Perfume @ 日本武道館

Perfume @ 日本武道館
「アツいライブにしていきたいと思います! 私たちの集大成なんです、こういう大きな舞台も、アリーナでやるライブも、このツアーでは今日が最後です。これまでスタッフさんが私たちにかけてくれた愛と、一緒に作ってきてくれたお客さんと……今日のお客さんとみんなでね、いい時間を味わいたいと思います!」というあ~ちゃんのMCを待つまでもなく、日本武道館を埋め尽くした9000人のオーディエンスはすでに客席をがっつり揺らすほどに踊り跳ねまくり、ステージの熱演に山鳴りのような轟々たる歓声で応えている……1月14日・神戸ワールド記念ホール公演からさいたまスーパーアリーナや大阪城ホールなど各地の大会場を回ってきた、Perfumeの3回目の全国ツアーにして初のアリーナ・ツアー。そのツアーの最中にアナウンスされた追加公演は、初ワンマン開催地となる5月26日・沖縄でのファイナル打ち上げ公演、そして5月8・9・11・12日:怒濤の武道館4Days! ツアー全体のセミ・ファイナルにして武道館4日間の最終日となるこの日のライブはまさに、今や音楽シーンを越えて日本屈指レベルのエンタテインメントを実現するPerfumeの3人が放つポジティビティとエネルギーを最大限に解き放ったような、最高のステージだった。

開演予定時刻=17:30の前から割れんばかりの手拍子が巻き起こる満場の武道館。17:45、場内暗転とともにステージに走る閃光! ステージ上のオブジェが色とりどりの光を放ちながら形を変える。暗闇の中に響く「J・P・N」の声。そして……交錯するライトに照らし出されて浮かび上がる、銀色のコスチュームに身を包んだあ~ちゃん、かしゆか、のっちの姿に、この瞬間を待ち詫びた観客のうおおおおおっという大歓声が! 武道館の広大な空間に飛び交う無数のレーザー光線の中、この日の幕開けを飾ったナンバーはもちろん“レーザービーム”! そのまま“VOICE”と最新アルバム『JPN』のシングル・ナンバーを畳み掛け、さらにアップ・ビートの“エレクトロ・ワールド”を息つく間もなく連射! 3人の切れ味鋭いダンス・アクトが、ポップ感あふれまくりのキュートな歌が、そして文字通り身体をダイレクトに震わせるほどの音圧で鳴り響く中田ヤスタカ謹製のバキバキの楽曲&トラックが、聴く者すべてのリミッターを片っ端から外していく。ステージの各所に施されたリフトアップの仕掛けのみならず、“ワンルーム・ディスコ”の直前に瞬時にテクニカラーの衣装にチェンジしてみせるなど、1曲・一瞬たりとも観る者を飽きさせないどころか常に歓喜の沸点越えっ放しの状態へと導いてみせるのはさすがとしか言いようがない。

Perfume @ 日本武道館
武道館一丸の「Perfumeです!」コールをキメた後、「『キリンチューハイ 氷結 presents Perfume 3rd Tour「JPN」』追加公演、武道館! 4日目! 大事な大事な土曜日を、私たちのために使ってくれてありがとう!」とあ~ちゃんが上気した顔でオーディエンスに呼びかける。
あ~ちゃん「武道館4日目! 4日目なんです!」
のっち「これねえ、3回やってきたんですよ私たち!」
あ~ちゃん「1日目・2日目が猛暑だったんです。でもね、5月は日本武道館さんは冷房かけられないんだって。由緒ある日本武道館さんなんで、そういう決まりもあるじゃろうねえ。と言ったって暑い!」
のっち「そう! もう、スチーマーの中にいるみたいだった。電子レンジの中で踊ってるみたい!」
あ~ちゃん「それは言いすぎかな? あれやね、塩サウナ覚えとる? あんた(のっち)が逃げたやつ(笑)。3人で北海道にライブに行った時、スパ的なところがあって、塩サウナっていうのがあって。塩塗りよったら、透明のお部屋が一瞬で真っ白になって『うわ、うわあ!』ってびっくりしたんやけど……」
かしゆか「うちら2人は『ああこれで汗かくのね、はいはい』って言ってたら……」
あ~ちゃん「のっちが『ひゃあああああ!』って。2~3秒よ?」
のっち「だって、もう息できなくて。無理無理無理無理!って。露天風呂で涼みながら待ってた(笑)」
……といったMCがどんどんと脇道へ逸れ、しかも脱線すればするほど会場が笑いに包まれ熱気が増していくーーというのも、Perfumeのライブならではのマジックだろう。「今日も暑いと思うんですけど、こういうトークの時とか、全部ドアを開けてくれて、風を通してくれてます!」。拍手が巻き起こる。

