【ゲリラアート伝説】バンクシーとグラストンベリーの約20年
2017.06.21 21:10
皮肉に溢れたアート作品を次々と生み出し続けているバンクシーだが、グラストンベリー・フェスティバルでも度々作品を発表している。
バンクシーとグラストンベリーとの関係は約20年前、1998年から始まっているようだ。
無名時代の1998年のグラフィティから2014年に会場に出現させた最新のインスタレーション「Sirens of the lambs」まで、バンクシーがグラストンベリーに登場させた数々の作品を振り返っていく。
1998年ー15万円のバンが6千万円に
1998年、覆面のグラフィティ・アーティスト、バンクシーとグラストンベリー・フェスティバルの繋がりは、1台のバンから始まった。
当時バンで生活をしていたヒッピーのカップルが、まだ無名だったバンクシー、そして同じくストリート・アーティストのInkieに「バンの片面に絵を描かせてほしい」と声を掛けられ、2枚のグラストンベリーのチケットと引き換えに快諾。
「Silent Majority」と名付けられたこの作品は、近年のバンクシーの作風とは大きく異なる。
ほぼ全てフリーハンドで描かれ、ステンシルは一部にしか使われていない。
http://www.bbc.com/news/uk-england-bristol-32955713
本来違法であるグラフィティを手早く仕上げるため、最近の作品はレタリング以外だとステンシルで仕上げることがほとんどだが、本作に関しては持ち主の了承を経て描くことができたというのも理由のひとつかもしれない。
カップルはこの作品を自分たちのバンに携え、その後何年もそのままの状態で世界中を走り回っていたという。
そして2015年6月、2人の間に4人目の子どもが産まれ、バンでの生活が手狭になったことから「Silent Majority」をパリのオークションに出品。
購入当時1000ポンド(15万円弱)だった1台のバンは17年の時を経て、横幅10メートル以上にも及ぶ「バンクシーの初期の大作」となり、45万ポンド(約6千3百万円)近くの値が付けられた。
16年後、2014年ーぬいぐるみを乗せた謎のトラックが出現
2014年公開の映画『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』にも登場していたこのトラックは、グラストンベリー・フェスティバルにて食事時に会場内を走っていたという。
2013年頃からミートパッキング・ディストリクトなどニューヨークの街中を走っていたことでも話題を呼んでいたこのトラックだが、2014年にはグラストンベリーにも現れた。
家畜用のトラックに詰め込まれたぬいぐるみたちが、悲痛とも取れる鳴き声を上げている。
家畜の豚や牛がこのぬいぐるみたちのような風貌だったら、あなたは屠殺に耐えられるのか?と問われているのだろうか。
なお、この作品は『羊たちの沈黙』の原題『Silence of the Lambs』をもじって、「Sirens of the lambs」(羊たちの叫び)と題されている。