ストレイテナー @ 新木場スタジオコースト

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ストレイテナー @ 新木場スタジオコースト
ストレイテナー @ 新木場スタジオコースト
 いやあ、すごい。もともと無駄なものなど一切ないストレイテナーの楽曲とロックの核心をさらに磨き抜いた結果、途方もないドライブ感と熱量が生まれてしまったーーとでも言うような、マジカルで感動的なアクト。シングル『From Noon Till Dawn』を引っ提げて11月26日:仙台Rensaまで全国9ヵ所を回るツアー=『BRAND NEW EVERYTHING TOUR』はまだこの日が初日ということで、ここで書けることはごく限られているのだけれど、今年はアコースティック・ツアーも回っていたテナーの4人にとって、エレクトリック・セットでは昨年12月に同じくここスタジオコーストで行われた『LONG WAY TO NOWHERE TOUR』ファイナル以来となる今回のワンマン・ライブは、ロック・バンドとしてのテナーの進化と強度を誰もが感じずにはいられない、最高のステージだった。

 リリース間もない新曲ながら、間違いなくこの日のクライマックスのひとつを描き出していたのが“From Noon Till Dawn”。スタジオ・バージョンではタブゾンビ&田中邦和によるホーン・サウンドが鳴らしていたアッパーな高揚感を、ブレーキ壊れた超特急的な激速ビートに顕著な4人のアグレッシブな躍動感で上書きするかのように、脇目も振らずに狂騒の彼方だた一点を目がけて爆走する、圧巻のアンサンブル! ポジティブでエモーショナルな楽曲以上にこういう、ソリッドに研ぎ澄まされたロックの突破力にすべてを懸けるような楽曲が、オーディエンスを至上の熱狂へと導いていくのはストレイテナーならではだが、この日のライブはまさにその最上級と言うべきものだった。

ストレイテナー @ 新木場スタジオコースト
ストレイテナー @ 新木場スタジオコースト
 そして選曲。“KILLER TUNE[Natural Born Killer Mix]”をはじめとする定番強力ナンバーも随所に盛り込まれている一方で、ホリエアツシも「2月の武道館のセットリストをみんなに丸投げっていう企画(セットリスト希望曲をウェブ投票で募集、上位30曲以上は当日必ず演奏、という試み。詳しくはオフィシャルサイトをご参照のこと)をやってるんですけど。その途中経過を見て、『これはやれねえよ!』っていう曲をピックアップしていこうと思います!(笑)」とMCで言っていた通り、1曲目から驚きと感激の声がフロアに巻き起こるセットリスト。エレクトリック・セットでの最新アルバム『STRAIGHTENER』からは4曲に留まり、来年のメジャー・デビュー10周年を前に、デビュー以降の歩みを改めて噛み締めるような内容。そんな中で、アコースティック・アルバム『SOFT』に新曲として収録されていた清冽な名曲“シンクロ”が、アコースティック・ライブとはまったく別の、壮大なサウンドスケープを生み出していたのも印象的だった。

 何より、この日のテナーのサウンドは「ギター・ロック」というより「ロックンロール」だった。ホリエ&OJこと大山純の2本のギターは(出音の質感やバランスも含めて)エッジ感よりグルーヴのほうに力点が置かれていたし、それによってひなっちこと日向秀和&ナカヤマシンペイのビートとホリエの歌がさらなる加速度を得て、4人一丸となってロックンロールの極点へと疾駆していくーーというぐらいの新鮮さと力強いヴァイブが、この日スタジオコーストで鳴り響いたテナーの音楽には確かにあった。アコースティック・アルバム『SOFT』とその後のツアーという経験を通して、自分たちの楽曲の裸の姿と向き合ったことがその一因ではあるのだろうが、それだけではこの日の4人が放射していたエネルギーの説明は到底つかない。それぐらいの名演だった。「いいライブになってる感じが、すごくする! 演奏はめちゃくちゃだけど(笑)」とホリエもMCで言っていたが、全力で歌い踊り拳突き上げまくりで終始熱気と歓喜まみれのフロアが、テナーの「今」の逞しさをリアルに物語っていたと思う。

ストレイテナー @ 新木場スタジオコースト
 アンコールまで含めあっという間の2時間を終え、「またね! 最高!」と親指を立てて意気揚々とステージを後にしたホリエ。来年2月17日の日本武道館公演=『ストレイテナー 10th Anniversary 2013.2.17 Live at 日本武道館 「21st CENTURY ROCK BAND」』から始まるテナーのメジャー・デビュー10周年イヤーは同時に、文字通り「21世紀のロック・バンド」としての最高の音楽を響かせてくれる時間に違いないーーそんな期待感がどこまでも膨らむ一夜だった。ツアー次回公演は8日:大阪・なんばHatch!(高橋智樹)
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