椎名林檎と赤い屋根

椎名林檎と赤い屋根

東京事変の、こないだのニューアルバムのひとつ前の
『バラエティ』リリースの時、ジャパン誌面で、
椎名林檎・浮雲・伊澤一葉の3人のインタビューを、やらせてもらいました。

その時、インタビューの準備で、浮雲と伊澤それぞれの公式サイトを見ていて、
浮雲が、広島県の東広島市に、何度か、ライブで行っていることを知った。

僕は広島出身で、東広島は父親の出身地なので、知っている町です。
でも、他府県の人は知らないような、かなりな田舎なので、
東京のプロ・アーティストがライブに行くなんて珍しいなあ、
と思い、撮影中の待ち時間に、きいてみた。

で、

「いや、知ってる人がいて、よく呼んでくれるんですよ」
「ああ、そうだったんですか。僕、広島で、親父が東広島なんですよ」
「あっそうなんだ?」

とか話していたら、椎名林檎が突然
「今、東広島って言いました?」
と食いついてきた。

あれ? 福岡ですよね? と言ったところ、
お母さんが東広島の出身で、なじみのある土地だそうです。
あ、そうなんですか、奇遇ですねえ、浮雲さん、ライブで行ってますよね、
などと、すっかりローカルな話になった時の、彼女のひとこと。

「いいところですよねえ。屋根が赤くて」

爆笑しました。
で、「そうそうそう!」と激しく同意しました。

広島の田舎の家って、屋根が赤いのです。
和風建築の、屋根が瓦葺きになっている
家の瓦が、写真のように、黒じゃなくて赤なのだ。
広島カープみたいな赤じゃなくて、朱色というか、茶色に近い赤ね。

それが普通なので、住んでいる頃は意識しなかったんだけど、
高校を出て広島を離れて、京都に4年住んで、そのあと東京に引っ越して、
「よその田舎の屋根は赤くない」「赤いのは広島だけである」
ということに、ようやく気づきました。
彼女は福岡の人なので、子どもの頃、最初にお母さんに連れられて
行った時に、「あ、赤い」と思ったのでしょう。

というふうに、
「デフォルトだと思っていたけど、実は自分の地元だけだった」
ってこと、ありますよね。
山口県のみなさん。ガードレールが黄色いのは山口だけですよ。
とかね。


何が言いたくて書いてるんだ。
と、今、自分でも今思いましたが、本日発売のジャパンの、東京事変の
ライブ特集を読んでいて、ふとそのことを思い出し、彼女に
「いいところですよねえ、屋根が赤くて」
と言われた時のうれしさもリアルに蘇ってきて、つい書いてしまいました。
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