プロフェッツ・オブ・レイジによってにわかに浮上したザック・デ・ラ・ロッチャの新作の行方とは

プロフェッツ・オブ・レイジによってにわかに浮上したザック・デ・ラ・ロッチャの新作の行方とは

今年がアメリカの大統領選であることに合わせ、パブリック・エネミーのチャックD、サイプレス・ヒルのBリアル、さらにトム・モレロ、ブラッド・ウィルク、ティム・コマーフォードという顔触れでメッセージ満載のツアーを敢行するプロフェッツ・オブ・レイジだが、00年以降ソロ作品制作に没頭しているというザック・デ・ラ・ロッチャの新作の行方がにわかに注目されている。

ザックとトム、ブラッド、ティムとで活動していたレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンは2000年にザックが脱退を宣言したことでいったん解散したが、07年にコーチェラ・フェスティヴァルで再結成し、その後は断続的にツアー活動を続けている。ただ、新作制作はまったく行っていないといわれていて、ザックは08年にジョン・セオドアとのユニット、ワン・デイ・アズ・ア・ライオンとしてのEPをリリースしている。

レイジとしてのライヴ活動も2011年が最後となっていて、5月に入ってからレイジのメンバーが動くという噂が広まったため、にわかにレイジ再始動かと思われていたが、その後、今回の活動がプロフェッツ・オブ・レイジとしてのものであることが明らかになり、レイジとパブリック・エネミーとサイプレス・ヒルの楽曲を取り上げていく予定だとも発表されている。

ただ、トムとティムとブラッドはローリング・ストーン誌に今回のツアーがザックも了解している活動だと明らかにし、さらにティムがザックは新作の仕上げに忙しくしていると語ったため、ザックの新作が遂に世に出るのかと注目を呼ぶことになっている。

そこで音楽サイトのファスター・ラウダーではザックの「新作」の足跡を追っていて、それによれば、まずザックはレイジ脱退後の00年から数年のうちにトレント・レズナー、DJシャドウ、El-P、クエストラヴらとコラボレーションを重ね、20トラックほどの音源を制作したという。

クエストラヴはこれらの音源が「危うくて」「不気味な」ものになっていると説明していて「クレイジーなくらい速いBPMとかのものもあるし、テルミンも使ってるし、クレイジーなくらいシンセのパワーもぶち込んでて、モーグ・シンセとかも使ってるし、ドラムンベースのビートもふんだんに使ってるよ」と語っていた。

また、この時のソロ音源についてザックは2008年のロサンゼルス・タイムス紙とのインタヴューで「形をなぞってるだけのように思えてきたんだ」とその後リリースをためらった理由を説明している。

さらにザックは「プロデュースしてみた音がよくなかったっていうことじゃなくて、ただ、楽曲から発せられているベースとなるサウンドを自分で作り直せたかもしれないと今では思えるようになってきてるんだ」と語っていて、DJシャドウやEl-Pもその後、自分たちとのコラボレーション音源はすべてボツとなっているはずだともほのめかしてきている。

その一方でワン・デイ・アズ・ア・ライオンのジョン・セオドアも再三ワン・デイ・アズ・ア・ライオンとしてのアルバムが完成していて、セカンドにも着手しているとも明らかにしているだけにそのリリースが近いということも考えられるという。

いずれにしてもローリング・ストーン誌に対してトムとブラッドとティムはそれぞれにザックについて次のように語っている。

トム「ぼくはザックとはプロフェッツやレイジについて直接話はしてないけど、ティミーとブラッドがしたのは知ってるよ。この話題についてはふたりの方がうまくコミュニケーションが取れるはずだし」

ブラッド「ザックとは最近話はしてないんだ。でも、今アルバムを作ってるってことは知ってるよ。ザックについては、愛とリスペクトしかないよ。元気でやってくれてると嬉しいし、俺が想像してるようなレコードを作ってくれてると嬉しいね」

ティム「ザックとも話して、(今回のツアーも)ぜひやってくれともいってもらえたし、マジで嬉しいよ。俺たちはファミリーで離れていてもいつも支え合ってるんだ。俺はザックのことやザックのやってることすべてを応援してるし、それはザックもまた同じなんだよ。それに、俺は必ずザックには逐一こっちのことは報告してるよ。ザックの代わりなんてありえないし、俺たちはそういうことをやろうとしてるんじゃないんだ。ザックは本当にユニークなアーティストにしてユニークなショーマンだからね。(プロフェッツ・オブ・レイジとしてザックの歌詞のカヴァーをやるには)ザック自身が尊敬し偶像視していてインスピレーションを受けてるようなアーティスト(チャックDとBリアル)じゃないと成立しないんだよ。それでふたりに来てもらって、レイジの曲でどこまでやれるか試してみるんだ。というのは、最終的にやっぱり曲が重要だから。今この楽曲群が必要とされてるんだよ。本当にね。マジですごいことになるから」

なお、トムはプロフェッツ・オブ・レイジとしての抱負を次のように説明している。

「プロフェッツ・オブ・レイジはレイジ、パブリック・エネミー、サイプレス・ヒルの聴覚的なパワーを合体させたユニットなんだ。もう歴史の舞台袖に引っ込んでいることはできないというのがぼくのいいたいことなんだ。危うい時代には危うい楽曲が必要とされるんだよ。ドナルド・トランプやバーニー・サンダースはふたりとも、メディアで体制というマシーンへの怒りを表明している人間として取り沙汰されてるよね。ぼくたちが今回一線に戻ってくるのは、体制への怒り(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)とは本当はどういうものだったのか、それをみんなに思い出してもらうためなんだよ。それはアメリカや世界のさまざまな議論の中でもずっと見失われてきた意見で、それが今回戻ってくるんだ。それにふさわしい場所が今のアメリカ以外にはないだろう? それにふさわしいタイミングも今のアメリカ以外にはないだろう?」
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