LOUD PARK 10(2日目)@ さいたまスーパーアリーナ

昨日に続き、日本最大のメタル/ラウド・ロック系ロックの祭典「LOUD PARK」レポを現地よりお届けします。開演の時点で、大盛況の1日目より参加者の出足は明らかに早く、ただでさえ例年より暖かい陽気に、黒シャツ・オーディエンスの熱気が拍車をかけている。それもそのはず、来場者数は1日目:12,000人に対し、2日目は14,000人。「土日にかけてのフェスは日曜日は(みんな月曜日の都合を考えるため)動員が鈍る」という常識をあっさり覆す動員分布。そう、地球が誇るヘヴィ・メタル・モンスター=OZZY OSBOURNEをヘッドライナーに戴いたLOUD PARKの2日目は、「ULTIMATE STAGE」も「BIG ROCK STAGE」も、朝から熱いアツい! 

カナダ発の3 INCHES OF BLOODがメロディアス&ハード・エッジな爆音を鳴らしたかと思うと、TRASH TALKはVo・リーの流血パフォーマンスとUSハードコアの粋を集めたサウンドの剛性でスーパーアリーナを圧倒し、フィンランドのRECKLESS LOVEはとても21世紀のバンドとは思えないくらいの一点の曇りもない80年代LAメタルっぷりでフロアの度肝を抜く。耳をつんざく爆音博覧会たるLOUD PARKにあって、ペンシルバニアのHR新星=HALESTORMの紅一点ボーカル=リジー・ヘイルは「声こそ最大の楽器」という証明のような圧巻の絶唱で、初来日にもかかわらずあっという間に会場を制圧。バイオリンにアコーディオンまで擁し、黄泉の国を旅するバイキングのような禍々しい姿で登場したフィンランドの6人組=TURISASは、ホーン・サウンドにクワイアにシンフォニック・アレンジまで盛り込んだ一大戦記絵巻のようなドラマチックな音像を描き出していく。前半戦ラストを飾ったのはカナダ・ハードコアの精鋭=ALEXISONFIRE。メロディアスでソリッドな楽曲、鋭利で硬質なアンサンブル。ロックのその先へと生き急ぐような、実にストイックなアクトだった。

2日目唯一の日本人アクトとなった古豪メタル・ギタリスト=KUNIは、80年代サヴァイヴァーの怨念と迫力を感じさせる圧巻のプレイを展開! 北欧メタルの妖気と、オルガンの響きと、古き良きブリティッシュ・ハード・ロックの質実剛健感を幾重にも織り重ねたようなサウンドで、BIG ROCK STAGEのみならず隣のULTIMATE STAGE前や後方エリアまで満員にしてみせたのは、スウェーデンの雄=SPIRITUAL BEGGARS!(G・マイケルはARCH ENEMYと再結成CARCASSも含めLOUD PARK皆勤賞!)。バイオリンをフィーチャーした重厚なメロディック・パワー・メタルでLOUD PARKを震撼させたのはもちろん、ブラジルの巨星ANGRA! 地球の反対側からメロディック重金属の大津波が押し寄せてきたようなクラシカル&壮麗な音の壁&エドゥの絶唱に、恐怖にも似た凄絶な悦楽が会場をでっかく支配したのは言うまでもない。この頃になると、ライブが行われているのがBIG ROCK STAGE側だろうがULTIMATE STAGE側だろうがスタンディング・エリアは人でびっちり、という状態になっている。

2日間の轟音競宴もいよいよ終盤戦。まずは大英帝国のメタル・レジェンド=モーターヘッドがオン・ステージすると、会場の空気に強烈なヴァイブが走る。どたばたばしゃばしゃとやかましくドラム・セットを打ち鳴らす野性的なプレイが逆に心地好いミッキーのドラミング。打ち上がったばかりの鋼のようにソリッドに燃え盛るフィルのギター! そして何よりレミー64歳の、スクリームともシャウトとも形容しようのない唯一無二のダミ声! テクニックやアレンジではいっくらでも彼らより高度なことをやってるバンドはいるが、この、1音1音すべてがナパーム級の破壊力を(しかもたった3人で)放つような迫力は、出そうったって出せるものではない。スラッシュ・メタルというよりは鋼鉄ロックンロールとでも言うべき、奈落の底への疾走感。“アイアン・フィスト”にしても“エース・オブ・スペード”にしても、ラストの“オーヴァーキル”にしても、もう最高。

ラス前を飾ったのは、今や「メタル新時代の寵児」から「新たなワールドワイド・メタル・スター」へと成長を遂げたAVENGED SEVENFOLD! ドラマー=ザ・レヴの急死をも乗り越え、元ドリームシアターのマイク・ポートノイのサポートを得てこの日のステージに立った彼らの、びりびりと空気を震わせるようなテンション! 彼らの場合、様式美としてのメタルを追求したバンドというよりは、混沌とした時代の中でよりドラマチックでダイナミックで鮮烈で鋭利な表現を目指したその先に、数々のメタル・レジェンドと同じ地平に立った――とでもいうような、「今」との密接なリンクを感じさせる。彼らがメタルを必要としたというよりは、時代がメタルを必要とし、アヴェンジドを今の音へと進化させた、ということかもしれない。違うかもしれない。いずれにしても、メタルは今の時代に確実に「生きて」いることを完膚なきまでに痛感させる、渾身のアクトだったことは間違いない。Vo=M.シャドウズが掲げたフラッグには、亡き盟友を偲んだ「foREVer」の文字。感動的なステージングに、フロアも特大の渦巻き模様を描いて応えている。

そして! UKが生んだメタルの妖怪……もといメタル・ゴッド、OZZY OSBOURNE! アンプ・スピーカー12発積みのガス・Gの爆音を切り裂くように朗々と響き渡る、オジー御大62歳のボーカリゼーション! 1曲目の“バーク・アット・ザ・ムーン”から割れんばかりのクラップ&合唱に包まれるさいたまスーパーアリーナ! 年相応に腹も出てるし、足取りこそ覚束ないし、途中のドラム・ソロという名の休憩がえらく長かったりしたものの、“ミスター・クロウリー”のチャーチ・オルガンの冷徹な響きやガス・Gの爆裂ギターも含めたすべてを自らの世界の舞台装置としてオーガナイズしてみせる支配力はさすが。メタルに魂を売り渡したのかメタルを乗っ取ったのか判然としないほどにメタルと一体化したその佇まいには、もはや感激を通り越して戦慄するしかない。LOUD PARKに先駆けて行われた単独公演の時と同様、バケツの水を頭からざんぶとかぶり、最前列のオーディエンスに向けてだか係員に向けてだかわからないくらいにざんぶとぶっかけてみせるオジー。全身から水をしたたらせながら、オーディエンスをさいたまスーパーアリーナをダークな歓喜でいっぱいにして、アンコールの最後にはブラック・サバスのナンバー“パラノイド”を叩きつけ、約90分に及ぶステージを締め括ったオジー。スタンド激震! 総立ちのオーディエンスの大歓声の中、5年目のLOUD PARK、堂々の大団円!(高橋智樹)


*なお、初日のライブレポートはこちら。http://ro69.jp/live/detail/41716
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