「『JPN』というアルバムを出しまして、『JPN』ツアーで日本全国回ってまいりました。すごく思ったのは……みなさんの笑顔が優しかった、とっても! Perfumeのお客さんは優しい人が多いなっていうのが、すごく嬉しいツアーでございました」と語るのっちが「明日筋肉痛になってなかったら嘘よ!ってくらい動いてもらいますからね今日は! 大丈夫? やる気あるか? 楽しめる?」と客席を煽り、「武道館はね、ほんと近いんで、お客さんの顔がほんと見えてるんですよ。Perfumeのライブに初めて来る人! ありがとうはじめまして! この中で、人生初ライブっていう人! あ、結構いる!」とお得意の観客とのコミュニケーション……というか客いじりを始めていくかしゆかの声が、もともと近かったステージとの距離感をぐっと近づける。そう、動員数だけで言えば東京ドーム1回分くらいあっさり埋められたに違いない追加公演を、あえてこの日本武道館という会場で行うのも、この規模の会場にしては珍しく、誰もが舞台の3人を近く感じられる場所だからなのだろう。そんなステージからは、舞台上手/中央/下手の3ヵ所に花道的にせり出したスペースがあり、中央の花道の先端はまさに武道館の中央。3人がそこに立った時の驚くほどの「近さ」に、会場にはどよめきと歓声が渦巻く。

Perfume @ 日本武道館
のっち「この中で20歳越えてる人! 30越えてる人は?……そこのお2人も?」
かしゆか「その人は初ライブじゃないよ! この人、インディーズの頃からずっと来てる!」
あ~ちゃん「パンダさんでしょ? 名古屋の人なんです。絶対いっつも『初めて来る』って言うんよ。いっつもパンダのチョコレートのおみやげくれるんですよ。今だから言うけど……あれおいしくない!(笑)」
かしゆか「でもこうやって、インディーズの頃から応援してくれてる人から、今日はじめましての人まで集まれるライブってすごいですね」
さらに中田ヤスタカのコスプレ客を見つけたところから「中田コスプレなのにcapsuleの代表曲“JUMPER”を知らなかった客いじり」「2日目に両親と一緒にPerfumeを観に来た中田ヤスタカが完全に『息子の顔』だった話」へと流れていくうちにどんどん時計は進み、開演から1時間弱過ぎたところで「……そんな中、ライブはまだ4曲しか歌ってません!(笑)。もう巻きの指示が4回くらい出てます!」というあ~ちゃんのMCも、もはやPerfumeライブの風物詩的な場面だ。客席を「パ」「フュー」「ム」3分割してのコール&レスポンスから、ようやく本編再開!

