サカナクション、「行けるところまで行ってみようと思います!」--圧巻のツアーファイナルで新たな始まりを告げる!

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2016年4月10日、サカナクションの全国ツアー「SAKANAQUARIUM 2015-2016 "NF Records launch tour"」ファイナル公演が幕張メッセで開催された。RO69では、この模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

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「僕たち私たちサカナクションは、約半年間、全国を回って、今日無事にファイナルを迎えることができました!」……ロングツアー完走の感慨を晴れやかに告げる山口一郎(Vo・G)の言葉に、フロアを埋め尽くした2万人のオーディエンスから熱い拍手が湧き起こる。昨年10月のアリーナツアー、11月から今年3月まで続いたホールツアーを経て、いよいよ「SAKANAQUARIUM 2015-2016 "NF Records launch tour"」グランドフィナーレとなる幕張メッセの舞台に立ったサカナクション。単体でも恐ろしく高性能な楽曲群を、綿密に練り上げた曲目・曲順&精緻な演出と織り合わせて、至高のアートフォームを生み出してきたツアーの終幕に相応しい、壮大な音と光の理想郷が広がっていた。

アリーナツアーにも登場した和太鼓バンド:GOCOOとディジュリドゥ奏者:GoRoのユニット「GOCOO+GoRo」によるオープニングの熱演が、魂の根源を揺さぶるようなプリミティヴなグルーヴ感を生み出したところで、舞台を覆うスクリーンが動き、正面中央に空いた菱形の空間から覗いたサカナクションの5人の姿に、メッセ一丸の大歓声が巻き起こる。宙空に掲げられたゴンドラの上からクラブスタイルで“N.F.I.G REMIX”のクール&タイトなビートを繰り出し、広大な空間をダンスとポップの密室へと塗り替えたところで、ゴンドラを降りた5人が素早くバンドスタイルにチェンジして“アルクアラウンド”へ突入、2万人のダンスにフロアが大きく揺れる! “表参道26時”のエレポップ感、“Aoi”の壮麗なコーラスワーク……決定的瞬間だけで構成されたようなアクトが、1曲また1曲と繰り広げられ、会場の熱気を刻一刻と高めていく。

この日の演奏曲目はレポートの最後に示したセットリストの通りだが、冒頭の2曲、そして7曲目“壁”から本編最後の“新宝島”までは、アリーナツアー/ホールツアー、さらに今回の幕張メッセ2DAYSを通じて一貫して同じ曲順でステージが展開されている。「次に何を演奏するか?」というサプライズ的な要素よりも、それこそクラシックの組曲やオペラにも通じる「型」としての完成度を、今回の一連のツアーでサカナクションは演奏/演出含め追求することに主眼を置いていたのだろう。そして、その試みは見事に成功していた。

漆黒の闇の中で響き渡ったシューゲイザーブルース“壁”から、レーザー光線〜オイルアートといった演出効果とともに披露された“years”“ネプトゥーヌス”のミステリアスな妖艶さ。“ネイティブダンサー”から“ホーリーダンス”、さらに“夜の踊り子”へ、と観る者すべてを熱狂の果てへと導いていく江島啓一(Dr)のダンサブルなビート感。「まだまだ踊れる?」(山口)と踊り子ダンサーを迎えてあたり一面ダンスと大合唱で埋め尽くしてみせた“夜の踊り子”から、前述のGOCOO+GoRoに岩寺基晴(G)&草刈愛美(B)も加わって一大リズム響宴を体現した“SAKANATRIBE TRANCEMIX”……といった名曲の数々を、ひとつの表現、いやストーリーとして編み上げて血肉化した結果、サカナクションの音楽は楽曲という単位を越えた途方もない奥行きとダイナミズムを生み出すに至った――ということを、この日の演奏と歌は何より雄弁に物語っていた。筆者自身、アリーナツアーの日本武道館公演(昨年10月27日)、ホールツアーの東京国際フォーラム公演(今年2月24日)を実際に観てここRO69でもレポートしてきたが、この日のアクトの構築性と肉体性はまさに圧巻。ツアーの集大成ならではの至上の名演だった。

