MINE★ROCK FESTIVAL @ 新木場スタジオコースト

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MINE★ROCK FESTIVAL @ 新木場スタジオコースト - サニーデイ・サービスサニーデイ・サービス
MINE★ROCK FESTIVAL @ 新木場スタジオコースト - SCOOBIE DOSCOOBIE DO
昨年11月14日の私のブログにも書きましたが(ここ→http://ro69.jp/blog/hyogo/27612)、そしてリアルタイムでブログで中継もやりましたが、ローディ・ミネさんプレゼンツ・彼の関わっているバンド大集合イベント=その名も「MINE★ROCK FESTIVAL」、全行程、大成功に終わりました。
何をもって大成功と言っているのかというと、

・運営自体が大変に順調だった(どう順調だったかは私のブログ参照)
・お客さんもバンドもみんなとても楽しそうだった
・で、頭から最後まで付き合った自分も、ほんとに、大変に楽しかった

という3点においてです。
では、ざっとレポート。カメラマン橋本塁主催の「SOUND SHOOTER」みたいに、最初に主催者の前説があったりするのかと思っていたら、特にそういうのはなく、SEもなく、客電が消えてスッと始まりました。


ZAZEN BOYS

1.SEKARASIKA
2.SI・GE・KI
3.Honnoji
4.Himitsu Girl’s Top Secret
5.Whisky & Unubore
6.Riff Man
7.Asobi

トップからいきなりZAZEN、という、意外な始まり方。で、上記の通りの、ここんとこのライブにおけるZAZENの鉄板なセットリストでもって、そして「セカラシカ!」「シゲキがほしくてたまらない」「本能寺で待ってる!」等の、鉄板な向井のシャウトでもって、どんどん空気をZAZEN色に染めていく。
「ローディの人が企画するイベントに出るのは、初めてです」
「ミネくんとは、私は10年くらい一緒に仕事していまして。非常に優秀な、ローディです。でも、そのミネくんが、イベントを企画する意味を、私、いまだ、探しております」
というMCで、場がちょっと和むも、曲が始まるとあっという間にカオスな空気に戻る。
特に圧巻だったのはケツ2曲、“Riff Man”“Asobi”の2連打。前者はほとんどツェッペリンのようなすさまじさ、後者はアンビエントのごとき荘厳さながら、いずれも「音で異空間ができている」感じは、もう筆舌に尽くしがたいものがありました。すごいバンドだなあ。


a flood of circle

1.春の嵐
2.泥水のメロディー
3.BUFFALO DANCE
4.博士の異常な愛情
5.PARADOX
6.プシケ
7.世界は君のもの

最初は、暴れ方にちょっと必死さが見えたけど、「誰だこいつらって感じだと思うんですけど、a flood of circleというバンドです。“a”だけでいいんで覚えて帰ってください」というMCで場をつかんでから、目に見えて調子が変わってのびのびと爆発し始め、そのペースで最後まで走りきった、そんなライブだった。若いから経験値がそのまま実力として身につく、というのもあるんだろうけど、観るたびにあからさまによくなっていく、このバンド。あと、いかにも今のバンドな感じのサウンド・プロダクトの中に、たまーに、僕くらいの世代が「あ、これこれ」と思うような、昔の日本のロックが持っていた危険な匂いが混じる瞬間があるのがおもしろい。


音速ライン

1.Our Song
2.ロレッタ
3.恋の魔法
4.青春色
5.みずいろの町
6.逢いたい
7.週末旅行

音速ラインの最大の武器であるところの、ニッポンニューミュージック・メロディが爆発しまくる鉄壁のセットリスト。と一瞬思ったんだけど、藤井の曲ってすべてそうですね、考えたら。いずれにせよ、それを堪能できる至福の時間でした。
って、前にどっかで「ニューミュージック」って言葉を使ったら「何それ」と言われたことがあるので、説明しておきます。70年代の半ばくらいから、それまで歌謡曲のみで占められていた日本のチャートに、フォークとかロックとかそこらへんの匂いを持ったタイプの音楽が入り始めて、そのへんのものたちを、おそらく「これまでと違う何か新しいもの」みたいな意味合いで、「ニューミュージック」と総称するようになったのです。でもヒットチャートに入るわけだから、当時にもコアなロックやコアなフォークはあったわけですが、それらに比べると、ポップなものというか歌謡曲寄りである、みたいな意味合いも入っていると思う。たとえばそれがオフコースだったりチューリップだったり、さだまさしだったり原田真治だったり、ツイストだったりゴダイゴだったりするわけですが、音速ラインのメロディには、その中でも70年代後期から80年代に入るあたりの頃のそれの感じがあるのです。特に近いなあと僕が感じるのは、来生たかおと、故・村下孝蔵のメロディ。涙腺にきまくる感じ。って、明らかに、ニューミュージックの説明で行数使いすぎ。
藤井「うちのバンド、僕が特にそうだけど、楽器のこと全然わかんなくて。ミネさんがいないとダメなんですよ」という前置きをして、4曲目“青春色”の歌いだし「きみなしじゃ」を「ミネなしじゃ」と変えて歌い、喝采を浴びておられました。