“Have a Stroll”の軽快なサウンドから、再びアルバム『JPN』の世界へ。「今、ここ」の日常をにこやかなおとぎ話として描くような“時の針”。さらに“微かなカオリ”“スパイス”……といった『JPN』でも比較的軽やかな楽曲群を、「舞台上は完全にたった3人だけ」ならではの機動性を最大限に活かして3つの花道を闊歩しながら(真ん中の花道は先端がセカンド・ステージ的にせり上がるようになっている)武道館いっぱいに咲き誇らせていく。すでにこのツアーでさいたまスーパーアリーナなど大会場でのアクトを経てきた3人だけに、そのダンスやアクションの1つ1つが振り撒く熱風のようなエネルギーは明らかに武道館のスケールを越えている。ステージ背後のヴィジョンに映し出されるあ~ちゃん/かしゆか/のっちのバトル(?)映像が本物の3人がシンクロし……という、このツアーにおけるハイパーなダンス・セクションの見せ場=“JPNスペシャル”の演出も、歓喜の拡大再生産的な観客の熱気をさらに増幅させていく。“GLITTER”からは再びトップギアの爆走感! “不自然なガール”“Baby cruising Love”“575”“love the world”“シークレットシークレット”の「ツンデレ・メドレー」(厳密には「ツン・ツン・ツン・ツン・デレ」だそうだが)を一気に駆け抜けていく。

Perfume @ 日本武道館
“JPNスペシャル”のトラックはこのツアーのために中田ヤスタカが書き下ろしたーーというかしゆかの紹介に客席から飛ぶ「ヤスタカさん神!」の声。「Perfumeの現場にはいっぱい神がいるんだよ。照明の神とか、振り付けの神とか、PAの神とか、カメラマンだって神なんだよ。神の集団なんですよ。普通の人なのは私だけです(笑)」と語るかしゆか……の話を受けて、あ~ちゃん&のっちが「暇を持て余した神々の、遊び」とモンスターエンジンのネタで会場を沸かせ、「中田ヤスタカのコスプレなのにCOWCOW多田にしか見えない人」の話からCOWCOWの定番ネタ「あたりまえ体操」へ……と、どこまでも無軌道にはしゃぎ回る3人の姿からも、この場の高揚感を誰よりもPerfume自身が謳歌していることが伝わってくる。

「みんな、いい顔してる? 私たちをもっとキラキラさせてくれる? 2階! 1階! アリーナ! パ! フュー! ム! Perfume! 武道館!」というあ~ちゃんのコールから、最新シングル『Spring of Life』カップリング曲“コミュニケーション”、そして“ポリリズム”! お馴染み“P.T.Aのコーナー”での早見優“夏色のナンシー”/TRF“survival dAnce”/B’z“ultra soul”のコール&レスポンスや、観客にダンスを指南して一斉に客席になびく腕を見て「王蟲の金色のやつじゃ!」と喜ぶあ~ちゃんの姿は、触れる物すべてをハッピーの燃料にしていくPerfumeという磁場を象徴していると言えよう。そこからはバキバキのビートとともに“FAKE IT”“ねぇ”“ジェ二ーはご機嫌ななめ”“チョコレイト・ディスコ”で武道館丸ごとでっかく揺さぶっていく。「次の曲が最後の曲です! 次の曲は、みんなで作る曲になっています。このツアーを締め括る、大事な曲です!」というあ~ちゃんの言葉とともに披露した『JPN』の“MY COLOR”で、2時間半に及ぶ本編は幕を閉じた。

高らかに鳴り響くアンコールの声と拍手に導かれて、再び3人がオン・ステージ。「ツアーを回ってきまして……ライブは昔からずっとやってきましたが、こんなに多くの人が待ってくれてて、こんなに多くの人たちが、自分たちのことを知ってて、しかも好きでいてくれてる人で、自分たちの曲を全部歌えるとかね……何回見ても信じられなくて」とインディーズ時代の日々を振り返るあ~ちゃん。「亀戸サンストリートとか、秋葉原の歩行者天国でやったストリートライブとか……ストリートでやってた時の記憶が濃いから。ほんとに幸せだなあ、嬉しいなあ、と思ってね。このツアー回ってこさせてもらって、神々なスタッフさんと、神がくださった素敵な曲と、集まってくださるみなさんで、本当に幸せな時間を過ごさせてもらいました!」……しみじみと語るあ~ちゃんの言葉に、熱い拍手喝采が湧き起こる。「なんと外に200人ぐらい、音漏れだけを楽しみに集まってくれてます! 200人って、O-Crest埋まっちゃうんだよ? BOXXだって埋まっちゃうし……」と語りながら、あ~ちゃんの眼に涙があふれてくる。「外のみんなーーー! ありがとーーー!」という3人の声が、換気用に開け放たれたドアから外へと広がっていく。