“アイデンティティ”からクロスフェードする形で“ルーキー”へ滑り込む流れはもはや円熟の域に達していたし、“新宝島”のエモーショナルなメロディは2万人のエモーションと響き合って熱い祝祭感を呼び起こしていた。クラブミュージックのクールで秘めやかな躍動感と、ロックミュージックの爆発力を両手に携えて、切実な音楽を紡いできたサカナクション。どこまでもダンサブルな表現でありながら、「ダンスロック」とは明らかに一線を画した真摯な世界を作り得てきたのは取りも直さず、音楽とコミュニケーションへの不屈の情熱と探究心ゆえの成果だろう。

“グッドバイ(NEXT WORLD REMIX)”から始まったアンコール。“ミュージック”の曲中でのバンドスタイルへの転換という離れ業も鮮やかに決めた後、資生堂「アネッサ」CM曲にも起用された新曲を披露。岡崎英美(Key)のシンセサウンド&江島のエレクトリックドラムの音色をフィーチャーした80sポップ風のアンサンブルが、会場の熱気を爽快にかき混ぜたところで、「僕らは1年半の間、ベースの草刈愛美ちゃんの産休で、ライヴ活動をお休みして……」と山口が語る。「その間、いろいろ考えたんですよ。なんかね、やっぱり音楽最高だな!っていう結論に至りました」。晴れやかな表情で想いを伝える山口に、満場の拍手喝采が降り注いでいく。

しかしその直後、「正直ね、僕の中でだけだったかもしれないけど……『このツアーでサカナクション終わるんじゃないかな』って、実は思ったりしてたんですね」という思いがけない言葉に、オーディエンスが一斉に息を呑む。「愛美ちゃんはお母さんになったしさ、2人目・3人目っていうこともあり得るし。みんなそれぞれ音楽っていう部分ではプロフェッショナルだし、何か次の道があるのかな?って思ったりしたけど……でも、ツアーを回って、今日を迎えて、そんな気持ちは微塵もなくなったし。みんなからもらってるものを、全部音楽でしっかり返して、行けるところまで行ってみようと思います!」……そんな山口の宣誓に、割れんばかりの歓喜の声が巻き起こっていった。

「マジョリティとマイノリティの中間を跨いで音楽をやってるサカナクションは、どっちの通訳にもなれる。そういった空間を、サカナクションとチーム・サカナクションで作っていこうって思います。だから、苦手なテレビにも出ます! その裏では、クラブイベントとかもします! 今年夏には札幌で、『JOIN ALIVE』と一緒に『SAKANATRIBE』っていうクラブイベントやります、オールナイト!」とバンドの「その先」への意欲を語った後、「日本最大の野外オールナイトパーティーを――やりたいです! 来年か再来年やります!」とさらなる野望を口にしていた山口。「僕たち私たちはですね、真面目だけが取り柄なので。ただの音楽好きの兄ちゃん姉ちゃんですけども。音楽を楽しませることにかけては、誰にも負けないように、思い切りやっていきますんで。年内にアルバムを出しますし、来年頭にはツアーも回りますから!」……そんな言葉とともに放った最後の“白波トップウォーター”が、ひときわ深く胸に染み込んできた。

5月25日には昨年10月27日の日本武道館公演を収録したBlu-ray/DVD作品『SAKANAQUARIUM 2015-2016 "NF Records launch tour" -LIVE at NIPPON BUDOKAN 2015.10.27-』をリリースするサカナクション。自身のレーベルという舞台を得て、前途洋々と未来を見据える充実した「今」を、5人は最高のライヴという形で見せてくれた。(高橋智樹)

●セットリスト
01.N.F.I.G REMIX
02.アルクアラウンド
03.モノクロトウキョー
04.表参道26時
05.Aoi
06.蓮の花
07.壁
08.years
09.ネプトゥーヌス
10.さよならはエモーション
11.ネイティブダンサー
12.ホーリーダンス
13.夜の踊り子
14.SAKANATRIBE TRANCEMIX with GOCOO+GoRo
15.アイデンティティ
16.ルーキー
17.新宝島

(Encore)
18.グッドバイ(NEXT WORLD REMIX)
19.ミュージック
20.新曲
21.Ame(A)
22.白波トップウォーター
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