定刻より10分押しの19時40分、暗転と共にブルーの照明とフラッシュ・ライト、雷鳴の効果音が場内に轟き、ドラマの幕開けを告げる(フロアの期待値は張り裂けんばかり!)。大歓声のなか登場したメンバーがアルバム同様“BLUE LIGHTNING”でライブをキック・オフすれば、フロアは盛大なオイ・コールで応え、サビでは早くもクラウド・サーフが勃発!
Hiroshiの軽やかでいてシャープなドラミングを後ろ盾として、ANZAIは悠然とレスポールを掻き鳴らして情感豊かな歌声を響かせる。続いて、Hiroshiの豪快なシンバル連打から“Everything is evanescent”へ。スリリングなキメの連続、そして一気呵成に2ビートへ突入! と、疾走感/インパクト共に絶大なナンバーが場内ボルテージをさらに引き上げ(フロア一面にコブシが!)、続く時速100kmのメロディック・チューン“WEDGE”では、ギター・Shingoが煽って一斉にフロアがジャンプ!
バンドとオーディエンスは互いの想いをぶつけ合うように、頂上めがけて渾然一体となって駆け上がっていくのだった。そう、両者のパートナー・シップはかくも熱く、分かちがたいものなのだ。
実際、クアトロの体感温度は瞬く間に上昇し、上下ヒートテックを着込んできてしまった自分が恨めしいくらい、汗がじわじわ滲み出てくる(何しろ蒸しアチィ!)。そんなフロアにANZAIが呼びかける――「『Keep on smashing blue, TOUR 2011』へようこそ! 今日はみんなでブッ放して行こうぜ!!」。「イエー!!!」と大歓声で応えつつ、一旦静まりかえるフロアに「シンミリすんなよ!(笑)暴れろよ!」とMATSUMURAが吹っかけて、再び“LOSER”、“TODAY”と、一糸乱れぬアンサンブルで畳み掛ける。発せられる全ての熱が、ひと所に向かって一直線に突き進むようなライブ・パフォーマンスは、来年結成10周年を迎えるバンドの円熟と貫禄を感じずにはいられない。
中盤にはMATSUMURAもMC――「やってきました最終日! アッという間でした。3本だしね(笑)。でも、それなりの期待と心配と努力とか、いろんな想いを抱えてやってきました。今日はみんな楽しみましょう!」。続いてANZAIが、長めのMCで思いの丈を届ける。真っ直ぐな決意のこもった感動的なものだったので、要点を書き出しておこう――「『Keep on smashing blue』、“青を壊し続ける”というタイトルなんですけど……。僕たちはとても未熟者で、青二才で、みなさんの力だけでここまで音楽を続けることができています。その未熟な部分をブッ壊していきたいと、常に思ってます。そういう気持ちでアルバムも作りました。絶対変えたくない大切なもの――大きな括りで言ったら、夢とか希望とか、友達とか、いろいろあると思うんですけど、僕らは変わることがとても怖い4人組で。でも、ようやく少しずつ変わっていってもいいんじゃないかという気持ちにもなれ……純粋な気持ちだったり、初期衝動とか、失いたくないものを大切にして、明日からまた力強く歩き出していきたいな思ってます……って、うるせえな!」(いいところで「ダダダダダッ!」とスネア・チューニングするKYなHiroshi!笑)。「とにかく、ワガママでもできるんだっていう。なんの才能もない単なる凡人が何年も音楽を続けられて、ホントにみなさんありがとう! 今日は、がっちり、いろんな感情出していってください。クアトロ熱くしちゃおうぜ! LAST ALLIANCEのリングをみんなで繋げて、ひとつにしていきましょう!」。
勢いだけでなく、“願イ型紋白蝶ガ宙ヲ舞ウ”、“タイムカプセル”などのミドル・チューンでは揺れ動く心情の機微を描くような卓抜した筆力も見せつけ、本編終盤は“Melancholy”、“Proud of Scar”、“片膝の汚れ”と、鉄板ナンバーで攻勢! フロアはもう暴れたい放題に暴れ、声を限りに歌い(フロア後方ではスーツ姿のサラリーマンもコブシ上げて熱唱!)、クアトロの熱気はマックスにまで高まったのだった。
そうそう、本編ラストにはMASUMURAから聞き逃せないお知らせが――「嬉しいニュースと悲しいニュースがあって。まず、悲しいニュースは、しばらく僕ら地下に潜ります。で、嬉しいニュースは……何で地下に潜るかって言うと、来月から新しいアルバムのレコーディングに入ります! 中途半端なものは作らないです。信じてください、僕らの音源は絶対にイイんで。15曲、全部新曲でいきます!」。女子ならずとも「惚れてまうやろー!」と叫びたくなる自信たっぷりの言葉を置き土産に、ダブル・アンコールにも応え文字通り全身全霊でツアーを締め括ったラスアラ。彼らにしてはずいぶんと限られた本数だったが、注ぎ込まれた濃密な熱量はバンドが絶好のコンディションであることを十全に伝えていたと思う。期待に胸膨らませて新作を待つべし!(奥村明裕)
セットリスト
1.BLUE LIGHTNING
2.Everything is evanescent
3.WEDGE
4.サードアイズシンジケート
5.夢想時代
6.LOSER
7.TODAY
8.TAKE OVER
9.Time Will Tell ~ dear youth ~
10.TOMORROW
11.WING
12.NE(W)ROTIC WORLD
13.願イ型紋白蝶ガ宙ヲ舞ウ
14.タイムカプセル
15.一握りの青
16.Melancholy
17.Proud of Scar
18.片膝の汚れ
EN1.置き去りエース
EN2.Looking for the rainy sky
WEN.HEKIREKI