もちろん、「アイドルの方って普通、スコーンと武道館やってパーンと花を咲かせるものみたいですけど、私たちは何年もかかりました!」と冗談めかして言いながらフロアに向けて何度も「ありがとうございました!」と深々とお辞儀する3人の姿は、それだけでも感動的だった。が、「だからこの日のライブは最高だった」のではない。バキバキのテクノ・トラックに乗せて弾けんばかりに歓喜を振り撒きながら、2時間以上にわたって渾身の力で踊り倒す3人の姿――それこそが超高性能なエンターテインメントだ、ということが完全証明されたから、なのだと思う。
その名も『BUDOUKaaaaaaaaaaN!!!!!』と銘打たれた2daysの2日目、武道館は2階席の上のほうまでびっしり埋まっている。場内の男子率の高さは一目瞭然。個人的にアイドル系のライブに足を運ぶことが皆無の自分にとって、男子トイレに並ぶ列のほうが女子トイレより格段に長いというのは、先月のメタル・フェス『LOUD PARK』以来だ。開演直前、客席からひときわ大きな歓声が……オーディエンスの視線の先には、Perfumeのプロデューサー=中田ヤスタカ。いやが上にも熱気は高まり、そして――。
飛び交うレーザー光線の中、かしゆか、あ〜ちゃん、のっちのシルエットが見えた途端、1万人からうおおおおおおと怒号のような歓声! ピンクシルバーの『マトリックス』みたいなコートをまとって、ステージ中央から客席へ長く延びた花道に登場した3人。1曲目“コンピューターシティ”が終わってコートを脱ぎ捨て、ピンクのコスチュームでさらに弾けんばかりに踊り始めると、Oi! Oi!と、パンク系の来日バンドも顔負けのぶっとい歓声が湧き起こる! 「3人合わせて……」というあ〜ちゃんの声に続けて1万人が「Perfumeです!」と絶叫する図は、まさに2008年の決定的瞬間として音楽史に刻んで差し上げたいくらい爽快なものだった。
「ライブハウス武道館!」とあ〜ちゃん。さらに、天井から吊るされた巨大な日の丸の旗を見て「日本に触れちゃったよPerfume! 日の丸の下で踊っちゃったよPerfume! やばくないですか!」とフロアをがんがん煽りつつ、音だけ聴いたらお茶の間的には明らかにハイブロウでは?と思われるトラックをぴっかぴかのダンス・ポップ・ミュージックに変えて1万人を揺らしまくる。“GAME”のライトセイバーも、“シークレットシークレット”の機械仕掛けの人形のような仕草も、“チョコレイト・ディスコ”のキュートの極みのようなダンスも、もうすべてが眩しくて仕方ないほどだ。
高校球児のように駆け足でステージを降りた3人を、地鳴りのようなアンコールの声が追いかける。再びステージに現れたあ〜ちゃんは涙ぐんでいる。「今年のカウントダウン・ライブの時に、『今年は武道館やろうね』って言ってもらえて……今まで希望を持たれたことがなかったので、とても嬉しくて……」と苦節の日々を振り返って号泣するあ〜ちゃん。そんな姿を力いっぱい讃える、武道館が割れんばかりのうおおおおという大歓声!
そんな涙を振り切るように、11月19日発売の新曲“Dream Fighter”を披露。若さにも可愛さにも微塵も甘えず、あくまでプロフェッショナルに徹する彼女たち。それが逆に、1万人のオーディエンスに確かな感激を与えていた。そして……3人が去った後のステージのビジョンには、来年5月の代々木第一体育館2daysの告知が。この歓喜は、まだまだでっかくなりそうだ。(高橋智樹)
1.コンピューターシティ
2.edge
3.エレクトロ・ワールド
4.plastic smile
5.love the world
6.マカロニ
7.Baby cruising love
8.Take me Take me
9.GAME
10.シークレットシークレット
11.パーフェクトスター・パーフェクトスタイル
12.セラミックガール
13.ジェニーはご機嫌ななめ
14.チョコレイト・ディスコ
15.ポリリズム
16.Puppy love
アンコール
17.Dream Fighter
18.Perfume
19.wonder 2