back number @ Zepp DiverCity TOKYO

back number @ Zepp DiverCity TOKYO
back number @ Zepp DiverCity TOKYO
back number @ Zepp DiverCity TOKYO
 「女々しい歌も、貫いていれば、生き様になる!」……というのは、本編終盤で飛び出した清水依与吏のMCなのだが、人の心の機微により柔らかく寄り添えば寄り添うほど、back numberというバンドとしての歌の強度と訴求力を増していく構造を誰よりも正確かつキャッチーに言い得ていて、思わず笑いを禁じ得なかった。で、そのMCがさらに「このまんまの俺たちに、もう少しお付き合いください。果ては武道館、東京ドームまで……言ったもん勝ちです!(笑)」と続いたのを聴いて、ちょっと嬉しくなった。単なる「歌の製造者」としてではなく、歌とサウンドはもちろんのこと、動員や展開のスケール感まで引っ括めて聴く者すべてにとっての「夢の代弁者」としての自分たちを引き受け切っていることが、やや冗談めかした口調からも十二分に伝わってきたからだ。時にメロウかつセンチメンタルにフロアを酔わせ、時にアップテンポなビートでオーディエンス丸ごと歓喜の渦へと巻き込んでみせるーーそのどれもが、他でもないback numberという音楽の核心であることが十二分に伝わってくる、誠実なライブだった。

 back numberにとっても過去最大規模となる、約半年ぶりのワンマン・ライブ。長澤まさみ主演のフジテレビ系土曜ドラマ『高校入試』主題歌“青い春”のリリース(11/7)にはやや早い、というタイミングながら、2階席までオーディエンスでびっしり埋まったZepp DiverCity TOKYOは、1曲目“こぼれ落ちて”のメランコリックなメロディから早くもZepp丸ごと揺さぶるようなエネルギーに満ちている。「こんなド平日にどうも! 少しだけ週末の風を吹かせてみようかと……」と歌い上げたのは、名曲シングル・ナンバー“日曜日”。《そうだ あの日君がこっちを向いてバカねって 笑ってくれた時 きっとあの時に変わったんだ こんな毎日を願う僕に》……何事もない、大切な人との何気ない日々。そこにどれだけマジカルな喜びが詰まっているか?を追求するという、一見「女々しい」手法がしかし、清水の赤裸々なキャラクターからくる飾り気のないMCと相俟って、その物語の1つ1つはオーディエンス1人1人の日常と密接に絡み合っていく。そして、“one room”での《二度と戻らないと 知っていながら きっと捨てられず僕は 大切にしてしまうのだろう》という狂おしい場面が、そのメロディと一緒にヴィヴィッドに浮かび上がって、聴く者すべての胸をぎゅっと締め付けていく。

back number @ Zepp DiverCity TOKYO
 「久しぶりのワンマンなんで、ペース配分がわかんなくて。最初から全力でいくんですけど(笑)」と清水が言っていた通り、この日はハード・バラード“思い出せなくなるその日まで”からシングル曲“わたがし”へ流れ込んだ中盤も、1stミニアルバム収録の“重なり”からフロア一丸のジャンプ&クラップの嵐を巻き起こした16ビート・ナンバー“海岸通り”、さらに夕景そのもののようなスケール感に満ちた“幸せ”へと続けた後半……藤田顕(PLECTRUM etc.)らサポート陣による熱演もすでにバンド・アンサンブルの一翼として血肉化した堂々たるサウンドでもって、じっくりとオーディエンスの心の中に歌を染み込ませ、1曲ごとに異なる色の花を咲かせていった。ロック・バンドとしての馬力と爆発力も十二分に備えながらも、それを「今、ここ」にある喜びと悲しみを花開かせることに注いだ結果、誰よりもセンチメンタルでメランコリックなくせにどこまでも力強く、揺るぎない音楽世界が生まれているーーということを、清水/小島和也/栗原寿とサポート3人の演奏が何よりリアルに物語っていた。

back number @ Zepp DiverCity TOKYO
 「1つの部屋で起こった悲しい別れから始まって。それが、こんなにたくさんの人が集まってくれて。みんなとこの景色が見れて、すごく幸せです」……本編終盤、清水はそう語っていた。アンコールで発表された、オフィシャル・ファンクラブの名前は「one room」。清水のパーソナルな想いを歌として垣間見せていくことで、そのパーソナルな手触りや痛みを伴ったまま、少しずつその世界を広げつつあるback numberの音楽にはぴったりの名前だ。そして、来年1月からはワンマン・ツアーも敢行。全17ヵ所18公演、ラストは3月29・30日の渋谷公会堂2Days! その旅路の果ては東京ドーム……なのかどうかはまだ知る由もないが、彼らのセンチメンタル過積載な歌がドームで響いたらさぞかし面白いに違いない、いやその前に武道館で観たいーーという妄想とともに広がる彼らの「これから」への期待感が、アンコールの“青い春”のギター3本の麗しき絡み合い、そして“そのドレスちょっと待った”の躍動感とともに胸に熱く残った。(高橋智樹)


[SET LIST]

01.こぼれ落ちて
02.半透明人間
03.日曜日
04.one room
05.思い出せなくなるその日まで
06.わたがし
07.平日のブルース
08.重なり
09.海岸通り
10.幸せ
11.stay with me
12.花束
13.あとのうた
14.スーパースターになったら

Encore
15.青い春
16.そのドレスちょっと待った
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on