【完全レポ】夢と希望を繋いだ「AIR JAM 2016」、その全てを書く!
2016.12.26 13:40
12月23日に福岡 ヤフオク!ドームで「AIR JAM 2016」が開催された。RO69ではこの模様をロングレポートでお届けする。
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巨大な会場狭しと沸き返る感涙混じりの歓声に応えて「そうだよな、涙止まんねえよな!」とうなずくHi-STANDARD難波章浩(Vo・B)。そこへすかさず「泣いてる場合じゃねえんだよ! よく見るんだよ!」と檄を飛ばす横山健(G・Vo)の声に、満場のドームの情熱はどこまでも高まっていく――。
インディーズパンクシーンの急成長とともに開催された1997年・1998年・2000年、さらに活動休止期間を挟んで2011年・2012年、と過去5回にわたって行われてきた、Hi-STANDARDと強豪バンドによるロック頂上決戦的フェス=「AIR JAM」、初の九州開催となる今回の舞台は福岡ヤフオク!ドーム。
「AIR STAGE」「JAM STAGE」の2ステージ制で、11組の強豪バンドがトータル9時間半にわたって熾烈な熱演を繰り広げた、というだけでも十分に最高の狂騒空間だった「AIR JAM 2016」。
そんな1日にさらなる力強い祝祭感を与えていたのはほかでもない、実に16年ぶりに新作をリリースしてバンドの新たな歴史を描き始めたハイスタの、未来へ向けて燃え盛る闘志そのものだった。
「『AIR JAM』が九州で開催されたよ!」というKENTA(Vo・B)の号砲代わりの絶叫からいきなり超弩級の熱気を生み出していたWANIMA。続けて「熊本のために、もっと大きな声で!」のJESSE(Vo・G)の叫びから“Thread & Needle”で一面のシンガロングを呼び起こしてみせたThe BONEZ……そんなふた組の爆裂アクトが「AIR STAGE」「JAM STAGE」それぞれの幕を切って落とした瞬間から、稀代の爆演が次々と展開されていった。
東京スカパラダイスオーケストラのステージには横山健が登場して“Punk Rock Dream”共演! 「お互い道なき道を進んで一緒にここにいるんだよ!」の谷中敦(Baritone sax)のコールから“道なき道、反骨の。”が最高のアンセムとして轟いた。そこから一転ドームをメタルコアの渦に叩き込んだのはCrossfaith。「俺らがひとつになれば絶対に革命を起こせる!」というKoie(Vo)の言葉とともに炸裂した“Revolution”に巻き起こる大合唱!
「夢は見続けるもんだなあ!」と19年間憧れた『AIR JAM』と「先輩」ハイスタへの感慨を叫ぶのはHAWAIIAN6・HATANO(Dr)。“RAINBOW, RAINBOW”で描き出した巨大なサークルモッシュは圧巻! さらにHEY-SMITHも、猪狩秀平(G・Vo)の「俺はハイスタに、『AIR JAM』に人生を変えてもらいました! だから今日は俺らがお前らの人生変えにきたぞ!」の宣言から“Endless Sorrow”に突入、ドーム丸ごとスカとラウドの嵐に叩き込む!
「AIR JAM 2016」も折り返し点を過ぎたところで威風堂々の登場は、1998年以降毎回「AIR JAM」出演のBRAHMAN。MC一切なし、戦慄必至のストイシズムに満ちた激演と絶唱で“THAT’S ALL”“賽の河原”などを連射、TOSHI-LOW(Vo)は終盤ほぼスタンディングエリアにが仁王立ちしっ放しでラストの“The only way”まで極限激走! その生き様と覚悟を、熾烈なアクトがすべて物語っていた。
冒頭の“Emotions”からドームを揺さぶり“FLY AGAIN”で巨大なダンスの輪を、巻き起こしたMAN WITH A MISSION! いつもの「ぶっ潰しに来ました!」モードとは一線を画し、感慨深げにジャン・ケン・ジョニー(G・Vo・Raps)が語る。「19年前ニ、我々ノ大キナスイッチヲツケッパナシニシテクレタ『AIR JAM』ト、ソノ精神ヲ共感シテクレテイルデアロウミナサント、明日カラモ同ジ精神デ走リ続ケラレルタメニ……」。そんな言葉とともに放ったのは“1997”。ハイスタが繋いだロックの歴史をリアルに感じた瞬間だった。
続いてONE OK ROCK! 9月に超ドーム級の渚園ワンマンを成功させているONE OK ROCK、“Cry Out”のアンサンブルのスケール感とヘヴィネスでオーディエンスを圧倒、「一緒に跳ぼうか『AIR JAM』! 3、2、1、GO!」のTaka(Vo)コールで会場を揺さぶってみせる。“Taking Off”で最新型のハイパーなサウンドを轟かせたり、“Mighty Long Fall”ではCrossfaith・Koieが登場してTakaとスクリーム合戦を繰り広げたり……と次世代の王者ぶりを見せつけた4人、ラストは“完全感覚Dreamer”で激烈大合唱!
