6月17日に新作『オン・マイ・ワン』をリリースするジェイク・バグは場合によっては音楽をやめていたかもしれなかったと明かしている。
セカンド『シャングリ・ラ』リリース後、びっちり精力的にツアーとライヴ活動を続けた後、昨年は新作制作に専念することになったジェイクだが、新作については基本的にひとりだけで作業を進めたため、レコード会社からの干渉に何度か悩まされ、活動をやめることさえ考えたと次のようにローリング・ストーン誌に語っている。
「ある時期までレーベルから『もっときみの曲が必要なんだ。何人かのソングライターと一緒に作業に当たってくれ』ってやたらとけしかけられることになってさ。それで思ったんだよ、『もしこれがこのままずっと続いて、自分を自分の好きなように表現する自由がないんだったら、もうこれを続けていくこと自体の意味がないよな。俺はソングライターなんだから』って思ったんだ」
特にレコード会社のヴァージンはひとりでやりたいというジェイクの希望に対して当初は懐疑的だったというが、やがてはジェイクにすべてを託すことにしてめでたく新作も完成にまでこぎつけたという。
新作では新機軸も打ち出していて、それが2枚目の先行シングルとしてリリースされた"Gimme The Love"でも窺われたヒップホップ的なビートと、どこまでもラップに近い自身の高速唱法だが、さらに新作では"Ain’t No Rhyme"という曲でも同じようなアプローチが試みられているという。
ただ、「ライムじゃねえぞ」というタイトルからもわかるようにこれはラップではなくて「俺はファスト・シンギングって呼んでるんだけどね。でも、歌いたい内容がたくさんあると、ラップのように聴こえちゃうこともあるかもしれないよね」とジェイクは説明している。
特にヒップホップを聴きながら育ったという背景を反映したかったとジェイクは次のように説明している。
「もっとさ、あのヒップホップ特有の独特な心情というか、エッジとか、生々しさ、それとか単純さとか、そういうものを取り入れていきたいというものなんだ。俺がずっとやってきてるものにそういうものを導入しつつ、いわゆるヒップホップにはならずにやれると思ったんだよ」
では、実際にヒップホップ・アーティストとのコラボレーションは考えなかったのかというと、最終的になにも形にはならなかったが、ビースティ・ボーイズのマイクDとのセッションは行ったと語っている。
「すごい経験だったよ。大ファンだったから一緒に作業をしてみるだけでもね、結局、アルバムに収録する音源という意味ではなにも形にはできなかったとはいえ、一緒につるんでるだけでも、すごいたくさんインスピレーションを受けたよ。いろいろ学習するし、マイクからいろんな違った種類の音楽を教えてもらったりしてさ。最高の体験だった」
なお、セカンドでバンド・アンサンブル的なものへとサウンドを広げていったものの、弾き語りの内容となったファーストほどセールスがかんばしくなかったことについてどう思うかという問いには次のように答えている。
「キャリアとしてこの生業を続けていきたいんだったら、どうしてもセールスについてはある程度考えていかなきゃならないよね。でも、やっぱりね、自分がやりたいと思うことをやらなきゃだめなんだよ」