1月~2月のツアーと同様、海外のバンドとともに全国をサーキットする、文字通り「ジャパン・ツアー」形式で行われる今回のツアー。19時の開演とともに、まずはルイジアナ発のエクスペリメンタル・メタル突然変異体=IWRESTLEDABEARONCE(アイ・レッスルド・ア・ベアー・ワンス、以下IWABO)が登場。“ファイナル・カウントダウン”のシンセ・フレーズからストリングス・サウンド、アコーディオン、トランペット、スーパーマリオ(!)のサンプリングまで次々に繰り出しながら、それをイロモノ変態音楽ではなく、核弾頭級のソリッドな轟音へと編み上げてしまう、その音楽情報処理能力の高さと運動神経の高さに思わず舌を巻く。「ファースト・タイム・イン・ジャパン! イッツ・ビューティフル!」と熱気あふれるフロアを見回して満足げに笑いつつ、ヘヴィ・サウンドを貫くスクリームや流麗なファルセットを聴かせていく紅一点Vo・クリスタ。ごく自然に変拍子も織り込みつつ、時にハイハットをスタンドごと抱え上げながらのドラミングを見せるマイキー。何が飛び出すかわからない、爆音玉手箱のような30分だった。
2組目は、前回のツアーでもゲスト参加した(というか、前回はSENSES FAILの来日キャンセルに伴っての急遽出演決定だった)オーストラリア発メロディック・スクリーモの精鋭=CLOSURE IN MOSCOW(クロージャー・イン・モスコー)。キャッチーなエモ曲を力技でハード・エッジなメタルコアに仕立てたかと思えば、突如クリス(Vo)が♪I get up~、I get down~と70年代プログレの代名詞的楽曲=イエス“危機”の一節を歌い始め、そのままフロア全体を合唱へと導いてみせるというジョン・アンダーソンもびっくりの光景が出現したり……という壮大な振れ幅の音楽世界。クリスの直毛長髪&コウモリみたいな腕飾りのついた金ピカのコスチューム(こっちはジョン・アンダーソンというよりはリック・ウェイクマンっぽかった。でも裸足)でハイトーン・ボーカルをZepp狭しとぶん回すクリスの佇まいからは、2010年型のロックの強度と70年代ロックの美学を織り重ねて新たなダイナミズムを生み出そうとする彼らのアティテュードがびしびし伝わってきた。
そして20:35、いよいよFACTの5人がオン・ステージ! 「東京! 祭りの用意はできてんのか!」というEijiの絶叫に、地鳴りのような歓声で応えるオーディエンス! そのまま“Pressure”“Los Angels”の鬼気迫るビートと轟音が炸裂。息苦しいほどの熱気に満ちたZeppのフロア。Aメロ・Bメロ・Cメロといったロックの「お約束」を徹底的に排し、感情と思考のままに形と色を変えるビートと轟音。スラッシュ・メタルの暗黒を抜けた直後に大合唱とか、でっかくジャンプするようなビッグ・ビートから光速ブラスト・ビートへ突入とか、それこそ毎秒毎秒が衝撃映像集!みたいなギリギリのバランスのEiji/Tomohiro(B・Vo)/Takahiro(G・Vo)/Kazuki(G・Vo)のアンサンブルに、巨大なメッセージ性と確固たるエモーションのベクトルを与えていくHiroのボーカル。「東京! ぶちかます準備はいいですか!」というHiroの声に導かれるように、“a fact of life”では会場一丸の大合唱が広がっていく。さらに間髪入れず「速い曲は好きですか!」と“This is the end”、「踊ろうぜ!」と“Paradox”を放射! 11月末とはとても思えないくらい、汗と歓喜が四方八方に飛び散る最高の狂騒空間が生まれている。人力ドラムンベース風のリズムと強靭な8ビートを行き来しながら♪ウォーオーオーと雄叫びのような大合唱を巻き起こした“Dec 2”! 気を抜いたら振り落とされそうな“We do it in our way all the way”の疾走感!……と、次々に音の爆風が押し寄せてくる凄絶な本編は、5人の魂が真っ白にスパークするような“Rise”で大団円!
「今日は嬉しすぎて、しゃべることがないの! しゃべると泣きそうになっちゃうから!」と、アンコールで照れくさそうに叫び上げるEijiの声に、うおおおお!と沸き上がる拍手喝采。アンコールの最後、正真正銘最後の曲は、『In the blink of an eye』の核を成すパワフルなアンセム“Slip of the lip”! 力の限りにでっかくジャンプしていたオーディエンスが、次の瞬間にはモッシュして踊ってーーと、変幻自在な楽曲を誰もが全身で受け止めながら、何よりそのカオスを自分のパワーに変えて楽しんでいることが伝わってきて、思わず嬉しくなった。ツアーは残りあと6本。次は28日(Sun):福島Hip Shot Japanにて!(高橋智樹)