stardust
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