──久々のニューアルバム『UNBOUND』では、どんな自分を表現したいと思いましたか?ここまで自由にやらせてもらったのは初めてかも。自分でもびっくりするくらいUNBOUND(=解放的)な内容になっています
今までは「藍井エイル」という枠を尊重して、そこから外れないように意識していたのが、今回は結構ぶっ飛んだ内容になりました。私がやりたいことに合わせて作家さんに曲を作ってもらったんですけど、ここまで自由にやらせてもらったのは初めてかも。自分でもびっくりするくらいUNBOUND(=解放的)な内容になっています。
──今までは「藍井エイル」というアーティスト像を守らなくてはいけない意識が強かったんですか?
はい。でも、シングル曲の“MONSTER”で今までにない表現をした結果、たくさんの人が受け入れてくれたので、新しい挑戦をしてみるべき時期なのかなと思って。正直、どんな反応をもらえるのか、まだ怖いですけどね。お客さんには「よろしく頼む」という気持ちで思い切りました(笑)。
──活動再開後初のアルバムですし、心機一転したい気持ちもあった?
音楽活動に限らず、最近、新しいことを始めることが多かったんです。たとえば去年の夏ごろから英語の勉強を始めたり。実は9月から1週間だけセブ島に語学留学に行くんです(取材時)。そういうのもあってアルバムでもすんなり挑戦ができたのかも。
──実際にいろんな曲にチャレンジしてみて、どう感じましたか。
面白かったです。がなってみたり、ポソポソと静かに歌ってみたり、壮大に歌ってみたり。いろいろな表現ができて、自分のためにもなるアルバムができたと思います。
──その中でも、アルバム1曲目のリード曲“嵐の中でも”は、エモーショナルで力強い曲になりました。何度も歌手を辞めようかなと思ったことがあったけれど、応援してくれる人たちのことを考えると辞めるわけにいかないと思えたし、自問自答しても、やっぱり辞めたくないという気持ちに辿り着いて
初めて聴いた時に衝撃を覚えたほど、メロや曲が最強だったので、最初からこれをリード曲にしようと決めていました。もともとは「J-POPな感じの楽曲」というイメージをお伝えして、“MONSTER”でもご一緒したGAK-amazuti-さんに曲を作ってもらったのですが、歌詞はすごく「藍井エイル」のイメージを拾い集めて書いてくださって。《藍い熱は決して冷めない》とか、私の名前にちなんだ言葉を入れてくれたり。
──たとえ嵐の中でも《藍い熱は決して冷めない》。再起を経てメジャーに舞い戻ったご自身の心境とも重なりそうなフレーズが満載です。
特に《ただ選ばれるより選んで(この手で) 生きる方がこの世界も捨てたもんじゃない そう思える気がした》という歌詞はすごく刺さりました。アドラーの心理学で、何事も自分で決めて選択したなら自分の人生になるという考え方があって、私はそれを信じているタイプなんです。「誰かに決められた」のではなくて、「自分で選んだ」と思うほうが心が楽になるんですよね。
──これまでの活動で「嵐」や「波乱」を感じた瞬間はありましたか。
波乱ばっかりです(笑)。とにかくずっと体調が整わなかったので、自分では抗えないものがあって。「迷惑をかけちゃってしんどいな」と考え込んだこともありました。
──それでも《藍い熱は決して冷めない》理由、エイルさん自身の熱が冷めなかった原動力は何でしょうか。
それは完全に、応援してくれる人たちがいてくれたからです。何度も歌手を辞めようかなと思ったことがあったけれど、応援してくれる人たちのことを考えると辞めるわけにいかないと思えたし、自問自答しても、やっぱり辞めたくないという気持ちに辿り着いて。そのきっかけをくれたのはファンの人たちだったので、《藍い熱》はファンとの繋がりに直結していると思います。
──レコーディングでも、その思いを込めて歌ったわけですね。
最初はGAKさんから私への応援歌だと思っていたんです。でも、自分が歌う時は、人生でなかなか上手くいかなくて悩んでいる人たちへの応援歌になればいいなという気持ちで歌いました。理屈っぽくなく、ストレートに伝えるイメージです。
──MVでの、廃墟のような場所で青い花びらに囲まれて歌うエイルさんが印象的でした。
私からは無機質なコンクリートのイメージをお伝えしたところ、そこから雨や水、花といった要素が加わってできあがりました。今まで草原から洞窟までいろいろな場所でMVを撮ってきましたけど、この曲はそれらとは違う世界にあるなと思って。自分の心の部屋から出てこられないけれど、だんだん開けていく、みたいな。そこから無機質な空間に花びらが舞うことで、自分の心の中に花が咲き、前に進んで行くという感覚を見事に表現してもらいました。
──ご自身も、今は無機質な心の部屋から飛び出した感覚がある?
この15年を考えると、無機質な時もありました。いろいろ悩んだこともあったけれど、今はもう毎日ハッピーでやっているので、このハッピーをみんなに分けてあげたいくらいです。さっきも写真を撮影してもらいながら「人生最高だ」みたいなことを言っていたくらいなので(笑)。
──何がきっかけで、そのように吹っ切れたのでしょうか。
ひとつ乗り越えたというか、細かいことが気にならなくなったんです。以前はすごく内向的な部分もありましたけど、今は人からどう思われるかが気にならなくなって。これは私の持論なんですけど、「嬉しいこと」と「悲しいこと」って平等に来る気がするんです。悲しいことが多ければ、その分、ハッピーなことが待っている。これまでの活動を振り返ると、忙しい時はつらいと思うことも多かったですし、活動休止して絶望したり、発声障害になったり。歌手になる前もしんどいことが多かったですけど、私は子どもの頃から、いつか絶対笑える日が来るから大丈夫って信じ続けていたんです。今はすごくハッピーだから、この持論は正しかったんだと思います。すごくプラス思考になりました。