Perfume×9nine @ 上野学園ホール

Perfume×9nine @ 上野学園ホール
あ〜ちゃん(西脇綾香)が語るところの、「皆さんに、私たちが好きなアーティストを観ていただきたい、ただただそれだけ。あわよくば、観させてもらう。あわよくば、コラボさせてもらう!」という、昨年に引き続いての対バン・ツアー『Perfume FES!! 2014』。東京公演は、東京スカパラダイスオーケストラ(3/15)、そしてRIP SLYME(3/16)と既に2組との対バンを敢行し、舞台はPerfumeの故郷・広島へ。広島市にある上野学園ホールの2デイズを分かち合うグループは、9nineである。『Perfume FES!! 2014』で予定されている全9公演のうち、2公演に亘って対バンを果たすアーティストは9nineのみ。その広島2日目(ツアー4公演目)の模様をレポートしたい。

Perfume×9nine @ 上野学園ホール
客電が灯されているうちから雄々しい歓声と手拍子がホールを観たし、登場するのは先攻の9nineだ。沸々とした歌い出しから、“Re:”が幕開けの合図とばかりにけたたましい展開を見せる。時折、大勢のダンサー陣も加わって賑々しくダンス性を発揮する様もさることながら、この5人のめくるめくヴォーカル・リレーや、ハーモニーの情感溢れるふくよかさが際立っていった。自己紹介とオーディエンスによるニックネーム・コールの掛け合いを繰り広げつつ、全身で「9」の数字を象るポーズも決めると、ちゃあぽんこと西脇彩華が感謝の思いを織り交ぜつつ挨拶。この3/21が、かつて2002年にぱふゅーむ名義のインディーズ・デビュー・シングル『OMAJINAI★ペロリ』がリリースされた記念日であること、同時に、9nineのメジャー・デビュー・アルバム『first 9』の発売記念日(2007)であることも紹介して喝采を浴び、「今回の対バン相手に9nineを推薦してくれたのが、のっち(大本彩乃)とゆかちゃん(かしゆか/樫野有香)という熱い事実があるわけですが、家族愛と姉妹愛、メンバー愛を強く感じながらの公演となっております!」と、さすがの熱弁を振るうのであった。

Perfume×9nine @ 上野学園ホール
一瞬のステージ暗転の間に衣装チェンジを行ってオーディエンスをどよめかせ、フレッシュなエネルギーに満ち溢れたダンスを見せていたかと思えば、春の季節にぴったりなナンバー“koizora”ではじっくりと歌心を伝える。ところが、またもや衣装チェンジを行って、3/12にリリースされオリコン週間4位と好評を博しているニュー・シングル曲“With You/With Me”へと向かったとき、うっきーこと佐武宇綺の姿が見当たらない。楽曲の途中から加わってパフォーマンスを完遂したのだけれども、ちゃあぽんが結成9年目の武道館公演に向けた熱意を語る間にも、何かトラブルについて相談しているのだろうか、うっきーはステージと袖を行き来していた。そして「どうかもう一度、“With You/With Me”をやらせてくださいっ!」と深く頭を下げる。オーディエンスはむしろここで大喜びだ。「じゃあ、オリジナル・ヴァージョンの“With You/With Me”をご覧下さい!」とあらためて、5人揃っての再演を繰り広げ、最後には全力でタオルを振り回しながらの“困惑コンフューズ”へ。9nineもオーディエンスも、思うさま汗と笑顔にまみれる時間であった。

Perfume×9nine @ 上野学園ホール
転換中のホール内に、あちらから、こちらからとまたもや飛び交う歓声。そしていよいよPerfumeの登場と相成るわけだが、3人の神々しいまでの存在感と、座席制のホールでこれを鳴らすのかという、圧倒的なエレクトロ・ダンス・チューンにさっそくフロアは興奮の坩堝と化す。Perfumeの音楽が、時と場所を選ばないこの感じって、やっぱり異常だ。Perfumeの歌には、「踊る=ひたすらアガる」という法則に沿った楽曲はそれほど多くない。憂鬱さや気だるさや寂しさや一人悶々とする思いが玄妙なタッチで描かれ、困ったことにそれらが強力なダンス・ミュージックに乗っかっているのである。身体がノせられてしまうのはもちろんのこと、歌の世界観に心がノせられてしまう感じ。そしてあの、歌詞と音楽をつぶさに捉え、3人が全身を奏でるようなダンス・パフォーマンスである。音楽に乗って踊っているというより、音楽そのものを観ているような、そういう独特の感覚を味わうことになる。

Perfume×9nine @ 上野学園ホール
Perfume×9nine @ 上野学園ホール
シャープなこと極まりない体捌きはもちろん、3人はキャリアを重ねるにつれて、そのダンスのシャープさの中に、優雅さや艶かしさのニュアンスを育んできた。けたたましくノイジーなシンセ・サウンドが聴こえているのに、目から入ってくる情報は一種のエレガンスなのである。しかも、そのエレガンスは音楽とぴったりシンクロしている、という不思議。ロボットのような動きをしていたかと思えば次の瞬間に優美な舞いを見せ、どれだけハードな練習を重ねてきているんだ、と思わせているうちに、楽しそうな笑顔と共にアドリブでオーディエンスで煽り立て、すぐさま振り付けに戻ることが出来る。彼女たちのエレガンスは、「必至に頑張っている」イメージを和らげる効果も備えているのだった。もともと特定のジャンルに分類することも出来ないPerfumeのダンスは、今もまだ独自の進化を続けているのである。端的に言って、Perfumeに触れるという体験には前例がない。

