ORANGE RANGE@Zepp Tokyo

ORANGE RANGE@Zepp Tokyo
ORANGE RANGE@Zepp Tokyo
最新アルバム『orcd』を携えてのロング・ツアー『ORANGE RANGE LIVE TOUR 010-011~orcd~』の追加公演として発表されていた4月の東名阪3公演が、震災の影響で延期となり、7月に改めて『ORANGE RANGE LIVE~one~』と題してリベンジ公演を果たしたORANGE RANGE。休むまもなく『ROCK IN JAPAN FES.2011』などの夏のイベント出演をこなし、8月10日からはファンクラブ『RANGE AID』主催によるライブツアー『RWD←SCREAM 011』で全国7都市を回ってきた。本日はそのツアーファイナルとなるZepp Tokyo公演。この夏をORANGE RANGEのライブで締めくくろうと会場に詰め掛けたファンの熱気は、開演前からはちきれんばかりだ。

「今日は集まってくれてありがとう! このツアーのタイトルの『RWD』は巻き戻し。時間を戻します。今日戻るのは2003年、8年前。2003年に出したアルバムは『1st Contact』です。今日は時間を戻しながら、新しいORANGE RANGEを融合させて愉しんでいきたいと思います!」とRYOが説明していたように、今回のツアーはメジャーデビュー1stアルバムとなる『1st Contact』をフィーチャーしたセットリストだ。会場暗転とともにNAOTO(G)、YOH(Ba)、そしてサポートドラマーの有松益男の3人がステージに現れて強靭なグルーヴをいきなり叩き付けると、場内は割れんばかりの大歓声で溢れかえった。その熱狂ぶりをさらに加速させたのは勢いよく飛び出してきたRYO、YAMATO、HIROKIの3MC。1曲目“ビバ★ロック”でライブの幕が開けるとフロアを大きく煽動していく3人にめがけて、フロアからは無数の拳が突き上がった。間髪入れずに“上海ハニー”がプレイされれば、オーディエンスの腕は揃って左右に波打ち、圧倒的な一体感でもってエキサイトしていく。

ORANGE RANGE@Zepp Tokyo
ORANGE RANGE@Zepp Tokyo
その後も、“ベロシティー3000”“ヤング8”“サムライマニア”と立て続けに『1st Contact』からの楽曲が惜しみなく演奏される。それは、彼らの真髄にあるミクスチャーロックの何たるかを改めてかみ締めながら、現在に繋がるORANGE RANGEの道程を確かめていくような感覚だ。そして、場内にミラーボールの光が輝き出すと、なんとこのツアーで初めてライブでやるという超レア曲“ゆうぐレッド”を披露。イントロでRYOとHIROKIがチークダンスを踊ったり、YAMATOはエレパッドでパーカッションを担当したり、今ツアーならではのお楽しみ的な演出も盛り込みながら愉しませてくれる。メジャーデビューしてから7枚ものオリジナルアルバムをリリースしてきているから、通常のツアーではなかなか聴くことのできない初期のアルバム収録曲を今こうしてじっくり聴くことができるのも、このコンセプトツアーの見所だ。

HIROKIが「僕たちの中でもいろんな事がありましたし、思いもありますが、みんなの中にも様々な思い出がこの8年間の中にあったと思います。そんな思い出を重ね合わせながら最後まで楽しんでいきましょう」と話すと、穏やかなレゲエのリズムに乗った“O-MO-I”で会場をピースフルな空間へと塗り替えていく。しかし、その和やかムードも一転、“以心電信”“ロコローション”のキラーチューンの連発に有無を言わせずフロアは大爆発を起こしたかのような盛り上がりを見せ、一気にテンションアップしていく。さらには、3MCの大喚声が炸裂してヘヴィに攻め立てる“Insane”、「東京に台風が向かってるらしいですが、そんなのみんなで風を起こせば負けないんじゃないの?」と挑発したRYOに立ち向かわんとばかりに、フロアが一体となったタオル回しでZeppに大きな風を巻き起こした“TWISTER”、性急に、エッジーに駆け抜けていくハードロック・ナンバー“鬼ゴロシ”という怒涛の畳みかけにオーディエンスはもう卒倒寸前だ。

「後半ももっともっと激しくなって、きつくなる。僕らも8年ぶりに『1st Contact』やって、めちゃきつい(笑)」とYAMATOが冗談交じりに話していたけれど、この日のORANGE RANGEは本当にブレイクなどほぼなしに、アッパーに攻めまくっていた。デビュー当初の衝動や勢い、あの頃は若かったなーなんていう懐古的な振り返りではなく、デビュー当初の屈強の精神が8年経った今でもORANGE RANGEの核を担っているということを教えてくれる。今もライブでは欠かせないデビュー曲“キリキリマイ”でのキレッキレのステージングを観て、そんなことを思った。

アンコールでは、震災後に書き下ろした新曲“one”をHIROKIがメインボーカルとして熱唱。そして、YAMATOの三線の音色、夕日のようなオレンジのライティングが感動を呼んだ“落陽”では、HIROKIが「今、日本が大変なときだからこそ、自分の地元を愛していきましょう。俺たちも沖縄を愛していきます。そして、日本を強くしていきましょう」と力強く語った。今こそ音楽を奏で、一歩前に進もうというORANGE RANGEの覚悟が詰まったこの2曲はオーディエンスの胸を熱くさせた。そして、いよいよラスト。『1st Contact』からまだやっていない曲といえば、ORNAGE RANGEのメンバーが通っていた中学校校歌のカバー“山内中校歌”! 「全国の人が僕たちの母校の校歌を歌えるっていう不思議な現象が起きていますが…」とHIROKIも笑っていたが、最後は会場全員が見事なシンガロングで締めくくり、あっという間の2時間が終了。このツアーを経て、あの頃を振り返ることで「今を感じる」ことができたという感覚がきっとメンバーにもオーディエンスにもあったのだと思う。今後も今回のようなコンセプト・ツアーをまたやりたい、そして、近い将来での目標では来年の春にアルバムをリリースしたいという嬉しい宣言も飛び出したので、楽しみに待っていたい。(阿部英理子)
ORANGE RANGE@Zepp Tokyo

1.ビバ★ロック
2.上海ハニー
3.パーリィナイッ
4.ベロシティー3000
5.ヤング8
6.サムライマニア
7.ゆうぐレッド
8.O-MO-I
9.以心電信
10.ロコローション
11.Insane
12.TWISTER
13.鬼ゴロシ
14.ジャパニーズピープル
15.Fever!
16.ミッション in ポッピブル
17.キリキリマイ

アンコール
1.one
2.落陽
3.山内中校歌
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on