【完全レポ】back numberの武道館、あの親密な一夜を今振り返る

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back numberが、7月14日に全国ツアー「back number tour 2016 "ミラーボールとシャンデリア"」の東京公演を日本武道館で開催した。RO69では、この模様をロングレポートでお届けする。

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●セットリスト
1.Liar
2.泡と羊
3.青い春
4.SISTER
5.わたがし
6.僕は君の事が好きだけど君は僕を別に好きじゃないみたい
7.いつか忘れてしまっても
8.思い出せなくなるその日まで
9.君がドアを閉めた後
10.サイレン
11.ミラーボールとシンデレラ
12.MOTTO
13.半透明人間
14.助演女優症2
15.東京の夕焼け
16.ヒロイン
17.クリスマスソング
18.僕の名前を
19.Hey!Brother!
20.高嶺の花子さん
21.スーパースターになったら
(encore)
22.アップルパイ
23.手紙
24.そのドレスちょっと待った


これまで、たくさんのアーティストのライブをこの武道館で観て来たけれど、back numberのこの日のライブほど、ステージとの距離が近いと感じたライブはなかった。2階席で観ていた私がそう感じたのだから、おそらく会場中の人がそうだったのではないだろうか。武道館の構造がそもそも秀逸で、どの座席からもステージが観やすいというのはもちろんだが、それだけではない。彼らのどこまでも等身大な客席とのコミュニケーションと、back numberの楽曲が放つリアルなドラマ性とが、ステージとオーディエンスの間の物理的な距離を魔法のように縮めていったのだ。

“Liar”“泡と羊”、そして“青い春”と、初っ端から連続して畳み掛けるような楽曲でライブがスタートすると、いきなりクライマックスのように客席も大きく動く。さらに、清水依与吏(Vo・G)が「じゃあもうちょっと踊ろうか」と、“シスター”のイントロが始まると、「ジャンプ!」の声を合図に会場中が跳ねる跳ねる。ファルセットを用いながらエモーショナルに響く声とシンプルなリズムが生み出すグルーヴに、早くも床が大きく揺れる。この日は武道館2Daysの1日目の公演ということで、客席から「明日も来るよ!」の声が飛ぶと、「明日に体力残そうなんて考えないよ。だからガンガン声出して、一生懸命、作った曲をやることしかできないけど、楽しんでいってください」と清水が答える。まさにその言葉通りの全力演奏で、1曲たりとも、1フレーズたりとも、集中が途切れることなくライブは進んでいく。

歌い出しのハーモニーが美しい“いつか忘れてしまっても”が描く、まばゆいばかりの恋の歌。こんなふうに誰かを思う気持ちを、まっすぐに全力で歌えることこそがback numberの才能であり、ライブでは音源よりさらに感情を揺さぶるように響く。小島和也(B)も栗原寿(Dr)も、歌を口にしながら演奏に思いを込めていく。すべての音が感情の波のようで、《忘れないで》のリフレインがアコギの音の余韻とともに、心に焼き付いく。続いてのスローバラード“思い出せなくなるその日まで”も圧巻だった。ロックやポップという範疇を超えて、日本の音楽シーンでこのドラマ性を生み出せるバンドは他にはいない。まるですぐそこに風景が広がるような演奏だった。

終盤、雪を思わせる映像演出で“ヒロイン”が披露され、《全部君がいい》というピュアで飾りのない言葉が胸を打つ。そして曲が終わっても雪は降り続けていて、そう、そのまま“クリスマスソング”へ。back number史上もっともストレートでシンプルな歌詞で綴るラブソング。《君が好きだ》の歌詞がまっすぐに、純粋に響く。そして、強烈な光が放たれて“僕の名前を”へと続き、《これからずっと僕の全ては君のものだ》と、究極の愛の言葉が刻まれる。このごく最近のシングル曲の連発には特に、清水のソングライティングへの覚悟のようなものが感じられた。

それはアンコール時に語られた、「これからも、自分たちが本当に思っていることだけを歌にしていこうと思っているので、ここにいる全員を幸せにする曲は書けないかもしれないけど、『なんであの子は俺のことが好きじゃねえんだ』っていう歌ばっかり歌うと思うけど、よかったら横にいさせてください」という言葉につながる。大上段に立ったラブソングなんかじゃない。嘘も策略もない本当の言葉だからこそ、ライブで何度も歌っても、その度に強い思いが宿る、その歌の世界がすぐそばにあるように感じられる。back numberのステージが驚くほど近くに感じられるのは、何よりそのせいだ。

アンコールラストの“そのドレスちょっと待った”の、女々しさも切なさもすべて音にして放つような演奏にも、back numberの決意を改めて感じたような気がした。いつまでもリスナーのそばに寄り添う歌を作っていきたい、自分が感じたことだけを言葉にしたいという思いが、楽曲にも、ステージでのパフォーマンスにも溢れていた。「誰のライブに行ってもいいんだけど、また帰ってきてね」という最後の言葉にも、グッときてしまう。こんな親密で素晴らしいライブを観せられたら、みんな帰ってこないわけがない。(杉浦美恵)
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