トニー・ヴィスコンティ、第2のデヴィッド・ボウイは現状では埋もれたままだと語る

トニー・ヴィスコンティ、第2のデヴィッド・ボウイは現状では埋もれたままだと語る

デヴィッド・ボウイのプロデューサーを長く務めたことで知られるトニー・ヴィスコンティは、昨今の音楽業界の世界的な不調はレコード会社が多様なアーティストや才能を発掘しようとしなくなったからだと語っていて、第2のデヴィッド・ボウイは埋もれたままになっていると指摘している。

今月20日までテキサス州オースティンで開催されていたサウス・バイ・サウスウェストで講演を行ったトニーは、音楽業界での取り組みがすべて公式通りのものになっていることを次のように説明している。

「兆候はすべて揃ってるんだ。現在のぼくたちは、過去のどの時代においてよりも、公式が繰り返し使われている時代を生きていると思うよ。ティーンエイジャーというつかみどころのないマーケットを相手にこれだけたくさん販売されている音楽作品を買わせようとするやり方にすごく偏りがあるんだよ。おまけに音数もほんのちょっとしか使ってないし、ループを多用してるわけだしね。今のポップやロックのレコードを聴いてみても、実際にはバンドなんかじゃなくてコンピューターの音だし、ヴォーカルだって実際にはどれだけ手を加えられて修正されているのかわかったもんじゃないんだ。その一方でサン・キル・ムーンのようにこちらの心をぐっとつかんでくるような人たちもいるわけだよね。こちらの気持ちをえぐりだしてみせるようなね。サン・キル・ムーンをぼくに紹介してくれたのは友人のデヴィッド・ボウイだったんだ」

現在ではあまりにも多様な音楽が画一的な基準のみで売られようとしているとトニーは語っていて、現在のレコード会社の戦略は「動脈が詰まった状態になっている」と説明している。あまりにも膨大な楽曲が一握りのスタッフに任され過ぎていて、そのせいで多様性が失われて、それに飽き足らないオーディエンスはどんどん離れてしまっているのだという。

現在のレコード会社は必ずしもクオリティーの高い作品を提供しているとはいえないとトニーは指摘していて、音楽作品が凡庸になってきていることで受け手にも見放され、それが業績低迷に繋がっていると説明するが、しかし、才能ある人間はまだまだいるはずだと次のように語っている。

「偉大な人材はまだまだいるんだから。ぼくたちの周りにちゃんといるんだから。次のデヴィッド・ボウイが世界のどこかにいるはずだよ。次のビートルズ、次のブルース・スプリングスティーンもいるはずなんだ。でも、そうした人たちがチャンスに在りつけていないだけの話でね。きちんと資金的に援助を受けていない。でも、こういう人たちをきちんと発掘すれば今後の音楽業界にものすごく大きな貢献を果たすかもしれないんだよ」

「レコード会社のオーナーやスタッフにいいたいのは、世の中のおかしな連中、本当に変わってる連中に注目すべきだということだね。人々が聴きたいのは実はそういう人たちの作品だから。みんな今までとはなにか違ったものが聴きたいんだよ。ぼくたちはそういうアーティストを育てなくちゃならないんだ。そうやってこの業界を育てていくべきなんだよ。容姿もよくて曲も書くっていうアーティストをみつけたら、ハリウッドなんかに送り込まないで、まずソングライターを大勢雇って一緒に作業をさせなきゃだめなんだ。そうやってその人物を育ていかなきゃだめなんだよ」

ただ、トニーは若いアーティストの側にも努力は必要だとも力説している。

「いつか傑作をものにできると思って何百曲もゴミみたいな曲をひたすら書き続けることはやめた方がいいよ。それはただの敗北主義だから。もし自分に才能があると思うなら、それを実際に見せていかないと。自分の一番いいと思うものを世に問うことだよ、どうすれば人に好かれるかとか考えずにね。そういうどつぼにはまるようなことだけはやめた方がいいよ。なにもないところから始めたらそれ以上悪くなることはないんだから。だんだんとよくなっていくだけの話なんだよ」

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