【伝説のドラマ】KinKi Kids主演『ぼくらの勇気 未満都市2017』徹底解説!!

驚き、そして興奮と共に迎えられた伝説のドラマの20年ぶりの新作の放送日が、いよいよ今週金曜日に迫ってきた。KinKi Kidsのデビュー20周年記念として制作された『ぼくらの勇気 未満都市2017』は、1997年に放送された同名ドラマを同キャスト&同スタッフを中心に蘇らせた一夜限りのスペシャルドラマだ。1997年当時、KinKi Kidsとしてデビューして間もなかった堂本光一と堂本剛がW主演を務め、ジャニーズJr.だった嵐の相葉雅紀松本潤も出演、平均視聴率16.8%を記録した『未満都市』は、いくつもの意味で伝説のドラマだったと言っていい。

成人が感染すると死に至るウィルスが蔓延し、生き延びた子供たちだけが隔離された街、つまり20歳「未満」都市を舞台にした同ドラマは、KinKi Kids主演のアイドルドラマとしてはあまりにもショッキングな内容だった。大規模な野外ロケを敢行したリアリティ溢れる映像の中で、いくつもの死と暴力、支配と屈服を描き、その追いつめられた環境の中で団結し、立ち上がっていこうとする少年少女たちの成長の物語はあまりにも過酷で、だからこそ忘れ得ぬ語り継がれるドラマとなった。

枯渇する食料、インフラが破壊された先で繰り広げられる彼らのサバイバルの様相は、阪神・淡路大震災(1995年)後の日本社会をビビッドに反映したものだったし、難民キャンプやゲーテッド・シティを彷彿させる子供たちの隔離環境や、政府の虚偽発表、マスコミの報道規制、自衛隊の武器使用といったエピソードのひとつひとつはむしろ極めて今日的で、この2010年代の世相を先取りしていたとすら言える。ちなみに舞台となった「幕原」のモデルは、当時再開発の只中にあった千葉県の幕張。幕張やお台場(こちらも同年のドラマ『踊る大捜査線』の舞台だった)に象徴される、90年代の湾岸地域の無機質な再開発の風景もまた、このドラマの世紀末的な不穏のムードとマッチしていたのだ。

そんな、まさに攻めのドラマであった『未満都市』の真の凄さとは、ティーンに絶大な人気を誇るスーパーアイドルKinKi KidsやジャニーズJr.が出演し、そして土曜21時枠というティーン向けの時間帯に放送することで、この問題作を本当に10代にこそ届けようとしていたということだ。『未満都市』とは役柄上も、実際にも当時18歳だった堂本光一(ヤマト)と堂本剛(タケル)が、視聴者である同世代と共に闘い、共に成長し、そして「20年後に会おう」と約束を交わしたドラマだったのだ。

そう、「20年後に会おう」とヤマトたちが誓い合って終わったドラマだっただけに、こうして20年後のスペシャルが制作されるのも納得の流れではあるのだ。でも、それはけっして温い同窓会的な作品にはならないだろう。最終話、大人たちに敗北した彼らは、「ここで死ぬのは簡単だけど、死んだら意味がない」、「僕らがやらなきゃならないのは、大人になること」だと語り、「でも、あんたたちみたいな大人には絶対にならない」のだと誓った。そんなヤマトやタケルにとって、20年後の今回の再会は、かつての誓いを守り通すことができたのか、なるべき大人、誇るべき大人になれたのかを答え合わせする、審判の時でもあるからだ。現在公開されているあらすじを読むかぎり、どうやらヤマトたちの20年後の人生は順風満帆とはいっていないようだが、再びあの幕原で彼らは試練と向き合うことになる。

それにしても「キイチ」役の元ジャニーズJr.の小原裕貴の出演決定には驚いた。圧倒的な人気を誇るJr.だった彼は2000年に芸能界を引退し、現在は普通のサラリーマンをやっている人なのだ。でも、今回のスペシャルはヤマトが、タケルが、キイチが、スズコ(矢田亜希子)が、そしてモリ(松本潤)やアキラ(相葉雅紀)が、30代となった彼らが再び集まることにこそ大きな意味があったということだろう。あの約束と審判の行方が、もうすぐ明らかになろうとしている。(粉川しの)
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