Perfume @ 日本武道館
「Perfumeは最近、世界進出という大きなニュースが出ました! 具体的なことは何も決まっていません(笑)。なんですけど、かねてからの夢だった、世界のみなさんに『JPN』というアルバムを聴いてほしいという夢が叶いました! 今の日本のみなさんにぜひ聴いていただいて、ちょっとでも笑顔になってもらえたらいいなという想いで作りました。このアルバムを世界のみなさんにたくさん知っていただいて、もっと日本を好きになってもらえたらという想いを籠めて、『JPN』というタイトルをつけました」と、あ~ちゃんがさらに語る。「崖っぷちに立って物事をやっていくのがいつものやり方で……よく『崖っぷちPerfume』って言われて過ごしてきたので、『絶対叶わんじゃろ! 無理じゃろ!』っていうのを、わざと口に出して言うんです。言霊をすごい信じてて。武道館を初めてやった時も……もう口に出すのもおこがましくて、『それ絶対叶わんじゃろ』って言われるけど、どうしても叶えたいから、『武道館やりたいです』って大人の人たちの前とかカメラの前とかで頑張って言ってたら、ほんまに叶って。東京ドームもほんまに叶って。こんなにイモっ子の3人でも、こんなすごい夢が叶うんじゃ!っていうのを、身をもって体験しました。だから、みんなにも信じてほしい。私たちがこれからも、叶わないかもしれない夢を、一生懸命叶えていこうとするからさ。みんなも、自分の毎日を……大変なこともいっぱいあると思うんですが、うちらももっと頑張るけん。夢叶えていくけん。みんなで一緒に、世界に行きたいです。Perfumeの夢はみんなの夢だと思って、これからも前を向いて走っていきますので。今後とも応援のほどよろしくお願いします!」……感極まったような大歓声が広がる。さらに前へ先へと歩み進んでいく3人そのもののように、最新シングル曲“Spring of Life”の伸びやかなメロディとダンスがひときわポジティブなヴァイブを放射していた。

この日の正真正銘最後の曲は“心のスポーツ”。「また、みなさんとお会いできる時、もっと立派になって帰ってこれるように……この武道館も、3年6ヵ月ぶりに立たせていただいて、『ああ、すごい近いなあ! こんなに近くに感じられるんだ!』ってびっくりしました。3年6ヵ月前には『遠いなあ』って思ってたのが、少しは成長できたのかなって思えて、すごく嬉しかった。だから、次ここのステージに立たせてもらう時……もしかしたらもっと大きなステージかもしれないし。胸を張ってステージに立てるように精進してまいりますので。これからも応援よろしくお願いします!」……去り際に、あ~ちゃんは「その先」へのクリアな決意を語っていた。会場の外では、帰りの人並みと音漏れ組が「おつかれ! 最高!」と笑顔でハイタッチしていた。コミュニケーションの結晶のようなPerfumeのステージが放つ祝祭感は、いよいよとんでもない次元のパワーを獲得しつつあるーーということを、痺れるような快感とともに誰もがリアルに感じた3時間だった。(高橋智樹)


[SET LIST]

01.レーザービーム(Album-mix)
02.VOICE
03.エレクトロ・ワールド
04.ワンルーム・ディスコ
05.Have a Stroll
06.時の針
07.微かなカオリ
08.スパイス
09.JPNスペシャル
10.GLITTER(Album-mix)
11.メドレー(不自然なガール~Baby cruising Love~575~love the world~シークレットシークレット)
12.コミュニケーション
13.ポリリズム
14.「P.T.A」のコーナー
15.FAKE IT
16.ねぇ
17.ジェニーはご機嫌ななめ
18.チョコレイト・ディスコ
19.MY COLOR

Encore
20.Spring of Life
21.心のスポーツ

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