monobright

1.JOYJOYエクスペリエンス
2.踊る脳
3.魔法のライター
4.孤独の太陽
5.あの透明感と少年
6.SGS
7.アナタMAGIC

「曲書けてギター弾けてでっかい声で歌が歌える江頭2:50」としての桃野陽介、アタマっからケツまではじけっぱなし。の最高なステージでした。自分たちの曲に対してもはじけてたし、お客さんに対してもはじけてたし、ミネさんに対してもはじけてた。桃野曰く、ミネさんのフルネームは、「ミネトモヒロ」だから、そのネットワークは「TMネットワーク」だそうです。「ここで今日、こんな大きなTMネットワークができるなんて、思っていましたかみなさん! 僕は思ってませんでした! 3人くらいかと思ってました!」と、言ってること若干支離滅裂、でもウケてる。
そして、「みなさんと一緒に盛り上がりたいのはもちろんだけど、その前に1曲だけ、トモヒロ・ミネにプレゼントしてもよろしいでしょうか? ていうか正直、やれやれってうるさかったんだよ!」と、“魔法のライター”をプレイ。それにしても、ブログでも書いたけど、桃野が圧倒的なのは前からだけど、3人が目に見えてよくなっている気がする。特にギター松下、グレッチから出る音出る音、もうかっこよすぎ。聴き入ってしまった。


サンボマスター

1.そのぬくもりに用がある
2.世界をかえさせておくれよ
3.できっこないを やらなくちゃ
4.ラブソング
5.美しき人間の日々
6.手紙
7.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ


普通こういうイベントとかフェスというのは、前もって運営側にセットリストを提出することが求められるものですが、「当日会場入りしてほんとにギリギリになるまでセットリストを出さないバンド」として悪名高いサンボマスターが5番手。本番直前に楽屋へ行ったら山口&コンちゃんしかいなくて「あれ? 来てたんですか兵庫さん」「いいからセットリストちょうだい」ってもらってきたのが、上のものです。
で。年末のCOUNTDOWN JAPANでのライブの時も思ったけど(ものすごい大入り満員&大ウケだったのです)、ちょっとサンボ、今、きてるかも。と感じさせるステージだった。
一回どかーんときて、そのあと落ち着いて(というかあえてああいう3rdアルバムを作って自ら落ち着かせたフシもある)、現在に至っているわけだけど、ちょっとなんかまた起きるんじゃないの? という匂いが、ステージ上の3人のたたずまいにあるのだ。
新しい曲たちには、さらにそれが強くある。以前ならラストにやっていた“そのぬくもりに用がある”を1曲目にやったのも、そのあとの最近の曲たちに自信があるせいではないか。特に、3曲目=来月リリースのニューシングル“できっこないをやらなくちゃ”と、続く“ラブソング”。デビューの頃のブルーハーツを思わせるくらいストレートなポジティブ・ソングから、昨年秋にリリースされて聴くものすべての度肝をぬいた、このどバラードへの流れは、相当なもんでした。


