ジャズの名門ブルーノート・レーベルが送り出すポップ・ユニット、ザ・バード&ザ・ビーがフジ・ロックへの出演を経て3ヶ月ぶりにツアーで来日した。ベックやフレーミング・リップスなど錚々たる面子とこれまでも仕事を共にしてきた敏腕サウンドメイカーのグレッグ、かのリトル・フィートのローウェル・ジョージを父に持ち、透き通ったハイトーン・ヴォイスが持ち味のイナラという男女ユニット、ザ・バード&ザ・ビー。ここ日本でも、彼らの魅力が詰まった“アゲイン&アゲイン”がラジオを中心にヒットしているが、この日のライブは、そんな彼らの世界にどっぷりと浸かれるものとなった。
イナラは赤とオレンジ、白の大きな水玉模様のミニドレスに白いタイツとエナメルのヘアバンドで60年代ふうの出で立ち!(ステージにはドレスの模様の色に合わせた風船も) ヴィジュアル、演出へのこだわりもしっかり打ち出されているけど、それはもちろんサウンドあってのもの。曲によって、イナラ&グレッグ、そしてイナラ&グレッグ&バンド、というふうに編成を変えるのだが、女の子ふたりのコーラス隊を従えてのバンド演奏では、60年代を彷彿とさせる味付けが際立つのだ。ちなみにコーラス隊のふたりも、白と黄の色違いのスモックドレスに白ハイソックス、ブロンドヘアー(ウィッグ?)で、これがまた可愛い!! 無数のしゃぼん玉も飛び交い照明できらきら反射するというドリーミーな演出も。
どちらの編成でもどの楽曲でも、そのずば抜けたセンスにただただ感心してしまう。たとえばグレッグは、チェンバロやオルガンの音色から、4つ打ちエレクトロニック・ビートまでを自由に操り、色とりどりのサウンドを奏でていく。さらに、ひとつの楽曲のわずかなパートで、オムニコードやフルートといった楽器が選び抜かれて配置されるのだが、その洗練ぶりにもひたすらため息が出てしまう。まるで秘密の薬をひと匙ずつ注いでいって出来上がっているかのような、不思議なサウンド・タペストリー。人工的なのにオーガニック、煌びやかなのにミニマリスティック。いつまでも漂っていたいライヴ空間だった。(羽鳥麻美)
ザ・バード&ザ・ビー @ 渋谷O-EAST
2007.10.22