ジャーヴィス・コッカー、医師がデヴィッド・ボウイに書いた手紙を読み上げる

ジャーヴィス・コッカー、医師がデヴィッド・ボウイに書いた手紙を読み上げる

ジャーヴィス・コッカーが、先日行われた『Letters Live』というイベントに参加し、ある医師がデヴィッド・ボウイへ宛てた手紙を読み上げた。

『Letters Live』は時代や国境を越えて人々にとって重要な意味を持つ「手紙」を著名人が読み上げるというライブ・イベントで、ロンドンで2013年にスタートした。

手紙は、マーク・タウバートというウェールズの緩和ケアの医師によるもので、ボウイの死後1月にオンラインで公開され、ボウイの息子である映画監督ダンカン・ジョーンズがツイッターでシェアしたことで広まったもの。

タウバート医師は、ボウイの存在が、病気によって最後の人生を闘っている無数の人々にとって励みになった、とこの手紙の中で述べており、父を亡くした後しばらくSNS投稿をストップしていたダンカンが、初めて投稿したツイートだった。

コッカーが手紙を読む映像はこちらから。
https://player.vimeo.com/video/175376692

“Thank you”と題された手紙は「デヴィッドへ。そんな、本当だなんて言わないでください」と始まり、彼の死が医師や看護師たちが患者と死についてオープンに語り合うきっかけとなったことへの感謝や、ボウイの過去の作品への謝辞が綴られている。
中でも“Lazarus”と『★』について、医師ならではの視点から多く言及されている。一部抜粋は以下の通り。

「“Lazarus”と『★』について感謝します。

私は緩和ケアの医師で、死にまつわる時間の中であなたが成したことは、私や一緒に働く人々に深い影響を与えました。アルバムは様々な言及やヒント、引喩で埋め尽くされています。いつものように、あなたは解釈を簡単にはさせてくれませんが、おそらくそれは重要ではありません。あなたが人生においてとても注意深い人だったということは、しばしば耳にします。あなたが自宅で迎えた穏やかな死が、さよならのメッセージが込められたアルバムのリリースとほぼ同時に起こったという事実は、私には偶然だとは思えません。すべてのことは、死という作品をアートに成すために綿密に計画されていたはずです。“Lazarus”のビデオはとても奥深く、シーンの多くはそれを観る私たちそれぞれにとって違う意味を持つでしょう。私にとっては、避けられない死に面したときに、過去とどう向き合うかについてのメッセージのように思えます。

あなたが自宅で亡くなったこと――。私が仕事を通して話をする多くの人は、死は、大抵が病院や医療的な環境で起こると考えていますが、あなたは自らその場所として自宅を選び、色々な詳細についても決めていたのだと推測します。これは緩和ケアにおける我々の目標の一つであり、それを成し遂げたあなたの能力は、他の人たちがそれを実現したいと願う選択肢の一つとして、考えるきっかけになることを意味するでしょう。

死後数日経って公開された写真は、あなたの人生の最後の数週間のうちに撮られたものだと言われています。これが正しいことかどうかはわかりませんが、私たちの多くも、この写真でのあなたみたいに、しゃれたスーツを着こなしたいと思っているに違いありません。いつものようにかっこよく、人生の最後の週に襲ってくるであろう“スケアリー・モンスターズ”なんか、まったく無視しているように見えます」

Letters Liveでは手紙にまつわるイベントなどが行われており、過去には俳優のイアン・マッケランやベネディクト・カンバーバッチらが朗読したり、コッカーやトム・ヨークがサンタへの手紙を書き綴ったりもしている。

ベネディクト・カンバーバッチ、トム・ヨークの『Letters Live』の記事はこちらから。
http://ro69.jp/blog/nakamura/135334
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