サニーデイ・サービス

1.忘れてしまおう
2.真赤な太陽
3.経験
4.カーニバルの灯
5.ふたつのハート
6.ここで逢いましょう
7.恋におちたら
8.週末

2,6,7は、サニーデイのライブにおける定番だからわかるけど、それ以外はちょっと意外なセットリスト。3,4と『24時』の曲が続いているあたり、なんか意味深。と思ったんだけど、あとできいたら、単に各自がやりたい曲を持ち寄ったらこうなったそうです。
なお、5は新曲。このライブの翌日にマスタリングをやって完成する、ニュー・アルバムに入るそうです。ソカバンでもランデヴーバンドでもない、サニーデイならではな感じの、メロウな名曲です。
あと、バンドっておもしろいなあとつくづく思った。復活以降のサニーデイ、最初の一昨年のライジング・サン出演時は5人だったけど、それ以降は基本的にサポートなし、メンバーのみの3人だけでライブをやっている。そうするとどうなるかというと、スカスカになるのです。ノイジーな瞬間もラウドな瞬間もあるんだけど(6のおなじみ長尺ギターソロとか)、全体にはヘロヘロしている。初期ぺイヴメントみたい。後期もか、ある意味。
それの何がおもしろいのかというと、そのスカスカヘロヘロっぷりが、「ああ、ドラムの晴茂くん、ブランク長かったからなあ、曽我部・田中もそれにひっぱられてるんだろうなあ」では決してないところ。むしろ晴茂くんは、レコーディングを経たせいか、明らかに夏よりもよくなっていて、往年のあのノリが戻ってきていた。でも曽我部、歌は見事なもんだけど、ギターは、ソカバンやソロやランデヴーバンドで年間100本以上のライブを何年も続けてきたのが信じられないくらい、簡素でスカスカな感じになっている。田中のベースも同じ。最近他のユニットで弾いているのを観たけど、その時の方がしっかりと太く感じられた。
つまり、サニーデイだと、こうなるということだ。だから、それがサニーデイだということだ。
どうでしょう。おもしろいでしょうそれは。まさにバンドだなあと思いました。


SCOOBIE DO

1.トラウマティック・ガール
2.OH YEAH! OH YEAH! OH YEAH!
3.真夜中のダンスホール
4.恋は魔法
5.TIGHTEN UP
6.Back On
7.MIGHTY SWING

アンコール
8.夕焼けのメロディ

サウンドチェックで、山下達郎“RIDE ON TIME”のカバーをやって、その段階で既に大盛り上がり。で、「リハでした!」って言っていったんひっこんで、本編が始まって出てきて、1曲目、“トラウマティック・ガール”からもうあおるあおる、フロアとぶとぶ。と思ったら、曲の途中でいったんブレイクしてのMC。
「この『MINE★ROCK FES.』、先ほどの大トリ、サニーデイ・サービスで、いったん終わっております。ここからは、ミネさんのご厚意で、公開打ち上げとして行わせていただきます!」
これでさらにアガった。フロア、もうワンマンのよう。で、そのままアンコールまで一気。特に5,6,7のたたみかけかたは圧巻でした。
今日のメンツで考えると、サニーデイとZAZENというのは、彼らにとって先輩であるだけでなく、「元マネージャーがいるバンド」(田中)と「元エンジニア兼サウンド・プロデューサーがいるバンド」(向井)だったわけだけど、それでも「うん、確かにきみたちがトリ! ほかはありえない!」と言いたくなるステージだった。ある意味、出演者中でもっとも、このイベントを背負っていたと思う。偉い。
アンコールがかかり、再登場。コヤマシュウ、ミネさんをステージにひっぱりだして挨拶をさせたあと(ミネさん、「Tシャツ買ってください!」という切実なアピールをする)デビュー曲“夕焼けのメロディ”でシメ。
7バンド、6時間50分にわたるフェスは、大成功と言っていい、本当にいいムードの中、幕を閉じた。


しかし。ミネさん、前説とかをするわけでもないし、まんなかへんでは一応出てきたけど、最後に出てきた時なんて無理やりっぽかった(一応挨拶はしたけど、何も準備していなかった感じだった)。つまり、「俺はこういうイベントをやりたいんだ」という自己アピールをしたい感、ゼロ。「俺が声かければこれだけ集まるんだ」感もゼロ。要は「俺が俺が」みたいなものが、ない。じゃあ商売なのかというと、このキャパでこのメンツでこのチケット代では、どう考えても儲からない。もしかして、これらのすばらしいバンドが揃うイベントを自分が観たかったのか? というと、そもそも職業上、観れない。
というわけで、ただただひたすらソデでいつもの業務を7バンド分遂行し続けるミネさんを見て、向井と同じように「なんでやったんだろう?」と、終始疑問でした。
で、終わっても疑問のままで、答えはひとつしか出ませんでした。
ただただ、やりたかった。それだけだと思います。そのピュアさに貫かれたフェスでした。(兵庫慎司)
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