極上ラウド祭典「SATANIC CARNIVAL」! PIZZAの呼びかけに集いし23組による怒涛の一日
2015.06.24 19:00
2015年6月20日、PIZZA OF DEATH主催イベント「SATANIC CARNIVAL'15」が幕張メッセ 国際展示場 9-11にて行われた。RO69では、この模様をライヴ写真とレポートでお届けする。
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昨年に引き続き2度目の開催を迎えた、PIZZA OF DEATH RECORDS企画・主催による、極限のラウドミュージックカーニヴァル。シーンを牽引して来たベテランと勢いに満ちた新進気鋭のバンドが手を取り合い、間もなく活動に休止符を打とうとするバンドが日本のラウド史に深く刻み付けるドラマまで、ありとあらゆる体液が絞り出されてしまう一日だ。ひときわ巨大なSATAN STAGEと、スライド式の転換により次々パフォーマンスが繰り広げられるEVIL STAGEの2ステージ制も前回と同様。このレポートでは、SATAN STAGEの模様を中心に駆け足で振り返ってみたい。
午前11時、先行して幕が切って落とされたのはEVIL STAGEだ。オープニングアクトを務める北九州市出身の4ピース=SHIMAは、スクリーム混じりのメロディアスチューンで朝っぱらから詰めかけたオーディエンスをがっつりと跳ね上がらせてしまった。こちらのステージでは以後、出演順にCRYSTAL LAKE、BACKLIFT、BUZZ THE BEARS、WANIMA、HAWAIIAN6、RADIOTS、G-FREAK FACTORY、locofrank、怒髪天、The BONEZ、04 Limited Sazabys、GOOD4NOTHING、そしてアンカーのSHANKと、合計14ものアクトが熱演を繰り広げていた。
鮮烈でファンな歌メロが弾けるBACKLIFTは、遊びに来た前回を思い返して出演を喜びながら“sign”を放つ。「群馬のヴィジュアル系バンドです!(笑)」とエモーションを乗せたダブパンクグルーヴに巻き込むG-FREAK FACTORYの存在感も強烈だ。怒髪天は大人の男気を思うさま振り撒く絶好調ぶりを見せつけ、フォーリミは爆音を搔い潜って伸びるGEN(Vo・B)の歌声がフロアに降り注ぐ光景が美しい。質実剛健なパフォーマンスで最終ランナーを務めたSHANKは新曲も披露した。PIZZA OF DEATH主催とはいえ、レーベル在籍バンドの枠には留まらないブッキングが、SATANIC CARNIVALの懐の深さを伺わせる。それでも、びっしりと埋まったフロアを大合唱させるWANIMAから、レーベルOBのハワイアンによる前のめりなステージへと連なるリレーには胸を熱くさせられた。
一方SATAN STAGEでは、OVER ARM THROWが先陣を切る。3ピースの機動力に男臭いハーモニーを乗せ、「マクハリー! 俺たちの居場所を作ろうぜ!」(鈴野洋平/B・Cho)「すげー売れてるみたいで、勘違いしてます!」(菊池信也/Vo・G)と言葉を投げ掛けながら、午前中にして濃い熱狂を練り上げてしまう。鈴野が現・UNLIMITSの大月義隆(G)と一緒にAIR JAM 2000を観て触発され、バンドを始めたというエピソードを語りながらの「バンドやってる奴、この景色をいつか見に来いよ!」というメッセージも最高だ。続くROTTENGRAFFTYは、サウンドチェックの“その向こうへ”(10-FEETカヴァー)から早くも沸騰。松葉杖を武器のように振り回すNOBUYA(Vo)の歌声と、N∀OKIによるドスの利いたアジテーションがひっきりなしにオーディエンスを煽り立て、“金色グラフティー”までの激烈ミクスチャーパフォーマンスを繰り広げてみせた。
ザッツスカパンクという、不屈の陽性サウンドで湧かせるのはKEMURIである。“new generation”でぶっ放される田中‘T’幸彦(G)のギターソロが華やかなホーンとせめぎあい、伊藤ふみお(Vo)は来るニューアルバム『F』に触れると、「いろんなものを繋げる空」へと思いを馳せながら舞い上がるような新曲も届けてくれた。coldrainは、Masato(Vo)の拡声器ヴォーカルからなだれ込む“Aware And Awake”を皮切りに、「ここが幕張メッセだなんて忘れようぜ! ライヴハウスSATANIC CARNIVALへようこそぉー!!」と美しいヘヴィネスのアンセム“No Escape”も持ち込まれる。ここから“Inside Of Me”へと連なる騒音美の時間は最高だった。
