ザ・ルーツのクエストラヴ、キム・ゴードンの回想記『Girl in a Band』を絶賛

ザ・ルーツのクエストラヴ、キム・ゴードンの回想記『Girl in a Band』を絶賛

先月回想記『Girl in a Band: A Memoir』を刊行したキム・ゴードンだが、ザ・ルーツのクエストラヴがニューヨーク・タイムス紙の書評でこの本を絶賛している。

「キム・ゴードンの回想記となると、ぼく個人にとってはかなりツボなのだ」とクエストラヴはかなりひいき目であることを打ち明けつつ、ソニック・ユースを次のような経緯で知っていたことも明かしている。

「ぼくはソニック・ユースの音楽はかなりよく知っているが、そのわけのひとつには高校の放課後にレコード店でバイトをしていたからで、その店でソニック・ユースは棚のソーシャル・ディストーションとサウンドガーデンの見出しの間に置かれていた」

クエストラヴは本がいきなり「終わり」と題された章で始まり、キムとサーストン・ムーアの離婚発表直前にソニック・ユースがブラジルのサンパウロで行った最後のライヴを振り返って「生まれてこの方こんなに孤独を感じたことはなかったと思う」とこの時の心境を綴っていることを紹介。さらに、そこから一転していきなり自身の生い立ちを語り出すコラージュ的な手法が実に刺激的だと指摘していて、回想や折に触れて文章がさまざまな楽曲についてのエッセーと化す展開が交錯する構成を評価している。それぞれに短い章立てについても「3、4ページの長さしかなく、その短さにむしろこれは歌と呼んでもいいのかもしれない」と触れていて、本の内容については「これはとりわけ読みやすい本ではないし、会話のやりとりがえんえんと続くようなくだりも特に紹介されていない。けれども、どの話題についても、じっくり考え抜かれて、詳細に綴られ、本当の感触が伝わってくるのである」と高評価している。

またクエストラヴは、キムとサーストンの別離について次のように紹介して書評を締め括っている。

「27年一緒に連れ立ってきて、キムはサーストンが外で恋をしているのではないかと感づくのだ。それはキムの予感通りだったことが判明する。このくだりはこの本の中でも最も生々しい内容となっているが、生々しいのはこの事情が直近の出来事だからということではないのだ。キムがサーストンに対して同情はするが許すことはできないと綴る時、キムの言葉選びはまるで武器を選んでいるかのように感じられる。そして二人の結婚は終わりを迎える。

それとともにこの本もまた終わりを迎える。この本には特に劇的な最後のシーンもないし、二人の離別についての怒りと悲しみの交錯する叙述に続いた後ではそのようなシーンがありうるはずもない。この本は人として、そしてアーティストとしてのサヴァイヴァルを綴ったものなのだ。その後キムは、生涯の友人であるビル・ネイスと新しいバンド、ボディ/ヘッドを立ち上げる。この本の読後感は、とても冷静で落ち着いた視点で書かれているというもので、そこにはわずかながらの諦念、そして大いなる怒り、さらにアートの力への変わることのない愛も込められたものになっている。キムがかっこいいままなのは、キムが実際にかっこいいからで、キムはこの本の中のあまりかっこよくない稀有な瞬間においてもなお、やっぱりかっこいいのである」
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