「バンドマンみんなお仲間になんなきゃいけない時代」――オーラル・ブルエン・フォーリミの3組が語る現在とは?

「バンドマンみんなお仲間になんなきゃいけない時代」――オーラル・ブルエン・フォーリミの3組が語る現在とは?

初めて会った時からお互い自分たちの超えたいものに向けて戦ってるって意味では、このバンドが集まったのは必然なのかな(田邊)
お互いのライブ観た後僕ら、あそこかっこ良かったとか正直に言い合って。確認してステップアップする場所になってる(山中)

――今年の夏に、THE ORAL CIGARETTES、BLUE ENCOUNT、04 Limited Sazabysの3組が集結して新木場スタジコーストで行われた3マンイベント「ONAKAMA 2016」なんだけど、「ONAKAMA」って、言い出しっぺは誰なんですか?

山中拓也(Vo・G)「……マネージャーです(笑)」

田邊駿一(Vo・G)「マネージャーズがね」

GEN(Vo・B)「気づいたら盛り上がってて。僕らも仲いいんですけど、マネージャー同士も仲良くて、一緒に飲みにいったりしてるみたいで」

――2016年の夏に、こういう形でやるっていうのは絶妙なタイミングだと思うけど。これやろうぜってなった時、それぞれどう思ったの?

田邊「来たなって感じがありましたね。この3バンドが集まったことは今までなかったので、楽しいんじゃないかなって思いながら」

GEN「それこそマネージャーズが言い出したのを聞いた時に、自然に、全く違和感がなくやりましょうってなって。でも、チケットの応募数を見て、僕らが集まってライブをするってこんなに注目されることなんだな、っていうのはすごく感じて。集まると強い力が働
くんだな、みんないい感じなんだなっていうのが(笑)、すごい嬉しい」

山中「僕は、いずれは絶対やることになるやろうなとは思ってたんですけど、僕ら復活したばっかりやから、このタイミングだとは思っていなくて。ブルエンとフォーリミの勢いは休んでる間も知ってたんで不安やったんですけど、でもこの日まで頑張ろうって気持ちで頑張れたのもあるので、すごい刺激になってましたね、このイベントは」

――出会ったのっていつくらい?

田邊「フォーリミが3年前か、2013年かな。HighAppsのツアーの時に、名古屋で出会って。で、オーラルは、4年前?」

山中「4年前。2012年」

田邊「そうだよね。初めて会った時からお互い目指すものみたいなのがすごく明確で。自分たちの超えたいものみたいなものがあって、それに向けて戦ってるって意味では、このバンドが集まったのは必然なのかなって思います」

――拓也から見て、ブルエンとフォーリミはどういう存在ですか?

山中「絶対に真似できへんことしてるなっていう感じ。見てたらふたつの良さがわかって、自分らの良さもわかるみたいな。だから、お互いのライブ観た後僕ら、ほんまに気ぃ使わずにあそこ微妙やったとか、あそこかっこ良かったとか正直に言い合って、毎回確認しあってるかも。確認してステップアップする場所になってる」

――音楽的な部分ではどう?

山中「GENくんはほんとに、この人が才能っていう認識。ステージに立ってても、ステージ裏でも、変わらずにずっとかっこいい人」

GEN「なあにー!? ヤダー!(笑)」

山中「駿くんに関しては、激情、感情みたいな感じでやってはる、それもかなり素直なところが出てるんやと思うけど、こうでもないああでもないっていろいろ考えて、ステージで全部爆発させてるっていう感覚が毎回ライブ観てるとあるなと思ってて」

――フォーリミは、YON FESもやって、自分たちでシーンをつくるっていうことに関して一歩早くアクションをしていたりするんだけれども。YON FESにこの2バンドも出てたけど、彼らがいるということの意味合いはどんなものなんだろう。

