忘れらんねえよ×フラワーカンパニーズ@TSUTAYA O-WEST

忘れらんねえよ×フラワーカンパニーズ@TSUTAYA O-WEST  - pic by 岩佐篤樹pic by 岩佐篤樹
忘れらんねえよの対バン企画であり、3月から全国各地でCzecho No Republic、THE ORAL CIGARETTES、KEYTALK、GOOD ON THE REEL、グッドモーニングアメリカ、キュウソネコカミ、今後予定されている仙台と盛岡では爆弾ジョニーと、今をときめくフレッシュなバンドたちと相見える『忘れらんねえよ 主催 ツレ伝ツアー~序章~』。東京・渋谷公演では、フラワーカンパニーズとの世代を超えた、涙あり笑いありのエモーショナルな共演を繰り広げた。しんどい人生を膨大なエネルギーのロックンロールに転換してみせる、最高の組み合わせである。「ツレ伝セッション=略してツレション」として、忘れらんねえよ・酒田耕慈(Dr.)によるフラワーアレンジメントも贈られたという一夜の模様を、レポートしたい。

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ツアー参加バンドのサインや、あいうえお作文風の落書きも書き込まれた『ツレ伝ツアー』特製のバックドロップを背負い、先攻するのはフラカン。なんと、いきなり大名曲“深夜高速”を叩き付けたオープニングである。開演前から、どちらのファンとも知れない歓声と手拍子に満たされていたフロアではあったけれども、鈴木圭介(Vo.)は「シブヤーッ!!」と昂ったシャウトを織り交ぜつつ、この名曲で場内の空気をひとつに纏め上げてしまった。“はぐれ者讃歌”では、軽やかにして鮮烈なギター・リフを繰り出す竹安堅一(G.)。そしてグレートマエカワ(Ba)とミスター小西(Dr.)の豊かなハーモニーに彩られた歌が、オーディエンスに伝播してゆく。抜き身の4ピース・サウンド、それもカジュアルな装いの4人なのに、まるで戦闘服を纏っているかのような佇まいに見えてしまうのはなぜだろう。目下の最新シングルである“夜空の太陽”を経て、“人生GOES ON”までを実に楽しげにプレイすると、圭介とグレートが語り出す。

忘れらんねえよ×フラワーカンパニーズ@TSUTAYA O-WEST  - pic by 吉田圭子pic by 吉田圭子
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「忘れらんねえよの『ツレ伝ツアー』、誘ってくれてどうもありがとう! 若いバンドから誘われると、自分が若いんじゃないかって錯覚するよね」(圭介)「まあ、歳じゃないからね、音楽はね」(グレート)「我々、結成25周年で、『4人で100才』っていうツアーを、今週から(4/5~)やります。いつ終わるか分かんないからね! いつまでもあると思うなよ! 続けるのは大変なんだ!」(圭介)と、フラカンから放たれるそんな言葉は説得力の塊だ。そして、キャリアの深みとフレッシュな衝動を同時に撒き散らす楽曲が次々にプレイされてゆく。春のシーズンにもピッタリと嵌る“涙よりはやく走れ”。感情をストレートに叩き付けた、触れる者の胸を焦がす“東京タワー”ときて、バックドロップを振り返りながら「あれ、俺たちも書いていいのかなあ。まあこの歳になってね、自己主張してもしょうがないからな」(圭介)「どの口が言ってるんだ! あれだけ跳んだりターンしたりしておいて!」(グレート)という絶妙の掛け合いも飛び出して、最後には“真冬の盆踊り”が目一杯の狂騒を描き出すという、 濃密なフラカン空間であった。

