パトリック・ウルフ @ DUO MUSIC EXCHANGE

鬼才。もしくは異才。

このパトリック・ウルフというアーティストを一言で表すなら、そんな言葉がずっぱまりだろう。弱冠18歳でデビューした彼も現在は24歳、3枚目のオリジナル・アルバム『マジック・ポジション』を期にメジャー移籍を果たし、ついにこうして日本ツアーも実現した(ちなみに彼の初来日はくるりの前座での登場だった)。

パトリック・ウルフの鬼才っぷり、若しくは異才っぷりは、彼のライヴを目撃すれば3秒で理解できるはずだ。髪の毛をショッキング・ピンクに染め上げ、目の淵にはラメのキラキラ・メイク、短パン&サスペンダーに「クリスマス仕様のピーター・パン」のような装飾が施されたコスチューム(全てパトリックのハンドメイド!)に身を包んだ身長190センチを超す長身美少年の彼は、その存在そのものがアートであり、巷のシンガー・ソングライターとは一線を画す超絶パフォーマーだ。あまりにも視覚的でイマジナリーな彼のパフォーマンスは、ライヴハウスを瞬く間に異空間へと変容させていく。

加えてサウンド自体も超ユニーク! バックにコントラバス奏者、ヴァイオリン奏者、ドラマー、キーボード&ラップトップ担当の4人を従え、パトリック自身もグランド・ピアノ、ヴァイオリン、マンドリンを自在に操って編み上げられていくそれは、エレクトロニカ、ニューウェイヴ、ボードヴィル、クラシック、ジプシー音楽、フォークロア……と、ポピュラー・ミュージックの枠組みを遥か飛び越えて鳴り響いている。英国内外に熱狂的なファンが多いのも納得、一度でも観ると中毒になりかねない色彩の世界がそこには広がっていた。(粉川しの)