GEN「でもほんと、仲間だと思ってるんですよ。ジャンル、スタイルは違えど、同じタイミングで音楽に夢持って、ちょっとずつそれが実現してきて、ご飯が食べれるようになったっていう。でも、ちっとも馴れ合いじゃなくて、状況とかお客さんがどうのとか関係なく、今日はどうだったかを言い合える関係なんで、それはほんとにいい仲間だなって思います」


音楽シーンのなかで、ロックバンドがどんどん少なくなってて。でももっとこういう確認し合える仲間と一緒に上に行きたいなって(GEN)

――3組とも、負けの味をよく知ってるじゃない? そして、それを絶対に忘れない。それは3組の通じるものとしてひとつ大きいよね。

GEN「はじめからずっと評価されてたタイプじゃないじゃないですか、僕らは。ああだこうだずっと言われて、それでも何クソと思いながらちょっとずつ結果が出てきて、ここまで来てるタイプだと思うんで。状況は良くなってるのにお腹がどんどんすいてってる感じがらしいかなと思います」

田邊「ああ、そうだね。まだなの?って自分のなかでも思うくらい。満足で終わらないっていう風にしたいし、そうなるためにアンテナを張って、いろんなものを吸収しないといけないので」

GEN「そこもお互いに確認し合ってるのかもしれないですね。満足したら終わりだぞ、調子のんなよみたいな」

山中「でもそれ言い合うって感じより、他のバンドの行動を見て、確認してる気はしてます」

田邊「3バンド、そこはめっちゃ言います。ほかのバンドを、今こうだよみたいな感じで」


――なるほど。この「ONAKAMA」というイベントが2016年にあって、こっからまたいろんなものが始まっていって。次どこでやりましょうかね。

山中「なんかそれも楽しみですね。でもこれ言わんほうがいいかなとも思ってて」

田邊「うまいこと言うなあ(笑)」

山中「だってそうじゃないですか。だってそこで決めちゃったら、たとえば次、ねえ?」

GEN「この3組というのもそうだけど、僕としてはバンドマンみんなお仲間になんなきゃいけない時代に来てるような気がしてるんですよね」

――ああ、そうかもしれない。ロックバンドとしてどう戦うかっていうことね。

GEN「音楽シーンのなかで、ロックバンドがどんどん少なくなってて。でももっとみんなで仲間になってカウンターパンチやんなきゃいけない気がして。こういう確認し合える仲間と一緒に上に行きたいなって」

田邊「わかるなー。一丸になれば音楽シーンって何周でもすると思うし。また回ってきたっていうのが何年後かじゃなくて、ほんと数ヶ月後とかにできる時代でもあるかなと思うんです。去年までなんもなかったバンドが、『すげえ!』ってなる時代だと思うので」

――そうやって、音楽シーンを俯瞰で見て話をしてくれたけれども、ちょっと前だったら自分たちのことで精一杯でそんな視点持ちようがなかったじゃない? そういう意味でも3つ集まると広い視野も持てるし、それぞれのバンドが頑張った結果、そういう立場に立ってるっていうことにも、すごい意味があるよね。

田邊「だからパッと立ち止まったら感慨深いものが多いっていうのはありますよね、各々ね。それこそフォーリミのツアーに初めて呼んでもらった時なんて新代田FEVERのツーマンとかで」

GEN「そうですねえ。まだあの頃全然仲良くなかったですもんね」

――はははは、今は?

GEN「いや、今はもう、よけい悪化の一途を辿っている(笑)」

田邊「そうですね。まあまあ、結果、僕の片思いだったり(笑)」

GEN「でも全員の名前わかりますからね。ボーカルだけ知ってるとかはありますけど。全員喋れるから」

田邊「ほんとそうだよね」

GEN「従兄弟みたいな感じ」

田邊「次、ONAKAMAから、ITOKOになって」

GEN「まあ、田邊さんは、はとこっすけどね」

山中「ちょっと遠い(笑)」

田邊「ああ……、オッケー。んじゃ、もう大丈夫です(笑)」


テキスト=小川智宏

『ROCKIN'ON JAPAN』2016年11月号より一部抜粋
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