【完全レポ】THE BACK HORN、運命花開くツアーファイナル!「生きている実感をもっとつかみたい!!」

all pics by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)

THE BACK HORNが、6月12日に全国ツアー「KYO-MEIワンマンツアー 〜運命開歌〜」のファイナル公演を新木場スタジオコーストで開催した。RO69では、この模様を写真とレポートでお届けする。

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●セットリスト
1. 暗闇でダンスを
2. ダストデビル
3. 戦う君よ
4. その先へ
5. 胡散
6. 赤眼の路上
7. コワレモノ
8. シュプレヒコールの片隅で
9. 悪人
10. 君を守る
11. 冬のミルク
12. 美しい名前
13. tonight
14. 魂のアリバイ
15. シンフォニア
16. 刃
17. カナリア

(アンコール)
1. 舞い上がれ
2. 罠
3. コバルトブルー

(アンコール2)
1. 無限の荒野


アルバム『運命開化』を携えた「KYO-MEIワンマンツアー 〜運命開歌〜」は、のべ35公演、約4ヶ月に及び、辿り着いたファイナルの舞台はソールドアウトの新木場スタジオコースト。ニコニコ生中継での配信も行われていたのでご覧になった方は多いと思うが、場内は開演前から熱気ムンムン。肌を震わせるようなオーディエンスの歌声を呼び起こす、凄まじい2時間になった。

緻密なタッチで描かれた鳥の「運命開歌」バックドロップを背負い、松田晋二(Dr)、菅波栄純(G)、岡峰光舟(B)、そして山田将司(Vo)が大歓声を浴びながら位置につくと、ニューアルバムの冒頭を飾る鋭くも妖艶なスウィンギン・グルーヴ“暗闇でダンスを”を繰り出す。オーディエンスはさっそく高らかなシンガロングを繰り広げ、身を揺らしていた。そしてTHE BACK HORNらしいギラッギラの音響で放たれる“ダストデビル” は、最終コーラスが鳴り止んだ途端に怒号のような歓声(って日本語としては変だけど、でも本当にそんな感じだ)を巻き起こす。清濁入り乱れた激情の歌が喚起する力は途方もない。

こんな凄い音を鳴らす曲だっけ、という“戦う君よ”の後、最初の挨拶を投げかけるマツは「胸の中だけでも構いません。頭の中だけでも構いません。声に出してもいいし、踊りながら、皆さんと一緒に歌いたいと思います」と、「運命開歌」のテーマを確認していた。“その先へ”での山田は、メタリックなリフが荒れ狂う演奏とは裏腹に、落ち着いたトーンで明瞭に歌詞を届け、それが逆に鬼気迫るような凄みを感じさせている。

アップリフティングな“胡散”や、栄純が異様なボルテージのダンス(工藤静香“嵐の素顔”の振り付けがめちゃめちゃ勢い余っている感じ)で笑いを誘って傾れ込む“コワレモノ”では、メンバーがインプロヴィゼーションのリレーを繰り広げ、「神様だらけの!」「スナック!!」というコール&レスポンスも決まる。また、山田のストーリーテリングが映える“シュプレヒコールの片隅で”は、誰一人として置き去りにせず、熱い歌声を導くライブの根源的なエネルギーが垣間見られた一幕だ。そして、恐るべき緊迫感の中へとオーディエンスを叩き込む“悪人”。先行シングルを含めた新作曲が、今の4人のモチベーションとツアーの成果をすべて乗せて、ステージを構成していった。

“君を守る”、“冬のミルク”、“美しい名前”という3曲の流れは、豊穣なバンドアンサンブルとタフなメロディをじっくりとなり響かせる時間帯であり、美しい轟音の壁が立ち上がって鳴り止むと、一瞬の静寂の後に大喝采が巻き起こされる。

山田は「運命開歌」に引っ掛けて「運命イカイカ」といったイカのお菓子販売を企んでいたことを告白(企画では山田だけが盛り上がっていたらしいが、残念ながら実現せず)するものの、「地方、地方に待ってくれている人がいて…人の傷に触れるのはおこがましいんじゃないかと思っていたけど、バックホーンに誇りを持ちつつ、やってきたことは間違っていなかったんだな、と思えたツアーでした」という言葉には温かい拍手が贈られる。そして栄純は「1本目、2本目って熱気を繋ぐようにして。聖火リレーみたいなもん。無事、ここに持ってこられて嬉しいです!」と感慨を伝えるのだった。

山田がアコギを携えてキラキラと舞い上がる“tonight”は、音源で触れるよりも遥かに力強く、ダイナミックに響くパフォーマンスであった。そして“魂のアリバイ”、“シンフォニア”、“刃”という怒涛の必殺曲連打へと持ち込み、フロアは勢いに乗った歌声やクラウドサーフで歓喜に染まってゆく。「また曲を作って、この時代を一緒に生きている実感を、もっともっと掴みたいなと思います! また生きて会おうぜ!!」という山田の言葉に続くのは、爆走の本編フィナーレ“カナリア”であった。「歌声」のライブを豪快に締め括る一曲だ。

アンコールの催促に応えると、マツは「ここで、運命が開花したことを宣言し$@*%#—!!」とおいしいところで噛んだりしつつ、新たなシングルのリリースと、11月からの新ホールツアー(ニュース記事はこちら→http://ro69.jp/news/detail/144354)について大発表。美しく伸びやかに“舞い上がれ”を届けると、またもや獰猛なバンドアンサンブルでフロアを沸騰させ、ダブルアンコールの“無限の荒野”まで全21曲を披露した。紛れもなく、最新最強のTHE BACK HORNであった。今夏ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016(出演は8/7日曜日)での活躍も楽しみだ。(小池宏和)