the telephones ゲスト:BIGMAMA @ Zepp Tokyo

all pics by 古渓一道
感動的な一夜だった。「ハロー・エブリバディ! ウィー・アー・the telephones、フロム・サイタマ・ジャパン! 『We Love JAPAN!!! TOUR -Season 3-』ファイナル! 伝説的な1日にしようぜ! アー・ユー・ディスコ? カモン・トーキョー! 暴れろー!」という石毛輝の絶叫をきっかけに、the telephonesの楽曲の中に装填されたありとあらゆる「ディスコ!」のエネルギーが満場のZepp Tokyoで一斉爆発したような、笑顔あふれるカオティックなフロアを見ているだけでも感激ものだった。が、それは取りも直さず、「デストロイ!」と中指突き上げる代わりに脇目も振らずに「ディスコ!」と叫び続けることで、ロック・シーンと時代に風穴を開けようと一心不乱に突き進んできたthe telephonesの闘い方の、最高にハッピーな形の結晶に他ならない……ということが、この日会場にいた誰の目にも明らかな、圧巻のアクトだった、ということだ。

「昨年10月&11月の『We Love JAPAN!!! TOUR』全22公演で行けなかった場所を回る」というテーマで3月から全国を巡ってきた『We Love JAPAN!!! TOUR -Season 2-』の続編にして完結編=『We Love JAPAN!!! TOUR -Season 3-』全4公演。6月18日:名古屋CLUB DIAMOND HALL/19日:大阪・なんばHatch/22日:仙台CLUB JUNK BOXと続いてきた同ツアーも、ここZepp Tokyoでいよいよラスト・ラン。同じ事務所の盟友=BIGMAMAを対バン相手に迎えての、堂々のグランド・フィナーレである。

ということで19:05、対バン・ゲストのBIGMAMAがオン・ステージ! “CPX”で勢いよく疾走するギター×2/ベース/ヴァイオリンのロック弦楽四重奏のダイナミズム! ベートーヴェン“運命”とハード・エッジなバンド・サウンドが絡み合いながら高揚感の頂点を目指す“虹を食べたアイリス”! 「今日はtelephonesと、BIGMAMAと、ここにいるみなさんで、最高の夜にしましょう!」という金井政人の言葉よりも早くフロアにはいくつもの渦が生まれ、笑顔で踊り回る、歓喜と熱狂のダンス空間が生まれていた。それにしても、ベートーヴェン“エリーゼのために”を呑み込んだ“テレーゼのため息”といい、ヴィヴァルディ“春”をモチーフにした“走れエロス”といい、これまでほぼプログレかメタルの専売特許状態だった「ロックとクラシックの融合」をDNAレベルでやってのけるようなBIGMAMAの方法論の鮮烈さにはいちいち驚かされる。

金井&柿沼のWギターが極彩色の真剣で斬り合うようなスリル、その上を軽やかに飛翔する東出真緒のヴァイオリンの調べ。ヴァイオリンの弓を時にフェンシングのように、時に指揮棒として振り回しながら、満面の笑顔でオーディエンスを快楽へと導いていく東出の姿は、まさにロックに降り立ったジャンヌ・ダルクのようだった。いや、逆だ。むしろ、ステージ下手の彼女の佇まい&彼女が奏でるヴァイオリンの目映いフレーズがジャンヌ・ダルクの如きラジカルな輝きを発揮できるように、金井/柿沼/安井/リアドのロック4騎士が全身全霊を傾けてラウドでハード・エッジなアンサンブルを構築していく、というバランスなのだろう。「『Roclassick』というアルバムのツアー、対バン・シリーズのファイナルでtelephonesに出てもらって。その時は下北沢ERAっていう150キャパの場所だったんだけど。今回、お返しで呼んでもらったら……でっかくなっちゃった(笑)」と、今回の対バンの由来について語る金井。「音楽やってなかったら残念な生活を送ってたと思うんですけど(笑)、縁があってBIGMAMAっていうバンドをやって、こうしてtelephonesのファイナルに立ち会うことができて、ほんとよかったと思ってます!」。熱い歓声が広がる。ドヴォルザーク“新世界より”と融合した“荒狂曲“シンセカイ””の赤黒いサウンドスケープ、そしてパッヘルベル“カノン”のフレーズを高らかに響かせながらフロアを♪ラララララ~ の大合唱に導いた“計算高いシンデレラ”まで全10曲。これが2年ぶりのZepp Tokyoのステージとはとても信じられないくらいの、風格すら漂うステージだった。
そしてthe telephones! 冒頭から“I Hate DISCOOOOOOO!!!”でZepp丸ごとレーザー光線飛び交う狂熱ダンス空間に叩き込んだかと思えば、ノブのカウベルと「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ!」の会場一丸大コールでフロアを激流のような悦楽カオスに塗り替えた“Baby.Baby.Baby”! 「このギター・リフで、みんなの人生を変えるぜー!」という石毛の絶叫から雪崩れ込んだ“White elephant”の、長島&松本の爆裂ロックンロール・ビート! もはや国民的ロック・ナンバーと化した“sick rocks”で巻き起こった《1, 2, 3, 4, can't you understand?》の大合唱!……と、面白いくらいに1曲ごとにフロアの温度とテンションが上がっていくのがわかる。「トキオー! 今日は『We Love JAPAN!!! TOUR -Season 3-』ファイナルに来てくれてありがとう! 絶対ヤバい、ほんとヤバい、ディスコな夜にしようね!」と石毛。そこへ、「ヤーーー! 東京という名の埋立地、Zepp Tokyo! Zeppはお台場だから、お台場の好きなところを4.9個! まずゆりかもめ! 海の上をつなぐ、希望のトレイン!」とキテレツMCを展開するのはもちろんノブ。「東京があって、日本があって、世界があって、その周りに宇宙があって、銀河があって、ブラックホールがあって、その先に銀河があって、宇宙があって、世界があって、日本があって……」と大風呂敷を広げてフロアにでっかい「?」が生まれたが、「……でも、そんなの関係ねえ! みんなのことがああああっ、大好きだああああっ!!」と力技で感謝のメッセージにつなげて爆笑と歓声を誘う。最高だ。