忘れらんねえよ×フラワーカンパニーズ@TSUTAYA O-WEST  - pic by 岩佐篤樹pic by 岩佐篤樹
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さて続いては、“恋するフォーチュンクッキー”のSEに乗って登場した忘れらんねえよ。柴田隆浩(Vo./G.)がさっそく熱い吐息混じりに「イエエ・・・SEXこんばんは! AKB48ですー!! アレアレ!?」と冗談めかしてはいるものの、フラカンとの『ツレ伝』が楽しくて仕方ない、といった様子でニコニコとしたまま、“僕らチェンジザワールド”から豪快にして迷いの無い3ピース・ロックをぶっ放してゆく。『ツレ伝ツアー』Tシャツの柴田、ボトムとリスト・バンドを赤で揃えたコーディネートの梅津拓也(Ba.)、そしてグレートマエカワを凌いで最も肌露出の多い酒田耕慈(Dr.)のトライアングルが、フロアをまるごと持ち上げてしまうような楽曲を放ち、オーディエンスは盛大なクラップや間の手で応酬するという、見事な立ち上がりを見せる。この連帯感をきっちりと歌詞に落とし込んで見せた新曲“体内ラブ”は、強靭なディスコ・ロック・グルーヴに臓器を連呼するフレーズも散りばめられた、楽しいナンバーだ。 「サンキューSEX! どうもありがとう、flumpoolです。音楽的にもルックス的にもflumpoolです」と、あらためてデタラメな挨拶を挟み込む柴田。例によって、初恋の人を執拗に追い続けた結果、相手は慶応ボーイと結婚していたというエピソードを語りながら「おめでとうじゃねえよ! えっちゃんのときもさあ!」と“慶応ボーイになりたい”に繋げるのだが、「flumpoolで“花になれ”でした」と随分flumpoolネタのボケを引っ張っている。それでも、“この高鳴りをなんと呼ぶ”のしなやかでタフなメロディにはグッとさせられてしまうのだから困りものだ。そして、疾走感とダンス性をもってどうにか人々を肯定しようとする“タイトルコールを見てた”に続いては、「おれ、中学のとき、〈2軍〉でしてねえ。運動が全然、出来なくてさあ」「小学校のときからギャグキャラだったトオルくんは、中学でも通用しちゃって。俺は教室でドラクエの話とかしてて。昨日5時間もレベル上げしちゃったよー、とか。トオルくんが教室にガラガラ~って入って来ると、あれ、みんなは?って言うの。俺はそのみんなに入ってないんですかと思いながら、 屋上に行ったよって教えると、〈2軍〉だけかよこの教室、って言って。ムッカ~っときて。そういう気持ちの分かる人がいるかも知れないから、そういう人を肯定するために作った歌です」と語り、“運動ができない君へ”を披露する。優しく力強いメロディと、まっすぐに届く言葉が合わさった美しいナンバーであった。それにしても新曲群、凄い。

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「大分のダイノジロックフェスで、フラカンの後に俺らだったのよ。大谷さんが“真冬の盆踊り”で出て来て煽りまくって、しかもスペシャルゲストが来ていますって、斉藤和義さんまで出て来ちゃって! たまたま大分でライヴがあったらしくて。もう、フィナーレみたいになっちゃってさあ。食後だよ食後。食後でもデザート/スイーツならいいけど、俺ら、いなり寿司みたいなバンドじゃん。頑張ったけど」。そんな爆笑エピソードも届けられたのちに、フラカンへ寄せる熱い思いも告げられて、エモーションだだ漏れの爆走モードへと突入してゆく3人。“ばかばっか”は、この爆走モードをしっかりと繋ぐ新曲であった。キュウソネコカミのステージを真似てフロアを揉みくちゃにし、グドモ風のコールを取り入れて「1、2、サンキューSEX!」と傾れ込んでゆく最終ナンバーは、こちらも新曲“バンドやろうぜ”だ。生活にくたびれたり、他のバンドを羨んだりしつつ、何度でもフレッシュな衝動が燃え盛る、そんな1曲であった。

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さて、ここで運び込まれるスタンド・マイクにどよめきが起こる。柴田がスーパードライを呷って緊張を解きほぐしながらのアンコールは、「いなり寿司バンド、いいね。俺たちもヤキイモみたいなバンドだったよ」(グレート)「両方とも、皮被りですね」(柴田)といった調子で、フラカンとの“忘れらんねえよ”合同セッションだ。グレート×梅津のツイン・ベース、小西はマラカスを、竹安はタンバリンを振るうという編成で、オーディエンスを導きながらの大合唱で温かいフィナーレを迎えるのだった。記念撮影では、これもオーディエンスのS・E・Xハンド・サインを背負って7人がポーズ。圭介が「おれ、Xがいい」と主張したり、小西と酒田が腕をクロスさせているので「S・S・E・X・X・X」というサインを繰り出しながらの大団円である。忘れらんねえよのメジャー・ファースト・ミニ・アルバム『あの娘のメルアド予想する』は6/11リリース予定。また、『ツレ伝ツアー』も、チケット即完となったらしい『つぼ伝』(つぼ八とのコラボ)をはじめ、おとぎ話やSAKANAMONとの『~袋とじ編~』や、6月~7月の『~あの娘のメルアド予想する編~』など、新たなスケジュールが次々に決定しているので、ぜひチェックを。(小池宏和)
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