【完璧予習】エドガー・ライト最新監督作『ベイビー・ドライバー』を200%楽しめる音楽ガイド


『ショーン・オブ・ザ・デッド』、『ホット・ファズ‐俺たちスーパーポリスメン!』、『スコット・ピルグリムV.S.邪悪な元カレ軍団』など、傑作揃いのフィルモグラフィーで、日本でもすっかりおなじみのエドガー・ライト監督。その待望の最新作『ベイビー・ドライバー』が、6月28日に全米・全英で公開され、「2017年最高のアクション映画にして、最高の音楽オタク映画!?」と大きな話題を巻き起こしている。
 物語の主人公は、“ベイビー”という名で呼ばれる、若き天才ドライバー(アンセル・エルゴート)。強盗グループのボス(ケヴィン・スペイシー)に「運転手」として雇われているベイビーは、ダーティな仕事から足を洗うため、「最後の大仕事」に挑むことに……!?
と、ここまでの紹介だと“よくあるアクション・スリラー映画”なのだけど、もちろん、それだけではない。天才ドライバーであるベイビーは(とある理由から)常にiPodを持ち歩いてて、その瞬間の「気分」で選んだ曲を、どんなときにもBGMとして聴いている。カー・チェイスの真っ最中も、プライベートで電撃的に恋に落ちるときも――言ってみれば、この『ベビドラ』は、デジタル・ダウンロード世代に捧げられた「時速150キロの爆走ミュージカル映画」なのだ。

というわけで、アクション映画ファンのみならず、音楽ファンにとってもこの夏必見の『ベイビー・ドライバー』。日本での公開日は8月19日と、まだ少し先だが、公式のサントラ盤は30th Century Recordsからすでにリリースされており、そこでは、劇中で使用されている全30曲(!)をすべて聴くことができる。トラックリストは以下のとおり。

01. Jon Spencer Blues Explosion – “Bellbottoms”
02. Bob & Earl – “Harlem Shuffle”
03. Jonathan Richman & The Modern Lovers – “Egyptian Reggae”
04. Googie Rene – “Smokey Joe’s La La”
05. The Beach Boys – “Let’s Go Away For Awhile”
06. Carla Thomas – “B-A-B-Y”
07. Kashmere Stage Band – “Kashmere”
08. Dave Brubeck – “Unsquare Dance”
09. The Damned – “Neat Neat Neat”
10. The Commodores – “Easy (Single Version)”
11. T. Rex – “Debora”
12. Beck – “Debra”
13. Incredible Bongo Band – “Bongolia”
14. The Detroit Emeralds – “Baby Let Me Take You (in My Arms)”
15. Alexis Korner – “Early In The Morning”
16. David McCallum – “The Edge”
17. Martha Reeves & The Vandellas – “Nowhere To Run”
18. The Button Down Brass – “Tequila”
19. Sam & Dave – “When Something Is Wrong With My Baby”
20. Brenda Holloway – “Every Little Bit Hurts”
21. Blur – “Intermission”
22. Focus – “Hocus Pocus (Original Single Version)”
23. Golden Earring – “Radar Love (1973 Single Edit)”
24. Barry White – “Never, Never Gone Give Ya Up”
25. Young MC – “Know How”
26. Queen – “Brighton Rock”
27. Sky Ferreira – “Easy”
28. Simon & Garfunkel – “Baby Driver”
29. Kid Koala – “Was He Slow (Credit Roll Version)”
30. Danger Mouse (feat. Run The Jewels and Big Boi) – “Chase Me”


ロック、ポップ、ソウル、ヒップホップ、ジャズ、そして“テキーラ!”……と、ジャンル的にやたら幅広い選曲になっていることからも、ベイビーの音楽マニア道を極めたi-Podの中身が想像できて、ワクワクしてくるはず。8月19日に公開される映画の「予習」用にもおススメだ。
とはいえ、「さすがに30曲をじっくり聴いている暇はない!」という、多忙な方も多いことだろう。そこで今回は、「これを聴き込んでおけば、より深く映画を楽しめる!」という観点から、rockinon.comが厳選した「6曲」をピックアップ。以前の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のときと同じように、簡単な曲紹介&予習ポイントを(もちろん、ネタばれにならない程度に!)チェックしていくことにしよう。

1 ザ・ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンズ“ベルボトムズ”
オープニングのいきなりの強盗シーンでベイビーがBGMに選ぶのは、日本でも「ジョンスぺ」の通称で愛されている彼らの94年のアルバム『オレンジ』の1曲目に収録されていたこの曲。5分以上もある曲を、ほとんどフルコーラスで使っちゃうところが、さすがエドガー・ライト監督です。おなじみの「雄叫び」のパートを覚えて、映画館でいっしょに叫びながら(心の中で、ね)観ると、よりいっそう楽しめるはず。「ベルボートムズ!」「ベルボートムズ!」「ブルース・エクスプロージョーーン!!」「カモーーーーン!!!」

2 ジョナサン・リッチマン&ザ・モダン・ラヴァーズ“エジプシャン・レゲエ”
愛と笑顔のアコギ吟遊詩人、ジョナサン・リッチマン。コメディ映画ファンの方には、『メリーに首ったけ』(98年)の中で「木の上でギターを弾いてた人」としてもおなじみだろう。強盗グループの初顔合わせシーンで登場するこの曲は、そんな彼が77年に発表したインスト曲。タイトルのとおり、古代エジプトっぽいエキゾチックな曲調……なんだけど、リズム的には完全にレゲエでもある。エジプトなのか? レゲエなのか? どっちなのか? どっちもなのだ! どうしても白黒つけたい人は、自分で聴いて判断しよう!

3&4 T.Rex“デボラ”/ベック“デボラ”
T.Rexとベック。音楽的には特に何のつながりもないけど、「デボラつながり」で仲よしペアにされちゃった2曲。映画の中では、最高にロマンティックな出会いのシーンで、仲むつまじく登場する。ちなみに「デボラ」は、劇中でベイビーが電撃的に恋をする、深夜営業レストランのウェイトレスの女の子の名前――そう、『ベイビー・ドライバー』は、極上のクライム・スリラーであると同時に、とってもとってもピュアな「純愛ラブ・ストーリー」でもあるのだ。

5 ブラー“インターミッション”
『ベイビー・ドライバー』の物語はアトランタが舞台となっていて、映画全体としてもアメリカン・カルチャーへのラブレターのような雰囲気が漂っている作品である。とは言え、そこはやっぱりイギリス出身のエドガー・ライト監督。ところどころに「UKプライド」な選曲が入ってくるところがいかにも彼らしい。ユーモラスな出だしとは裏腹に、途中から不協和音的な狂気がじわじわ浸食してくるブラーのこのインスト曲も、まさにそんな選曲。ちなみにこの曲が収録されている『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』は、エドガー・ライト監督が一番好きなブラーのアルバムなんだとか。

6 クイーン“ブライトン・ロック”
後半のクライマックス近くのシーンで、ベイビーのiPodから爆音でかき鳴らされるのは、ブライアン・メイの超絶ギターテクを存分に堪能できるこの曲。初期クイーンの傑作アルバム『シアー・ハート・アタック』(73年)に収録され、ライヴでもよく演奏されていた人気曲である。なにがやばいって、長い長い間奏でのブライアン・メイのギターがとにかくやばい……って、大事なことだから、2回言ったよ!

(内瀬戸久司)

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