今週のRO69ニュースROUND UP:オアシス再結成、「あの人」は賛成?反対?それとも?

今週のRO69ニュースROUND UP:オアシス再結成、「あの人」は賛成?反対?それとも?

ポール・ウェラーの素晴らしいニュー・アルバム、『サターンズ・パターン』。皆さんもう聴きましたか?「生涯現役」と言うのは容易いけれど、実際にそれを実行できているキャリア30年選手なんてほとんどいないわけだが、今回の新作は生涯現役なのはもちろんのこと、現役のクオリティ自体を更新し続ける彼の「生涯チャレンジャー」精神の産物でもある。

そんなウェラーのアティチュードを象徴するインタヴューが先週公開された。曰く、「いくら金を積まれてもジャムもスタカンも再結成しない」と。

◆ポール・ウェラー、金を積まれてもジャムもスタイル・カウンシルも再結成しないと語る(2015/6/10)
http://ro69.jp/news/detail/125531

ウェラーが言うと、凄まじい説得力である。なにしろ彼はザ・ジャムを人気絶頂期に突然解散させた男なのだ。当時彼はまだ23歳の若さだった。23歳にして頂点を極めたバンドをあっさり辞めたのだ。なぜなら彼がそのとき最もやりたかったR&B、ソウルのためにはジャムは最良のかたちではなかったから。

スタカンの解散はもっとほろ苦いものだった。後期2枚のアルバムの商業的失敗によって過去の遺物になりかけた彼は、辞めるしかなかったのだ。

ちなみに、ふつうの人だったらこのスタカンの解散時点での延命装置として既にジャムの再結成を考えたっておかしくなかったはずだ。音楽活動から足を洗わないかぎりは、どうせ遺物になるならより良い遺物へ、そういうソフトランディングを目指すのは珍しいことではないからだ。

でも、彼はそこで何をしたかと言えば、裸一貫からの出直しソロ活動をスタートさせた。小規模なパブや大学の文化祭レベルのステージをこなす、文字通りどさ回りから始めたのだ。そして見事復活したウェラーの3度目の全盛期は、既に20年以上続いている。

いつの時代も常に最高にカッコ良いポール・ウェラーという名の奇跡を観よ!↓

The Jam "Going Underground"

The Style Council "Shout To The Top"

Paul Weller "The Changingman"

Paul Weller "White Sky"

そんなポール・ウェラーのキャリアで一貫しているのは、過去は振り返らないということだ。今日の自分は昨日より確実に前に進んでいる、いや、進まなくてはいけないんだという哲学だ。この常に先を見据えた歩みこそがウェラーをモッド・ファーザーたらしめているものだし、そんなウェラーの音楽と哲学を尊敬して止まないのがノエル・ギャラガーだ。オアシス解散後のノエルのソロでの着実な歩みには、ウェラーのそれと近いものを感じるのも当然なのかもしれない。

ちなみにウェラーがオアシスとノエルの「今」についてどう評価しているのか、これまた非常に彼らしい発言があった。

◆ポール・ウェラー、「オアシスよりノエルのソロのほうが好き」と語る(2015/5/13)
http://ro69.jp/news/detail/123843

つまりウェラーはオアシスの再結成について否定的な意見の持ち主ということになる。ちなみに彼は同じインタヴューの中でブラーの再結成アルバム『ザ・マジック・ウィップ』については絶賛しているし、「再結成=悪」という脊髄反射でものを言っているわけではない。ブラーにとっては再結成して彼ら自身が納得できる新作を作ることがより良い今だし、ノエルにとってはオアシスよりソロが彼の今の正解だという、シンプルな判断なのだ。

そんなオアシス再結成否定派のウェラーに対して、再結成中立派とでも呼ぶべきなのがポール・マッカートニー。「ノエルとリアムが仲直りできたらいいね」と、ふたりの立場を慮りつつもファンの気持ちをも汲み取った発言をしている。かつてレノン&マッカートニーの葛藤を味わったサー・ポールの言葉だけに、発言の重みが違う。これについてはさすがのノエルも「知らんがな」とは言えず、下記のように誰も傷つけない模範回答を繰り出している。

◆ノエル、ポール・マッカートニーが曲を書いてくれるならオアシス再結成も考えると語る(2015/6/5)
http://ro69.jp/news/detail/125277

そして、最もラディカルなオアシス再結成賛成派なのが、ブラーのアレックス・ジェームスだ。

◆ブラーのアレックス「オアシス再結成に大賛成!ブラーのサポート・バンドをして欲しい♪」(2015/5/22)
http://ro69.jp/blog/kojima/124459

アレックスは昔から地味にKY、もとい何気に爆弾発言の多い人ではあるが、「再結成してブラーの前座をやればいいじゃない」という、天然なのかブラック・ユーモアなのか判断がつかないアレックスらしいこの上から発言は嫌いじゃない。そういやオアシスとブラーが犬猿の仲だった時代、ギャラガー兄弟にデーモンよりもぼろくそにディスられまくってたのはアレックスだったなあ……と思うと感慨深かったりも。

ノエル・ギャラガーのオアシスに対するスタンスは、もちろん一番最初のウェラーに近い。NYで中村明美さんにやってもらった最新インタヴューでも重ねてオアシスの「終わり」について語っている兄貴なので、7月1日売りのロッキング・オンでご確認いただきたい。

◆ノエル・ギャラガーにインタビューした!フジロックへの意気込みなど。NYフェスDAY3(2015/6/9)
http://ro69.jp/blog/nakamura/125410

一方のリアムはと言えば、ビーディ・アイ解散後の定まらない動きが相変わらず続いている。

◆元オアシスのボーンヘッド、L・ギャラガーとR・ダルトリーのスーパーグループに参加(2015/6/12)
http://ro69.jp/news/detail/125631

オアシスの残滓を集めたようなこのリアムたちの一夜限りの“My Generation”が、オアシスのなにがしかの未来を象ることは絶対にないだろう。何百分の1の可能性でオアシスの再結成が実現したとしても、それはリアムが再び自分だけの足で立てた後のことだろうなと思う。(粉川しの)
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