雅-MIYAVI- @ SHIBUYA O-EAST

『MIYAVI Tour 2012“GANRYU”』

雅-MIYAVI- @ SHIBUYA O-EAST - (C)Yosuke Torii(C)Yosuke Torii
雅-MIYAVI- @ SHIBUYA O-EAST
凄絶極まりないヴォルテージで繰り広げられる独自のギター・ワークと、オーディエンスを瞬く間にロックでしかあり得ない興奮の中に叩き込む楽曲群。国境さえも易々と越えてしまう雅-MIYAVI-の音楽表現が、どれだけ、彼自身の抱える思いに支えられているのかということが伝わるショウだった。2011年よりスタートさせていた対戦型コラボレーション企画“SAMURAI SESSION WORLD SERIES”、そしてコラボレーション・アルバム『SAMURAI SESSIONS Vol.1』を総括するツアーのファイナルである。

満場のオーディエンスのエネルギーを集めるかのように高く手をかざし、入魂の第一音が繰り出される瞬間に息を呑む。卓越したプレイヤーに触れるときにこそ得られる緊迫感だ。ステージ下手に陣取る、縦縞の短パン姿&シンプルなドラム・セットでこれまた恐ろしく雄弁なビートを刻む盟友・BOBOと共に、アルバムではHIFANAと共演を果たした“GANRYU”を2人きりでプレイ。雅-MIYAVI-によるタッピングと高速のフレージングが目紛しく移り変わり、小ぶりなスネアでソリッドな音色を繰り出すBOBOとのコンビネーションを形成していった。“STRONG”ではKREVAの代わりとばかりにオーディエンスを巻き込み、さながら会場全体がひとつのバンドであるかのような一体感を生み出す。上着を脱ぎ捨て、シースルーのセクシーなタンクトップ姿になった雅-MIYAVI-は、タトゥーだらけのその身をコミュニーションのハブとして差し出すかのように人々を繋ぎ止め、フロア全域を目一杯バウンスさせてしまう。

雅-MIYAVI- @ SHIBUYA O-EAST
《おっさんおっさん、俺なんぼ!?》とユーモラスなフレーズで実験的なグルーヴに突入したかと思えば、雅-MIYAVI-ならではの鋭利なブルース・ナンバーでじっくりと熱気をかき混ぜたりもする。リフ主体のロックなインストゥルメントの興奮だけではなく、愛憎入り混じった激しいエモーションが歌声に滲む“I LOVE YOU, I LOVE YOU, I LOVE YOU, AND I HATE YOU”。そして足元のペダルでサウンドをループさせ、沸々とドラマティックなメロディで視界が描き出される“MOON”といった、雅-MIYAVI-の多才な表現がステージの中盤を彩っていく。

「長かったような、短かったような……短かったような(笑)。史上初めての4本(大阪・名古屋・福岡・今回の東京)ということで、選挙を挟んで、よーしこれから、ってときにファイナルを迎えてしまいましたけれども」と笑いではぐらかしながら、世界を股にかけた活動に思いを馳せて語る雅-MIYAVI-。日本国内含め各地でのBOBOの人気(朝青龍や澤穂希選手、果てはプリングルスのパッケージのキャラクターに似ているといった話題)については半ば嫉妬混じりにイジりつつ、「サムライ・ギタリストなんて呼ばれたりもして。最初は恥ずかしかったんだけど、こっちもプライドを持ってやっているので、刀をギターに持ち替えて、世界をぶった切りに行っています」と誇らしげに語る。