Perfume×9nine @ 上野学園ホール
お馴染みの自己紹介コールを経て、「『Perfume FES!! 2014』、広島2日目、9nineの日〜っっ!!」と、あ〜ちゃんのハイトーンがひときわ力強く伸びる。「最高のイヴェントです。妹分というのもあるけど、私の本当の妹がいる。(『Perfume FES!!』の対バン相手に)女の子がね、おらんかったじゃん……ホルモンさんには一人、いらっしゃいますが。ドスドスバスドスバスドス! 盛り上がってるかー!! みたいなね」。そしてインディーズ・デビュー当時のエピソードを笑い混じりに振り返り、一方、のっちは「Perfumeを初めて観るって人、いらっしゃいますか? あ、9nineのTシャツ。(また別のオーディエンスを見て)あ、9nineのTシャツ」とこちらもフロアに笑いを起こす。フレッシュな気持ちを取り戻したい、というかしゆかは、「どうやったら取り戻せるの?」「やっぱり、ターンしてポーズじゃない?」というやりとりの果てに、くるっとターンからの「9」ポーズを決めて喝采を誘ってしまう。そしてオーディエンスを巻き込みつつ、再び畳み掛けられる楽曲群。Perfumeを誰よりも楽しんでいるのは、他でもないPerfumeの3人であるという、そんな本編の全10曲であった。

Perfume×9nine @ 上野学園ホール
Perfume×9nine @ 上野学園ホール
Perfumeから9nineへのメッセージという体裁のビデオが映し出され、「ちゃあぽんとあ〜ちゃんが並ぶわけでしょ、観たーい!」という、両者コラボレーションの前フリも伝えられて、いよいよアンコール。そして再び姿を見せるPerfumeの3人。楽曲は“スパイス”だ。ここに9nineの面々が絡んでくるのだろうか……いや、違うぞ。あれは、あ〜ちゃんじゃない。なんと、ちゃあぽんだ。西脇姉妹による、影武者コラボレーションという驚愕の展開である。見事なまでに“スパイス”を踊りこなしてゆくちゃあぽん。この日最大のどよめきと歓喜が、会場内に立ち籠めていたのは言うまでもない。と、いうことは。“スパイス”が鳴り止んだ次の刹那、ステージに走り込んで来る5つの影。ここに居ました、お姉さん。衣装を揃え、もうはち切れんばかりの笑顔で楽しそう。楽曲は9nineの“SHINING☆STAR”だが、この曲はあ〜ちゃんのフェイヴァリットということで、ノリノリにも程があるパフォーマンスを披露してしまっていた。最高だ。

Perfume×9nine @ 上野学園ホール
そして姉妹の入れ替わった両グループが揃ったところで、あらためて順繰りに自己紹介へ。この流れは……「8人あわせて!」「8eightです!!」と、自己紹介コールに至るまで見事なコラボが完成である。表記は筆者聴き取りによるものです。あしからず。「フリコピのビデオとかは観てたんですけど、まさか本人たちに教えて貰えるなんて、ファンの人に殺されるんじゃないかと(ちゃあぽん)」「あ〜ちゃんは、リハーサルに来た時点でほとんど教えることがなかった(うみにーこと川島海荷)」「あと、回るときにすごいしなやかなんだよね。私たち、ビュンって回っちゃうけど(かんちゃんこと吉井香奈恵)」。最後の最後には、この8人でPerfumeの“Puppy love”を共演するという一幕へ向かう。あ〜ちゃんとちゃあぽんがステージ中央に並び、どちらも目を潤ませている。ちゃ〜ぽんに至っては時折、うつむいてしまうような仕草も見せていた。いろんな想いがこちら側にも込み上げてくる。そして、9nineの面々を満場の拍手でステージから送り出す。のっちやかしゆかは、アクターズスクール時代にちゃあぽんとの共演経験があったけれども、あ〜ちゃんとちゃあぽんの共演は、実に今回が初めてだったのだそうだ。

Perfume×9nine @ 上野学園ホール
あ〜ちゃんは「9nineは、何度も崖っぷちになってねえ」と自身のことのように語り、先ほどの9nine“With You/With Me”のトラブルは衣装のファスナーの不調だったことも明かしながら「あんな振りを踊ってたらねえ。9nineの頑張りがそこでバーンって出たんだなって、お姉さん嬉しかった。そんなの誰のせいでもない! もう一回やって欲しい、って言って」と続ける。「あれ、あ〜ちゃんが言ったの!?」とのっちも驚いていた。この後に、あ〜ちゃんが4/9リリースの新作ライヴ映像作品『Perfume 4th Tour in DOME「LEVEL3」』のタイトルを失念してしまい、のっちに助け舟を出されていたのはご愛嬌だが、「今年は、ライヴ・イヤーにしたいと思っているので!」という意気込みも伝えられた。まずは『Perfume FES!! 2014』、今後は静岡で9mm Parabellum Bullett、石川でRHYMESTER、香川で秦 基博、鹿児島で高橋 優、韓国でマキシマム ザ ホルモンと対バンが控えている。何が起こるか予測不可能な部分も含めて、各公演を楽しみ尽くして頂きたい。(小池宏和)
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