トリ前には10-FEETが登場! 「よっしゃいこか! えらいこっちゃー!」と開演から感激決壊寸前のTAKUMA(Vo・G)のコールから“VIBES BY VIBES”、さらにハイスタ“START TODAY”カバーで熱気あふれるドームをさらに狂騒の頂へと導いていく。「Hi-STANDARDがおらへんかったら、俺らは『京都大作戦』もやってませんでした! 衝撃をありがとう!」のTAKUMA絶叫MCが魂を震わせ、“アンテナラスト”では《あなたが「AIR JAM」やってくれたおかげで》と歌詞をアレンジして歓喜の声を呼び起こす。最後の“その向こうへ”まで、衝動振り切れっ放しの凄絶なアクトを見せてくれた。
そして――歴史的名場面満載の「AIR JAM 2016」のフィナーレを飾るのはもちろん、Hi-STANDARD! いきなり“MAXIMUM OVERDRIVE”のタフな爆音で会場丸ごと激震させ、キッズのボルテージをあっさりレッドゾーン越えの熱狂感へと叩き込んでみせる。
「世代が何だとか、時代が何だとか飛び越えてさ、またここにHi-STANDARDが立ってるっていう……『ハイスタ世代』やら『AIR JAM世代』なんていう世代を突破していいっすか? 『AIR JAM世代』、更新しちゃっていいっすか?」
そんな難波の宣誓とともに鳴り渡ったのは、16年ぶりのシングルとしてリリースされた“ANOTHER STARTING LINE”。形振り構わない爆走感によってではなく、誰ひとり残すことなく抱き締めてこの時代を闊歩するような力強さに満ちた恒岡章(Dr)のビート感が、ドームの歓喜の密度をさらに高めていく。
「いろんなことが吹っ飛んじまう、そんな瞬間、そんな時間、そんな1日を作りたいと思って、こんな忙しいクリスマスシーズンに、このドームをお借りすることができて、本当によかったです!」と難波。「いろんなこと、忘れるわけねえから! これからも、いろんなこと背負いながら吹っ飛ばしにいこうぜ! 輝くしかねえんだよ! 闇にいるなら、光を探せ! 光がねえなら、自分が輝け!」と流れ込んだのは“STAY GOLD”! 万感の想いが滲む難波の歌声に、3人一丸となって響かせる名曲の眩しさに、会場の高揚感は天井知らずに高まっていく。
横山「ロックンロールの可能性は無限に広がっていくズラ!」(『妖怪ウォッチ』のコマさん調で)
難波「最強のロックイベントっつうことでいいっすか? 『AIR JAM 2016』!」
そんなMCに続けて、会場一面にきらめくスマホライトの絶景とともに“BRAND NEW SUNSET”で本編を締め括ったハイスタ。アンコールでは“TURNING BACK”に続けて、ドームに特効の雪が降り注ぐ中ジョン・レノン“Happy Xmas(War Is Over)”のカバーを披露。この1日の最後を飾った“MOSH UNDER THE RAINBOW”ではコマさんも舞台に登場、会場一丸の歌声がハイスタと僕らの「これから」を最大限に祝福するように響き渡っていった。
ハイスタと「AIR JAM」が繋いだロックの夢と希望が、今この時代を突き動かし、さらに未来へ向かおうとしている――ということを明確に伝えてくる、至上のロック響宴だった。
なお、「AIR JAM 2016」にさらに詳細に迫ったロングレポートが、2017年1月30日(月)発売の『ROCKIN'ON JAPAN』3月号に掲載される予定なので、そちらもお楽しみに。(高橋智樹)
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なお、RO69では当日の実況ブログを掲載しています。ぜひご覧ください。
「AIR JAM」の興奮をもう一度! 全アクト総登場の実況ブログまとめ
http://ro69.jp/blog/ro69plus/153495