アップル、定額制の新ストリーミング・サービス「アップル・ミュージック」を発表

アップルは6月8日にサンフランシスコで行われた恒例の世界開発者会議(WWDC)でかねてから伝えられてきた新しいストリーミング・サービスについて明らかにした。

この新サービス「アップル・ミュージック」についてアップル代表のティム・クックは発表スピーチの最後に「もうひとつご紹介したいものがあります。ぼくたちは本当に音楽が好きなのです」と前置きしてから、会場でビデオが映し出され、その後アップル・ミュージックによって「今後あなたの音楽の経験の仕方が永遠に変わりますよ」と参加者に呼びかけたとNMEが伝えている。

するとクック代表は、今回のプロジェクトのためアップルがすでに買収していたビーツ・ミュージックのオーナーで元インタースコープ・レコード代表で、現在アップルの経営に参加しているジミー・アイオヴィンを「ぼくが知っている誰よりも音楽については通じている人物」と紹介し、アイオヴィンはさらに別なアップル・ミュージックについてのビデオを参加者に披露してから次のように解説したという。

「2003年にレコード業界は混乱の渦の中に放り込まれている状態でした。ナップスターがあり、ライムワイアーがあり、ビットトレントがあったのです」とアイオヴィンは振り返り、違法ダウンロードによるコンテンツの無料でのやりとりが平然と横行していたことを説明し、その数年前にまだレコード会社の経営者だった自分のところにスティーヴ・ジョブスがアイチューンズの構想について持ちかけてきた時のことを次のように語った。

「これはつまり、テクノロジーとアートが両立することはできるということだったんですよ、少なくともアップルでなら。音楽業界は今ではばらばらにされてしっちゃかめっちゃかの状態なのです。音楽のストリーミングをしたいならあっちに行ってもこっちに行ってもどこでもできる、動画を観たいんだったらさらにいろんな場所があるっていう具合ですね。さらにある特定のアーティストについて追っかけたいんなら、また別な場所に行くという感じで、これでものすごくややこしいことになっているんですね」

これにまた続いたビデオではアイオヴィンやドクター・ドレーとともに買収前からビーツ・ミュージックに関わってきたナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーが登場し、今回新しく刷新されたアップル・ミュージックは「音楽が電子的なビットというよりはむしろその本来の姿であるアートとして扱われている場所だ」と参加者に呼びかけたという。

今回の発表によるとアップル・ミュージックはアイチューンズでユーザーにオンデマンド・ストリーミングを提供するほか、アップル・ミュージックで用意したプレイリストやおすすめ、さらに「音楽で傑出しているか、頭角を現し始めているようなものすべて」も提供していくという。世界各地から結集した音楽の専門家がユーザーの好みに応じてプレイリストを作成していき、ユーザーが利用すればするほどユーザーの好みも学習されていくことになるという。さらに「フォー・ユー」と呼ばれたセクションも設けられ、そこでは個々のユーザーの特性に応じて選別されたアルバムや新譜、プレイリストが用意されるという。

また、秘書機能アプリのシリも連動して使えるので「1994年のベスト・ソングを再生」などというリクエストに応じて楽曲を検索して再生していくという。

さらにアップル・ミュージックでは24時間体制で放送されるラジオ・サービス、ビーツ・ワンも提供される。ロサンゼルスの看板DJは元BBCのゼイン・ロウ、ニューヨークはエブロ・ダーデン、ロンドンはジュリー・アデヌガが務めることが発表されている。ユーザーは世界各地で同時に番組を聴ける仕様になっていて、さらに独占インタヴューやゲスト・プレゼンターなども続々紹介していくという。また各DJやプレゼンターは自身のチャンネルを放送し、さらにジャンル別チャンネルなども順次用意されていくという。特にジャンル別チャンネルについては、ラジオでは珍しく楽曲のスキップ再生機能が使えることになるとか。

会場で披露されたビデオの中でゼイン・ロウは「ここを切り回してるのは本当の音楽ファンなんだ。今スタジオに入っているのも本当のアーティストなんだよ。そんなぼくたちはビーツ・ワンと名乗っていて、ぼくたちは自分たちの大好きな音楽をいつもかけてるんだよ」とビーツ・ワンについて説明した。

さらに第3の機能として備わっているアップル・ミュージック・コネクトというサービスはアーティストとファンが共有するブログになっているとのことで、アーティスト側からビデオや最新トラックやリミックス音源、画像や歌詞などをアップロードする一方で、ファンは「大好き」をクリックしたり、コメントを残すことができるようになるという。この機能の発表を担当したアップル上級副社長のエディ・キューは壇上にドレイクを招待し、ドレイクは「テクノロジーでこれほど世界を変えてきたみなさんと一緒にこの場にいられるなんて本当に光栄です」と挨拶をしてから、自身のキャリアもまたテクノロジーを使ってオーディエンスに直接訴えかけていったことから始まったと説明した。

アップル・ミュージックは6月30日からサービスが開始され、月額9ドル99セント(約1243円)の有料サービスとなる。日本でもオフィシャル・サイトが開設されているが、「まもなく登場」とのことだ。

(c) NME.COM / IPC Media 2015
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