毎年ヨーロッパ各国を代表する楽曲とアーティストのパフォーマンスを競うユーロビジョン・ソング・コンテストの今年の優勝者にオーストリアの髭の女装歌手が輝いて話題を呼んでいる。
優勝したのはオーストリア代表のコンチータ・ヴルストで、5月10日にデンマークのコペンハーゲンで行われた決勝大会で"Rise Like a Phoenix"を披露し、290点を獲得して優勝に輝いた。2位はオランダのデュオ・ユニット、ザ・コモン・リネッツの"Calm After The Storm"で獲得点数は238点、3位はスウェーデンのサンナ・ニールセンによる"Undo"で獲得点数は218点だった。
イギリス代表のシンガー・ソングライター、モリー・スミッテン=ダウンズは"Children Of The Universe"を披露したが、40点獲得して17位に終わった。オーストリアにとっては1966年以来の優勝で、決勝進出も10年ぶりのことだった。
決勝大会が始まる時点でコンチータは2位につけていて、下馬評では敬遠されて優勝は難しいのではないかとされていたが、圧倒的な歌唱力を見せつけて審査の37か国中34か国から高得点を得るに至り、だんとつの1位に輝いた。優勝にあたってコンチータは次のように挨拶してみせた。
「今夜の喜びは平和と自由という未来を信じるみなさん全員に捧げたいと思います。それが誰なのかはもうおわかりですよね、わたしたちはみんな団結して、もう誰にもわたしたちを押し戻すことはできやしません」
コンチータはそう語り、各国の審査員が自分に投票してくれたことは、まるでヨーロッパ全体がなにかを主張しているかのように感じたとも心中を説明した。
「わたしは自分のセクシュアリティとか、誰を愛しているのかなど、不必要なことをいちいち説明しなくてもいい世界が実現することを夢見ています。今夜ヨーロッパは敬意と寛容さのコミュニティーなんだということを示すことができたように感じました」
なお、イギリス代表のモリー・スミッテン=ダウンズは下馬評ではトップ5以内に入るのではないかと評価も高く、賭け屋でも人気となっていたが、最終的にはサンマリノ、デンマーク、マルタ、アイスランド、ノルウェー、アイルランド、スペイン、ベルギー、グルジアの9か国からしか得点を得られなかった。ただ、昨年出場し、19位に終わったイギリス代表のボニー・タイラーよりは上位につけることに成功した。
ユーロビジョン・ソング・コンテストはこれまでアバ、セリーヌ・ディオン、フリオ・イグレシアスなどさまざまなヨーロッパのアーティストのブレイクのきっかけとなってきている。
コンチータの決勝パフォーマンスはこちらから。
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