22-20s @ 渋谷クラブクアトロ

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22-20s @ 渋谷クラブクアトロ
22-20sがクアトロに帰ってきた。21世紀UK屈指のロックンロール・マエストロたちである彼らが、3作目となるオリジナル・アルバム『ガット・イット・イフ・ユー・ウォント・イット』を携え、東京・渋谷&大阪・梅田のクラブクアトロでツアーを敢行。その初日である東京公演の模様をレポートしたい。翌16日には大阪での公演を控えているので、参加予定の方は以下レポートの閲覧にご注意ください。公演終了後に読んで頂けると、たいへん嬉しいです。

活動を再開し、2作目から3作目にかけては順調なペースでリリースが続いているのは何より。活動再開後の4年間、22-20sをギタリストとして支えてきたダンが、この5月頭に離脱(現在、オフィシャルHPのトップに本人のコメントがアップされている)してしまったことは残念なニュースだったけれど、オリジナル・メンバーによる3人編成となった22-20sのギュッと音が濃縮されて放たれるグルーヴと爆発力がとんでもなかった。というか、その音に触れてはたと気付いた。僕はこの3ピースのステージを観るのは実は初めてだったのだ。ファーストのときにはサポートのキーボード奏者(チャーリー:元スーパーグラスのギャズ&ロブの実弟)がいたし。

ジミヘンの客入れSEが鳴り止むと、落ち着き払った3人が登場。マーティン(Vo&G)がウオオオォォーンとギター・アンプのヴォリュームを上げる、そんなライヴ開演時の当たり前のような光景が、高揚感に拍車を掛けてくれる。これが22-20sのライヴだ。オープニング・ナンバーはセカンド作から“Heart on a String”である。ゆっくりと時間をかけて沸々と熱を帯びてゆくグルーヴ、そこから逃れようのない熱狂の中へと引き摺り込んでゆくさまは、セカンド以降に幅を広げた作曲スタイルがあればこそだろう。歪みながらエッジの立ったギター・リフを繰り出すマーティンと、ジェームスによるシンバル&スネアの猛烈なアタック感をもたらす倍音とのコンビネーション、そこにしなやかに、正確に絡んでゆくグレンのベース。メンバー脱退の欠落感など微塵も感じさせないロックンロールが形を成してゆく。

セカンド作の中でもひときわ扇動的でアップテンポな“Latest Heartbreak”、最新作の冒頭を飾る、じりじりとしたエモーションでメロディを転がす“Bring It Home”と、これまでの作品からまんべんなく楽曲がチョイスされることで、ライヴのムードも一辺倒ではなく彩り鮮やかなものになっている。演奏に抑揚をつけてオーディエンスのハンド・クラップを誘い、極めてスリリングでありながらも破綻せずに際どいコーナリングを決めてゆくような地肩の強いパフォーマンスは、さすがというより他にないだろう。その佇まいは素っ気ないぐらいにロックンロールだけに特化され、演奏以外の部分で過剰なサーヴィス精神を発揮することもない。しかしそれが、ファンの信頼をより強固なものにしている気がする。

22-20s @ 渋谷クラブクアトロ
22-20s @ 渋谷クラブクアトロ
R&B/ガレージ・ロックンロールの枠から抜け出し、楽曲によってはザ・フーやザ・バーズを思わせる大文字の「ロック」のソング・ライティングを試みてきた活動再開後の22-20sは、今回のステージにおいてもまるでU2のような大らかなメロディとスケール感を誇る“Cuts And Bruises”や、たっぷりと間を取りながらユニークなグルーヴを練り上げてみせる“Only Way You Know”といった最新作収録のナンバーによって新しい驚きと刺激を持ち込んでくれていた。デビュー時のインパクトが強かったおかげで、僕は22-20sが硬派なR&Bバンドだと思い込んでしまっていた部分もあるのだけれど、彼らもまた、ザ・ストロークスやカサビアンやアークティック・モンキーズがそうであるように、21世紀ロックの進化速度とシビアな現状認識を踏まえて活動するバンドだったのだ。むしろ作曲面での進化がなければ、彼らの活動再開はなかっただろう。

それでもライヴにおいては、3人の生々しいロックンロールの呼吸によって、熱く緊迫したヴァイブが一貫しているのが素晴らしい。くたびれたブルースが美しいブライトネスへと昇華される“Baby Brings Bad News”の直後、マーティンが抱えながらチューニングしていたギターのストラップが外れて床に落下してしまい、慌ててギターを交換するという一幕もあった(当のマーティンは「あれはメイド・イン・ジャパンだよ」と笑っている)が、すぐさま“Shoot Your Gun”で体勢を立て直し、熱狂を取り戻してしまうのだった。

グレンの不穏なベース・ラインに導かれてガッチリと展開する“Shake, Shiver and Moan”に続いては、これはもう鉄板の盛り上がり“Devil in Me”である。大歓声と共に打ち鳴らされるクラップの中、マーティンも心得たもので、嗄れたヴォーカルや弾きまくるギターにも一層力が込められていた。そして“A Good Thing”は一転、マーティン一人による弾き語り。泣きのメロディがぐっと際立つ。本編最後は以前からのライヴ定番曲“King Bee”のぶっといグルーヴを叩き付け、堂々フィニッシュしてみせた。

22-20s @ 渋谷クラブクアトロ
更にアンコールでは、ローリング・ストーンズの“Paint It Black”もカヴァー。本当に爆発力のあるバンドでないと、これをかっこ良くプレイするのは難しい。最高だった。ライヴばかりを特別視するのは余り好きではないけど、それにしても22-20sのライヴは間違いがない。ぜひまたライヴ盤をリリースして欲しいし、それと合わせて、現在廃盤となってしまっている『Live In Japan』の再発も切望したい。名盤ですから、あれは。(小池宏和)

SETLIST
01. Heart on a String
02. 22 Days
03. Latest Heartbreak
04. Bring It Home
05. Why Don't You Do It for Me?
06. Cuts And Bruises
07. Bitter Pills
08. Pocket Full of Fire
09. Only Way You Know
10. Talk to Me
11. Baby Brings Bad News
12. Shoot Your Gun
13. Shake, Shiver and Moan
14. Devil in Me
15. A Good Thing (Solo Martin)
16. Such a Fool
17. I'm the One
18. King Bee
encore
19. Little Soldiers
20. Paint It Black
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