東京スカパラダイスオーケストラ @ SHIBUYA-AX

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東名阪限定6本というスカパラにしては少ない本数が設定されたツアー「新たなる欲望」の4公演目となる本日。昨年末に『欲望』のリリース・ツアーをまわり終え、来る7月3日には早くも新作『Diamond in your heart』が発表されるというぎゅうぎゅうのスケジュールの中でこのようなツアーを盛り込むということは、ツアータイトル通り、何かしらの「新たな」提示があるのでは、と思って臨んだライヴだったが、こちらの予想も期待も上回る圧倒的なアンサーを今日のスカパラは見せてくれた。なお、ツアーはまだ大阪での2公演を残しているため曲順が分からないように努めてレポートしていくが、いくつか演奏した曲には触れるので、大阪公演にご参加される方はご注意を。超満員のAXは、開演前から湯気が立つような熱気がムンムン。しかも、みんな笑顔。毎度のことながら、スカパラのファンはみんなライヴを本当に楽しみに、力をもらいに来ているという、ポジティヴなヴァイヴが色濃くて素敵だ。そんなフロアが、ライヴが始まった途端に爆発する。谷中が最初のMCで、恒例の名言「戦うように楽しんでくれよ!」の前に「最高だね、本当に!今、うっかりアンコールありがとうって言いそうになっちゃったよ!それぐらいの盛り上がりだったよ!」と述べていたが、まさしくその言葉通り、初っ端からクライマックスと見紛うような興奮の坩堝と化していた。そして何と、そのマキシマムな興奮は最後までほとんど収まることはなかった。そんな異常状態を導き出したのは当然スカパラ。今日のスカパラは始終アゲて、アゲて、アゲ倒すという殺人的なまでにアッパーなセットを組み、弛緩も容赦もなく攻め続けたのだ。
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セットリストには新曲も、恐らく久々の演奏なのではないかと思うレア曲も、そしてもちろん定番曲も散りばめられていたが、やはり注目は『Diamond In Your Heart』からの新曲たち。結論を言ってしまうと、これがどれも最っ高だった。激アップリフティングな曲調に加えNARGOのペット・ソロと加藤のギター・ソロがそれぞれ熱風のように押し寄せる展開がたまらない“ARANJUEZ”(スペインの“アランフェス協奏曲”のカヴァー)、作曲者の川上つよしがアダルティなムードを牽引し「聴かせる」曲調がライヴのアクセントとなった(これを含めてほんの数回しかなかった、踊らずに聴く時間は)“Skactus”、性急なビートでフロアに一層の燃料を投下した“LA Traffic”、そして「あの」メロディをスカパラ・ホーンズが一層に吹き上げるだけで最高なのに2番を欣ちゃんと沖が交互に歌うことで曲の格好良さにフロアを纏め上げるアンセム感まで加わった無敵の“Born to be wild”のカヴァー。とにかくどれもこれも異常に盛り上がるし、どこまでも楽しい。谷中はアンコールの際に「最高の作品ができました。今までともかなり違う作品になったと思います」と『Diamond In Your Heart』を評していたが、その言葉に偽りなしの大傑作となりそうだ。また、息つく暇もない特濃エネルギー大放出のライヴ本編を終えた谷中がそのとき言った「振り切った状況での幸せのシェア。それは嬉しいことがあったときに知らない人に抱きついちゃう感覚のことね。今日のライヴはそれだよ!」という言葉を聞いて、このツアーでスカパラが提示しようとしたものが何かが分かったように思えた。それは、もう何年も毎回限りなく100点に近いスコアを叩き出してきた超高性能ライヴバンドである彼らが今、限界超えの120点に手を伸ばそうとしている、ということだ。コーチェラ出演やアルバム製作が契機になったのか、どうしてそのモードに入ったのかは定かではないが、今日の彼らはともかく盛り上げよう=盛り上がろうという気合が尋常ではなかった。いつもめちゃくちゃ盛り上げてるじゃん、と思われるかもしれないが、それをさらに超える、常軌を逸したプレイやアジテートだったのだ。そして、スター・プレイヤーばかりの9人がそれぞれリミッターを外して振り切った結果、理性ではなく狂気じみた熱量だけを共通項としてバンドとしてのバランスを取るという神がかり的な在り方を呈していたのである、今日のスカパラは。滾る「欲望」を音楽の力で実現させたスカパラは、またさらに一段上のフィールドに上ったのかもしれない。そこまで思わせるだけのステージングだった。
 
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新曲以外で特に印象的だったのが、言わずと知れた鉄板曲でありながら毎回(今夜は特に!)「こんな盛り上がりがこの世にあるのか!」と瞠目せずにいられない“ルパン三世‘78”や“White Light”での狂熱と、大森と加藤のダイヴも飛び出した(大森のステージに戻った際フロアに深いお辞儀と投げキッス連射を見舞うジェントルな態度が最高だった)“太陽にお願い 〜Wish Upon the Sun〜”、NARGOがメロディカ(鍵盤ハーモニカ)でオーガスタス・パブロよろしく哀愁の音色を響かせたと思えばステージが暗転しメロディカが虹色に光り輝くという演出から入った“SKA ME CRAZY”、あと北原とNARGOのかけあいが物悲しくも美しい“The Look of Love”など…って「特に印象的」と言っているのにこのまま全曲挙げたくなってしまうのでこの辺にしておくが、特に“The Look of Love”はオーセンティックなビートでレゲエ/ダブ本来のドープな覚醒感を醸成しながらじわじわとぐろを巻くように盛り上げていく大名演だったと思う。笑っちゃうくらい、というか本当に聴きながら笑いが止まらなかったほどに格好良かった。なお、これら以外にも今日のライヴには1つ嬉しい、予想外のコーナーがあった。恐らく大阪の2公演でもやってくれると思うので内容は書かないが、非常にハッピーな気持ちになる、最高の演出だ。こちらもぜひ、お楽しみに。そしてこのツアーが終わった後も、5月29日には川上つよしと彼のムードメイカーズの『ムードホリック ~泡沫の日々~』が、7月3日には『Diamond In Your Heart』だけでなく、沖裕市のソロアルバム『Gospel』、茂木、加藤、柏原譲(フィッシュマンズ、Polaris等)によるトリオSo many tearsのセカンド『LOVE & WONDER』がリリースされる。『欲望』から8カ月のスパンでアルバムを出すだけでも充分ワーカホリックだというのに、それに留まらずこの祭のようなリリースラッシュである。「新たなる欲望」を解き放ったスカパラの勢いは、どうにも止まらなさそうだ。(長瀬昇)
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