“あなたに”→“DON’T WORRY BE HAPPY”という、序盤からの「みんなのうた」ぶりがえげつないMONGOL800。上江洌清作(Ba・Vo)は「相変わらずの沖縄があって、相変わらず平和への願いを込めて歌わずにはいられない、というのが本音でございます。6/23には沖縄慰霊の日というのがありまして、その前にこの場所で歌えて嬉しいです」と、真摯な思いを託した新曲“ひめゆり”も届けるのだった。狂喜乱舞必至の華々しいレイヴコアが、バンドの自信と説得力に満ちたサウンドデザインに裏付けられたFear, and Loathing in Las Vegas。今秋届けられるという4作目のアルバム&ツアー、そして年明けの武道館ワンマンについて告知すると、「カーニヴァルっぽい曲」と“Starburst”を放つ。ラウドロックの魂を抱えたまま、メインストリームにずかずかと踏み込む姿が清々しい。
そしてPIZZA OF DEATH代表のKen Yokoyamaは、企画には一切触れずに1バンドとして参加するスタンスを伸び伸びと謳歌しつつ、YouTubeに公開したビデオもぜひ観てくれ、と新曲“I Won't Turn Off My Radio”を披露。「個人的には、カルチャーを代表するイヴェントになって欲しいと思ってる。その辺のJ-POPの祭りと一緒にされちゃ、困るんだよな」「イタメシ屋に行ったらイタリア国旗が掲げられてるのに、和食の店で日の丸掲げたら右翼の店って言われるのは、おかしいじゃん」と、変わらずまっすぐなメッセージを投げ掛けて、喝采を攫うのだった。
10-FEETは、クリスピーなコーラスが小気味良く転がり出す“4REST”に“RIVER”と楽曲を放ち、フロア一面にウェーヴを敢行させる。「PIZZA OF DEATHが特効をプレゼントしてくれたんや。KOUICHI(Dr・Cho)のとこにスイッチがある。ライヴの一番いいところで使うから、楽しみにしとけ……」「ッパパーーン!!!(金テープが降り注ぐ)」という前フリ付きの盛大な無駄遣いに腹を抱えて笑いつつ、終盤は“蜃気楼”に“goes on”といったエモーショナルな名曲連打で締め括られた。
そして今回のトリは、2015年いっぱいでの解散を発表しているFACT。まさか、昨年のSATANIC CARNIVALでEiji(Dr)がスレイヤー愛丸出しのMCを放つステージを観たとき、こんなことになるとは思いも寄らなかった。しかし、静謐なトリプルギターの交錯が重厚なハードコアサウンドへとシフトし、メンバーの姿と刺激的なCGアニメーションがミックスされる映像効果を背負ったパフォーマンスは、一日の疲れを瞬く間に吹き飛ばす珠玉の内容であった。“slip of the lip”が歌声を攫い、今年のシングル曲“the way down”も見事なアンセム感を振り撒いている。
“disclosure”で前線のオーディエンスと触れ合っていたHiro(Vo)は、Adam(G)らが歓喜の言葉を伝えるのに続いて、「俺たちは、今年で沈むけどさ。また新しい陽が昇ったら、よろしくな」と告げ、“Sunset”へと向かった。本編は“a fact of life”の完璧な熱狂で締め括られたが、アンコールで少し感極まるような表情を見せていたHiroが「いろいろな意味を込めて、“rise”って曲をやらせてください」と告げて再び吹き上がる轟音の興奮は、“Sunset”と対になるようで感動的であった。
なお、RO69では、SATANIC CARNIVAL ’15出演の4組4人による、興味深いスペシャル座談会も掲載されているので、あらためてチェックして欲しい。(小池宏和)
(http://ro69.jp/feat/sataniccarnival15_201506/page:1)
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