雅-MIYAVI- @ SHIBUYA O-EAST
ステージの後半は、「言葉に出来ないような怒りを、そのまま吐き出すだけじゃなくて、音楽でエネルギーに変えたかった」という細美武士との共作曲“SILENT ANGER”が心の琴線に触れまくる旋律で披露され、そして今回の公演のトピックでもあるゲスト・アーティストとのコラボレーションが繰り広げられる。鼻を青くペイントしたH ZETT Mを招き入れての“PLEASURE!”は、「(震災の)被災地に行って、子どもにも大人にも楽しんで貰えるような曲を作りたかった」「世の中いろんな正義があっていいと思うけど、子どもの未来を守るってのはやっぱり絶対的な正義だと思う」という一曲。スリリングな真剣勝負なのに、音の一つ一つが跳ね回る悪童のように楽しげに響く。音の波形をいじり回すH ZETT Mのピアノも最高だった。続いて、フラメンコ・ギタリストの沖仁を迎えて“HANABI”。バカテクでありながら情感溢れる沖のギターに焚き付けられるように、BOBOも素手でパーカッション風にスネアを叩いてアンサンブルがヒート・アップしてゆく。音源に参加した上妻光宏(三味線)は残念ながら今回のステージには登場しなかったが、全員が揃ったら一体どうなってしまうんだろうという熱演であった。

外国籍と思しきオーディエンスに片っ端から「どこ出身?」と声を掛け(ブラジル、フランス、オランダ、アメリカ、マレーシアなどなど)、「嬉しいね。世界中で、悔しい思いをすることもあるけど、こうやって観て貰って。おれ、ハーフなんだよ。半分韓国なんだけど、やっぱりこうやって自分の国でやれて嬉しい」と語る雅-MIYAVI-。日本国内に限定すれば、もしかしたらもっと落ち着いた活動を行うことが出来るのかも知れない。しかし彼は、枠をはみ出し、世界に挑み、世界と繋がらずにはいられないのだ。そのメンタリティは古風なロック・スターのようでありながら、言うまでもなく雅-MIYAVI-という唯一無二の個性を育む土壌となっている。「チャートなんか何ヶ月かすればすぐ消えちゃうし、クソ食らえと思っているけれど、おれは人の心に残る音楽を作りたいし、もっと多くの人に聴いて欲しいし、だから売れたいと思ってる」。まさにそんなジレンマから弾き出されるように披露される新曲“Ahead of The Light”が凄かった。雄叫びの如きヴォーカル・フレーズから始まる、真にキャッチーでエクストリームな熱狂を約束するロック・ナンバーだ。新曲なのに、瞬く間にオーディエンスを驚喜させてひた走る。雅-MIYAVI-はこのシングルを2月にリリースし、3月からは全国16カ所を巡るツアーを展開するという。

雅-MIYAVI- @ SHIBUYA O-EAST
本編終盤を“DAY1”から必殺の“FUTURISTIC LOVE”でフィニッシュすると、アンコールでは改めて感謝の言葉を投げ掛けた後、ヴォーカルに坂本美雨を、そしてベーシストにプロデューサーでもある「師匠」こと亀田誠治を迎え、どこまでも柔らかく優しいのに高潔な意志の形まで受け止めさせる“祈りを”が披露された。人々と交わるぶんだけ雅-MIYAVI-のギターと音楽は進化し、新たな思いが込められ、より大きな連帯感をもたらすものになってゆく。すべての楽曲が演奏され、日本はもちろん世界各国からのオーディエンスをバックに、BOBOが向けたカメラに収まる雅-MIYAVI-の姿が、そのことを象徴しているようだった。(小池宏和)

SET LIST

01: GANRYU
02: STRONG
03: HELL NO
04: OSSANN OSSANN
05: CHILLIN' CHILLIN' MONEY BLUE$
06: I LOVE YOU, I LOVE YOU, I LOVE YOU, AND I HATE YOU
07: MOON
08: PLEASE PLEASE PLEASE
09: SILENT ANGER
10: PLEASURE! w/H ZETT M
11: HANABI w/Jin Oki
12: Ahead of The Light
13: DAY1
14: FUTURISTIC LOVE

En-1: 祈りを w/Seiji Kameda, Miu Sakamoto
En-2: WHAT'S MY NAME?
En-3: SURVIVE
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