SCAFULL KING @ 新木場STUDIO COAST

『[ Strawberry year's ]~The night you will never forget in 15 years~』

SCAFULL KING @ 新木場STUDIO COAST - pics by RUI HASHIMOTO / TETSUYA YAMAKAWApics by RUI HASHIMOTO / TETSUYA YAMAKAWA
SCAFULL KINGがアルバムデビュー15周年を記念したライヴを、新木場スタジオコーストで行った。その名も『[ Strawberry year's ]~The night you will never forget in 15 years~』=いちご=15=15周年!! そんな彼らの遊び心は、開演前にも炸裂。ドリンクバーに飾られた、6人がサンタに扮したポスターに特別感を覚えながらフロアに向かうと、聞こえてきたのはNARI(SAX)による影アナ、TGMX(Vo&Tp)曰く「ナリーション」!! 隙間ない仕掛けは、既にここからはじまっているのだ。ゲストであるCHABEのDJに身を委ねながら、『SCAFULL KING』と掲げられた黒幕を見詰めているうちに、どんどんテンションが上がってきた! 

SCAFULL KING @ 新木場STUDIO COAST
そして暗転すると、何と黒幕の中で“THE SIMPLE ANGER”がスタート! トランペットが響き、バサーッと黒幕が落ちる。いきなりのアグレッシヴなオープニングに、ぎゅうぎゅうのフロアもぐっちゃぐっちゃだ。間髪入れずに“BRIGHTEN UP”を続け、“SOUND WAVE”では、TGMXが吹き終えたトランペットをポーンと投げる。「たくさん見に来てくれて、ありがとうね。BAD FOOD STUFFで仙台と東京に出て、今年3本目のライヴです。ワンマンは1年半ぶり」とTGMX。2001年に活動休止し、2007年に復活。そこからは、レアな活動を続けてくれている彼ら。とは言え、復活した時のお祭り騒ぎを過ぎても、いつも彼らのライヴはチケットが即ソールドアウトし、ライヴ自体も熱狂に包まれる。これは、やはり彼らが伝説を越えた唯一無二の存在だからだ。TGMXがフロアに「初めて見た人、手を挙げて?」と問うと、幾つもの手が挙がり、中には10代という人もいた。さらに、昨年リリースされたシングル『doubt!』に収録されている”SHAPE AND TIME”も、大盛り上がり。彼らが現在進行形で求められている証が、そこにあった。

さらに、バンドも、復活以来、ワチャワチャした雰囲気と、安定したグルーヴ感という、相反するようでいて彼らの中では共存している魅力を、どんどん高めているように見えた。TGMX、NARI、AKIRATT(Tb)を筆頭に、跳ぶわ走るわ動き続けながら、乱れることのない歌と演奏は圧巻。また、NARIがナリーションのたけし物真似ヴァージョン(笑)を披露している時に、いきなり“WHISTLE”に向かった時の息の合い方ったら!(NARIさんは気の毒でしたが)。ライヴを頻繁にやっていなくても、繋がっているのだ、彼らは。

SCAFULL KING @ 新木場STUDIO COAST
お楽しみはまだまだ続く。TDC(Dr)がタオルで目隠しされたままドラムソロを行い、そのまま“Lyin' ass bitch”も叩いたのだ。さらにKENZI(G)も目隠しで弾く。その技巧に感動していると、何と、ステージには、音源に参加していた木村カエラが乱入! 彼女のバンドで弾いている4106(B)も知らなかったようで、まさにサプライズだったようだ。続けて、BACK DROP BOMBのTAKAが、嘗てTGMXのトレードマークだったアフロのカツラを持って現れ、共に”DOO WEE”で美声を響かせる。もう、驚きと嬉しさで目が回る!その後も”LUNCH IN THE JAIL”まで思いっきり突っ走ったところで、TGMXが語り出す。「靴下、すっげえ量だったね。ありがとうございます」――そう、彼らはこのライヴで、『暖かい靴下を送ろう(AKO)計画』として、東日本大震災の被災地に届ける靴下を募っていたのだ。「無理しない程度に、ちょっとだけ無理して、やっていくと良いと思う」、とTGMXは言った。こういうところにも、彼らの温かさが滲み出ていたと思う。

そうこうしているうちに、ちらほらとステージには、雪のような紙吹雪が。さらに、"EASY DOES IT”がはじまると、ステージのバッグが豆球でキラキラと輝きだす。TGMXの「SCAFULL KINGからのお願い。“WE ARE THE WORLD”」という言葉からはじまった” “WE ARE THE WORLD”――一足早いクリスマスの多幸感の中で、真摯に祈りを捧げるように、全員がシンガロングする。とても優しい時間だった。NARIとAKIRATTによる除雪作業……ならぬ、紙吹雪の清掃を経て、終盤はさらに加速。“YOU AND I,WALK AND SMILE”まで、ステージもフロアも突っ走った。

SCAFULL KING @ 新木場STUDIO COAST
アンコールで呼び戻された6人は、何処か名残惜しそう。演奏を始めず、アンプの上に並んで座って、ゆったりと話したりして。TGMXはステージ上で、メンバーやスタッフ、さらにメディアにまで感謝の意を述べてくれた(「レポートには、ヤバかったって書いて下さい」って言っていたけれど、言われなくても書かずにはいられませんから!)。そして、アゲきって辿り着いたラストナンバーは、名曲“IRISH FARM”! 最後の写真撮影を眺めながら、こうして節目にバンドとオーディエンスで思いを刻んでいける関係性って、素敵だなあと思った。そして、ステージ上での生のナリーションで締め括った。「次のライヴは、まだ決まっていません」と言いながらも、「20周年も、NARIくんが実家に帰っていなければ、あるんじゃないかな」とか「仙台と東京でばっかりやってるから、ツアー行きたいね」というTGMXの言葉からは、彼らに会える日は、そう近くなくとも、必ずあることが確信できた。いつまでも、ワクワク待ってます!(高橋美穂)

[SET LIST]
1THE SIMPLE ANGER
2 BRIGHTEN UP
3 SOUND WAVE
4 SHAPE AND TIME
5 NEEDLESS MATTERS
6 costello
7 WHISTLE
8 WITHOUT YOU?
drum solo
9 Lyin' ass bitch
10 DOO WEE
sax solo
11 NO SWIMING
12 CLASSROOM
13 LUNCH IN THE JAIL
14 EASY DOES IT
15 WE ARE WORLD
16 NO TIME
17 searching for
18 SAVE YOU LOVE
19 YOU AND I,WALK AND SMILE
--ENC--
20 6cycle
21 Beetle knows himself
22 FAR PLACE
23 IRISH FARM
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする