knotlamp @ SHIBUYA O-EAST

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セカンド・フル・アルバム『Dot of the Galaxy』を引っ提げての全国ツアーは、7月から約3ヶ月に及ぶ対バン・シリーズを経て、さらに6都市でのワンマン公演へ。いよいよその千秋楽となる東京・SHIBUYA O-EASTを迎えていた。ステージに姿を現すなり、新作のオープニング・ナンバーでもある“Into the sky”を皮切りに性急かつメロディアスな楽曲群を叩き付ける4人。KEIT(Vo./G.)とTOHRU(B./Cho.)によるボーカルのハーモニーを煌めかせつつ、早々にフロアを黒い荒海の如くうねらせてしまっていた。

序盤は旧作からの楽曲をいくつか交えながらも、『Dot of the Galaxy』のアッパー・サイドをこれでもかと浴びせかけてゆく。ときに雄々しい響きの煽り文句を絡め、ファストなパンク・ビートに溢れ出る優しい歌を紡ぎ上げてゆくKEIT。言葉よりもとにかく曲また曲というふうに、このスピード感の中で描かれてゆく彼の美メロ乱舞なパフォーマンスは、流麗でありながらも何か塊になって押し寄せる意志を感じさせるものになっていた。

KEIT、TOHRUらと横一線に並ぶようにステージ上手に立ち、たった一本のギターを「これが俺の音だ」とばかりにエモーショナルに掻き鳴らすのは、今ツアー途中からknotlampに参加しているサポート・メンバーのRYOだ。彼のイントロ・リフがOIコールを巻き起こしてスタートした“End the Worst days”では、前線の3人が同時にステージの淵に躍り出てきて歓声を誘う。RYOはテクニカルな単音メロディのフレーズを弾きまくるというよりも、様々なフレーズを直感的に組み合わせて鳴らすタイプのギタリストであり、人格や抱えた思いがすべてその指先に集中し一本のギターに伝わってゆくような、以前のknotlampとはまた一味違うロックのテイストを持ち込んでいた。

「ツアー・ファイナルってのは、いつも一回しかないけん。記念すべきノリでよろしく!」とKEITが挨拶する。長いツアーの終わりに、培われた経験がジグソーパズルのように組み合わさって一枚絵として完成した姿を見せるバンドもあるけれど、今回のknotlampはそれとは少し印象が違っていた。多くのファンが出迎えるファイナル公演へと辿り着いた喜びや感謝の念、味わってきた苦しみに対する思いなどが一緒くたになって、そうした思いの強さがサウンドに宿って迸るようなステージなのである。

地べたに足を着けた状態から、どこまでも高く昇り詰めてゆくKEITのメロディ・ライン。“Fragment”が鳴り止んだところで、フロアのあちらこちらから「最高―!」の声が上がる。そして4人はチャーミングな歌い出しから爆発する“Liberty bell”、ロシア民謡のようなマイナー・コードのメロディで走る“Coda”、TOHRUの跳ね回るようなベース・ラインとともに情感豊かに迫る“My steady faith”と、そのソング・ライティングの更なる引き出しを開け放ってゆくのであった。

この日、一睡もすることができずにステージに臨んだというAKIHIKO(Dr.)は「この景色が見れんかもしれんと思った日もあった」と語る。またKEITは「まだ大丈夫だよね? やるんだったら本気で楽しもうよ。俺らもいろんなもの失いながらここまで来たけど、今日は一番前向きな気持ちを持って帰りたいからさ」と告げていた。そんな彼らの言葉が、knotlampの2010年は決して平坦な道程ではなかったことを説明している。難航を極め、リリースがツアー日程中にまで押したアルバム制作。ツアー途中での突然のメンバーの脱退。バンドとして直面しうる大きな困難の数々が、ほんの数ヶ月の間に立て続けに彼らを襲った。もしかしたらバンド全員が、今もそうしたトラブルの影を引き摺ったままなのかも知れない。

そんな彼らの今の思いは、多くの言葉よりも、むしろオーディエンスとの交感の中で新たに育まれる歌に、メロディに、自らの居場所を探し当てていた。「友達に向けて作りました。届くように歌います」と披露された“My world,your world”。生まれ落ちた時点で分かち合われるべき歌としての運命が決定していたかのような“A Star Tribe”。そして《途切れないように 消えないように》という歌詞がフロアに広がるコーラスと重なってゆくさまが美しかった“LAST TRAIN -新しい朝-”。このパンクという枠組みを越えたところで浮かび上がるknotlampのメロディたちは、今回のステージのクライマックスに最も相応しいものに思えた。

今年春に行われたスペシャル・ワンマン公演以来の、KEITの弾き語りからスタートする形で披露される“Until you sleep”など、アンコールとダブルアンコールで5曲。本編と合わせると20曲を越える、今ツアー最多曲数でのファイナルだった。“Libra” でスタンド・マイクをフロアに向けて掲げ、歌をオーディエンスに預けていたKEITは、最後に「また新しいものを追いかけて、明日からがんばります」。という言葉を残して、ステージから去っていったのだった。(小池宏和)

セット・リスト
1:Into the sky
2:Twisted arrows
3:End the Worst days
4:Everlasting star
5:ずっと何処かに
6:Fragment
7:Liberty bell
8:Coda
9:My steady faith
10:Perfect holiday
11:Aerosphere
12:Booster
13:遠くへ
14:My world,your world
15:A Star Tribe
16:LAST TRAIN ー新しい朝ー

EN1-1:Until you sleep
EN1-2:All may not be real
EN1-3:Flag

EN2-1:時の行方
EN2-1:Libra
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