地球三兄弟 @ 横浜BLITZ

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 Oしゃん(奥田民生)、スパ de SKY(YO-KING)、そしてTHE EARTH(桜井秀俊・リーダー)の3人による「新人バンド」=地球三兄弟、元日にリリースされたアルバム『バーベアマン』を引っ提げて全国13会場・15公演をサーキットする『ツアー2013 「ここほれ三兄弟」』いよいよキックオフ! 以前ここRO69に掲載された3人のロング・インタビューからも、その「骨太なゆるさ」「おおらかなひたむきさ」とでも言うべき空気感は伝わっていたと思うが、実際にこの日初日を迎えた横浜BLITZワンマン公演で会場を包んだでっかい楽しさは、予想を遥かに超えるものだった。

地球三兄弟 @ 横浜BLITZ
 何せアルバム『バーベアマン』にシングル『呼びにきたよ』のカップリング“ナイスショット!”を合わせてもオリジナル曲は13曲しかないので、随所で洋邦カバー曲も披露しつつ、さらにあれやこれやとネタを繰り出しつつ……といった盛り沢山な内容で、2時間があっという間に過ぎてしまう充実のステージだったのだけれど、まだまだ続くツアーのお楽しみのためセットリストや演出の詳細はここでは割愛させていただく。が、ステージ中央のTHE EARTHのポジションだけ一段高くなっていたり(立ち位置もOしゃん&スパ de SKYよりも1m弱くらい前だそうだ)、Oしゃん&スパ de SKYが先にスタンバイしたステージに後からTHE EARTHがヒーロー然として飛び出してくる流れといい、基本的にはスパ de SKYいわく「横浜が生んだスーパースター」ことリーダー=THE EARTHを前面に推すステージングになっている。で、それがOしゃん&スパ de SKYのS心による無茶振りによるものではなく、THE EARTHが嬉し恥ずかし感とともに悪ノリする図を2人がありったけの愛情と苦笑をもって見守っているものである……という構図も、開演早々すぐに伝わってくる。

地球三兄弟 @ 横浜BLITZ
 で、そんな磁場と一緒になって鳴り響くことで、地球三兄弟の曲たちが実に活き活きとした開放感をもって広がっていくのがいい。デビュー・シングル曲“呼びにきたよ”の雄大なメロディといい、初期ビートルズのラフでカラフルな躍動感をカラッと鳴らす“目”といい、ミドル・テンポのビート越しに爽快なドライブ感を巻き起こす“アースより愛をこめて”といい、このステージで展開されていたのは、今のこの3人だからこそ鳴らせる「生き急がないロックンロール感」そのものだった。ロックの核心の押さえるところはビシッと押さえながら、それをフレンドリーで気楽な「日常」のモードで提示していくーーというのは並大抵のキャパシティでできることではないが、この日の横浜BLITZにはそのマジカルな空気感が確かにあった。

地球三兄弟 @ 横浜BLITZ
 “渚のボーナス”などでヴァイオリンを弾いたりする以外はTHE EARTHがギターを担当し、曲ごとに「Oしゃん:ドラム、スパ de SKY:ベース」の3ピースで臨んだり、サポート:奥野真哉(Key/ソウル・フラワー・ユニオン)&伊藤大地(Dr/SAKEROCK)を迎えて「Oしゃん:ベース、スパ de SKY:ギター&ブルースハープ」「Oしゃん:ベース、スパ de SKY:ドラム」と自在に編成を組み替えたり……と多彩な展開を見せていく。なにぶんツアー初日ということで、メンバー自身もペース配分とコツが掴みきれていないらしく、ド頭3曲でドラムを担当したOしゃんが早速息が上がっていたり、Oしゃんから「スパ de SKY!」と紹介されたスパ de SKYが「……一瞬俺のことってわかんなかった(笑)」とこぼす場面があったりもしていたが、そんな「地球三兄弟の原型」を目撃するようなワクワク感もまた、フロアの熱気をさらに高めていた。そこに、スパ de SKYから思わず「メンバーより面白いことするんじゃない!(笑)」と声が飛んだ奥野のプレイ/パフォーマンス両面での弾けっぷりや伊藤大地のタイトなドラム(“たかまり”でのソロ回しで聴かせた爆裂ドラム・ソロ最高!)が、よりいっそうのエネルギーを与えていく。

地球三兄弟 @ 横浜BLITZ
 で、2曲3曲と演奏しては和みまくりのトークへ。伊藤大地をステージに呼び込んだ時も、
スパ de SKY「伊藤『大地』だから、本当のEARTH!」
Oしゃん「本当のEARTHとか言うな!(笑)」
THE EARTH「僕(の立ち位置)が上がっちゃった分、大地くんが見えなくなって……」
Oしゃん「ダメよ、そんなに下手に出ちゃ。スターなんだから!」
スパ de SKY「『です・ます』禁止だから、THE EARTHだけ!」
THE EARTH「(スター口調で)頑張るよ……じゃあお前たち! 俺たちのデビュー曲聴いてくれよ!」
 ……といったやりとりでフロアを沸かせたり、THE EARTHがネタの仕込みで引っ込んでいる間、2人で「THE EARTHのいいところ」を探し始めて「THE EARTHのいいところならいくらでも話せるよ。終電大丈夫?」と真心の相棒=スパ de SKYが大見得切ったのを「えーとね、ほら……ひとつもないわ!(笑)」と自分で引っくり返したりする。長年のキャリアの中でお互い勝手知ったる盟友同士ならではのざっくばらんな会話も、ライブ自体の最高のスパイスとして機能していた。

 Oしゃんのベース・ヴォーカルやTHE EARTHの心許なさげなヴァイオリン、スパ de SKYのドラムといった見どころも含め、終始ホットな高揚感に満ちていた至福の一夜。2月28日まで続く『ツアー2013 「ここほれ三兄弟」』、次の公演は1月25日・東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)にて!(高橋智樹)
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