満場のオーディエンスのエネルギーを集めるかのように高く手をかざし、入魂の第一音が繰り出される瞬間に息を呑む。卓越したプレイヤーに触れるときにこそ得られる緊迫感だ。ステージ下手に陣取る、縦縞の短パン姿&シンプルなドラム・セットでこれまた恐ろしく雄弁なビートを刻む盟友・BOBOと共に、アルバムではHIFANAと共演を果たした“GANRYU”を2人きりでプレイ。雅-MIYAVI-によるタッピングと高速のフレージングが目紛しく移り変わり、小ぶりなスネアでソリッドな音色を繰り出すBOBOとのコンビネーションを形成していった。“STRONG”ではKREVAの代わりとばかりにオーディエンスを巻き込み、さながら会場全体がひとつのバンドであるかのような一体感を生み出す。上着を脱ぎ捨て、シースルーのセクシーなタンクトップ姿になった雅-MIYAVI-は、タトゥーだらけのその身をコミュニーションのハブとして差し出すかのように人々を繋ぎ止め、フロア全域を目一杯バウンスさせてしまう。
「長かったような、短かったような……短かったような(笑)。史上初めての4本(大阪・名古屋・福岡・今回の東京)ということで、選挙を挟んで、よーしこれから、ってときにファイナルを迎えてしまいましたけれども」と笑いではぐらかしながら、世界を股にかけた活動に思いを馳せて語る雅-MIYAVI-。日本国内含め各地でのBOBOの人気(朝青龍や澤穂希選手、果てはプリングルスのパッケージのキャラクターに似ているといった話題)については半ば嫉妬混じりにイジりつつ、「サムライ・ギタリストなんて呼ばれたりもして。最初は恥ずかしかったんだけど、こっちもプライドを持ってやっているので、刀をギターに持ち替えて、世界をぶった切りに行っています」と誇らしげに語る。
外国籍と思しきオーディエンスに片っ端から「どこ出身?」と声を掛け(ブラジル、フランス、オランダ、アメリカ、マレーシアなどなど)、「嬉しいね。世界中で、悔しい思いをすることもあるけど、こうやって観て貰って。おれ、ハーフなんだよ。半分韓国なんだけど、やっぱりこうやって自分の国でやれて嬉しい」と語る雅-MIYAVI-。日本国内に限定すれば、もしかしたらもっと落ち着いた活動を行うことが出来るのかも知れない。しかし彼は、枠をはみ出し、世界に挑み、世界と繋がらずにはいられないのだ。そのメンタリティは古風なロック・スターのようでありながら、言うまでもなく雅-MIYAVI-という唯一無二の個性を育む土壌となっている。「チャートなんか何ヶ月かすればすぐ消えちゃうし、クソ食らえと思っているけれど、おれは人の心に残る音楽を作りたいし、もっと多くの人に聴いて欲しいし、だから売れたいと思ってる」。まさにそんなジレンマから弾き出されるように披露される新曲“Ahead of The Light”が凄かった。雄叫びの如きヴォーカル・フレーズから始まる、真にキャッチーでエクストリームな熱狂を約束するロック・ナンバーだ。新曲なのに、瞬く間にオーディエンスを驚喜させてひた走る。雅-MIYAVI-はこのシングルを2月にリリースし、3月からは全国16カ所を巡るツアーを展開するという。
SET LIST
01: GANRYU
02: STRONG
03: HELL NO
04: OSSANN OSSANN
05: CHILLIN' CHILLIN' MONEY BLUE$
06: I LOVE YOU, I LOVE YOU, I LOVE YOU, AND I HATE YOU
07: MOON
08: PLEASE PLEASE PLEASE
09: SILENT ANGER
10: PLEASURE! w/H ZETT M
11: HANABI w/Jin Oki
12: Ahead of The Light
13: DAY1
14: FUTURISTIC LOVE
En-1: 祈りを w/Seiji Kameda, Miu Sakamoto
En-2: WHAT'S MY NAME?
En-3: SURVIVE