「『We Love JAPAN!!! TOUR -Season 2-』と『-Season 3-』の(振替公演を除いて)これで42本目らしい。各地でニュー・ジェネレーションを言い続けたんですよ。今日はファイナルだから、とびっきりでっかいニュー・ジェネレーションを起こそうぜ!」と“2010”を叩きつけては《we are new generation!》の合唱を巻き起こしていく4人。出る杭は打たれる的なリスクも全部背負った上で繰り返し「ディスコ!」を叫び「ニュー・ジェネレーション」を標榜し、ついには触れる者すべてを歓喜で染め上げる強度を獲得したthe telephones。彼らが繰り返す「ディスコ!」は、聴き手の側からすれば、別に言葉通りに「踊ろうぜ!」と読んでもいいし、そこに「混沌とした『今』を踊り明かすための闘い」とか「新しいムーブメントを起こすこと」とか、いろいろな意味を読み取っても構わないものだと思う。が、バンド自身からすれば、それは時代と対峙するための明確なキーワードであり、ハッピーの「その先」への扉をこじ開けるための渾身の闘争宣言でもあった。そして、彼らはまさに今、僕らの目の前で大きな扉を開けてみせている……その事実に、思わず胸が熱くなった。

「BIGMAMAにでっかい拍手を! 出てくれてありがとう! 素晴らしい仲間であり、事務所のライバルでもあり……大好きです! ほんとありがとう!」とBIGMAMAへの感謝を伝える石毛。「さてみなさん、楽しい? 楽しいけどさ、もっとくるんじゃないの? 外の暑さより、中はもっと熱いんじゃないの? 太陽の光より、ミラーボールの光のほうがヤバいんじゃないの? おかしくなろうぜ、トーキョー!」という言葉と“SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!”からいよいよ終盤へ! リリース前の新曲とは思えない一体感を生み出したハード・ロック・ナンバー“DISCO AGE MONSTER”、さらに“D.A.N.C.E to the telephones”“HABANERO”と必殺ナンバー連続投下! 「世界一ハッピーな場所になったところで、世界一ハッピーなワードを叫ぼうぜ!」と「We are DISCO!!!」コール&レスポンスをかました後、「こんな時だから、『We are JAPAN!!!』と叫びたいんだよね!」とひときわ力強く「We are JAPAN!!!」のコール&レスポンス! 「ありがとう東京! ぐっちゃぐちゃになろうぜ!」。最後は“Urban Disco”、そして石毛&ノブの激烈ヘドバンとともに“Monkey Discooooooo”を炸裂させて本編終了!

高らかなアンコールの声に応えて、再びステージに登場した4人。「すげえくたくたになりましたが、音楽って楽しいなと思いました!……小学生の感想文みたいですね(笑)。でも、それもみんながいるからですね」と石毛。そこから「あのね……」と重大発表モードに。「12月23日、さいたまスーパーアリーナで、一世一代のワンマンをやります!」というアナウンスに、フロア瞬間沸騰! 「間違って成功したら、超楽しいと思うよ?」と冗談めかしつつ、「俺らがKingsとかやってるのもさ……たとえばAKB48で『まゆゆがさ……』って話題になってるのと同じように『PILLS(EMPIRE)のKazatoがさ……』ってなるぐらい、ロックをポピュラーなものにしたかったんだよね。それはまだまだだこれからと思う」とか「ロックは与えられるもんじゃなくて、自分たちで作るものだよね!」とか、さらなる闘争心をカラッと剥き出しにしていく石毛。そのMCの1つ1つに、熱い歓声が広がっていく。

アンコールではタイトル未定なグランジ・ディスコ的新曲を披露した後、“Love&DISCO”でオーディエンスの情熱に再点火! 正真正銘のラスト・ナンバーは、4人からフロアへのありったけの感謝を籠めて“Drums,Basses,Guitars,Keys,And Your Love And Voice”。無垢な幸福感だけを活写したような目映いサウンドに、フロアではあちこちで肩を組んで踊り回るキッズの姿が!……最後は再びBIGMAMAの5人をステージに迎え入れて、会場丸ごと記念撮影! さいたまスーパーアリーナで見せてくれるであろう、さらにでっかい歓喜の風景が、今から楽しみで仕方がない。(高橋智樹)

[SET LIST]

■BIGMAMA
01.CPX
02.虹を食べたアイリス
03.the cookie crumbles
04.テレーゼのため息
05.走れエロス
06.Paper-craft
07.かくれんぼ
08.秘密
09.荒狂曲“シンセカイ”
10.計算高いシンデレラ

■the telephones
01.I Hate DISCOOOOOOO!!!
02.My Girl
03.Baby.Baby.Baby
04.White elephant(新曲)
05.sick rocks
06.A.B.C.DISCO
07.2010
08.My Final Fantasy
09.Re:Life
10.SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!
11.electric girl
12.oh my DISCO!!!
13.DISCO AGE MONSTERS(新曲)
14.D.A.N.C.E to the telephones
15.HABANERO
16.Urban Disco
17.Monkey Discooooooo

EC
18.新曲
19.Love&DISCO
20.Drums,Basses,Guitars,Keys,And Your Love And Voice