先々週はアンダーワールドが底力を見せつけた幕張メッセに、今度はダフト・パンクがやってきた! 昨年のサマーソニック以来となる来日公演は、「dafunkfest」と銘打たれた2日間のプチ・フェス形式だ。前に入っていた仕事を終え、♪ワン・モア・タ〜イムと鼻歌歌いながら会場に到着すると、ちょうどダフト登場の直前。ステージを隠していた黒い幕が取り払われ、ピラミッド型のブースを中心とした大きなセットが現れる。そして、そのブースの中にいるロボットふたり。地鳴りのような歓声が起こる。
音楽としての気持ちよさ、ダンス・ミュージックとしての高い機能性はもちろんだが、何よりも目を見張るのがそのショウのエンタテインメント性。マスク被ってロボットに扮しているところからして大したけれん味だが、彼らのステージは本当に観ていて飽きない。自身で映像制作プロダクションを立ち上げたりしていることからも分かるとおり、視覚効果に対しても高い意識を持つダフト・パンクならではの、目でも楽しめるテクノ・ライヴというわけだ。何が楽しいかというと、ネオンやLEDでできたステージ・セットが、とにかくピカピカ光るのである。アンコールではダフト・パンクふたりの衣装までもが赤く光っていた(背中にはバンド・ロゴが!)。
なぜダフト・パンクが、エレクトロニック・ミュージック・ファン以外の層にこれほどまでに受け入れられてきたのか。それは彼らが「わかりやすい」ことを恐れなかったからではないか。あんなにピカピカ光るセットを見ればやっぱり楽しい。ダフト・パンクの魅力のひとつは、そんな「わかりやすさ」にあるのだと思う。名アンセム“ワン・モア・タイム”ではフロア中からシンガロングが巻き起こったが、アゲアゲに踊らせるDJやユニットはたくさんいるが、大合唱を呼び起こすテクノ・ユニットは世界を見渡してもそうそういない(ダフトと電気グルーヴくらいだと思う)。つくづく希有なグループだし、だから本当の意味でのフォロワーもなかなか現れない。彼らにはまだまだ第一線でがんばってもらう必要がありそうだ。(小川智宏)
ダフト・パンク @ 幕張メッセ
2007.12.08