オノ・ヨーコ、ショーンと共にNHK『ファミリー・ヒストリー』に出演。その創造力のルーツとは
2017.08.24 18:30
8月18日(金)に放送されたNHKの番組『ファミリー・ヒストリー』にオノ・ヨーコと息子ショーン・レノンが登場し、オノ・ヨーコのルーツを辿った。
オノ・ヨーコは昨年から自身のソロ・ミュージシャンとしての作品の数々をリマスタリングし、アナログ盤のほかCDや配信で再発するプロジェクトを行っている。その監修をショーン・レノンが務めているが、その一方でヨーコの重篤説も流れていた。しかし番組冒頭でヨーコは、大変な病気にはなってしまったが、命に関わるものではないと明言した。
番組スタッフが用意した映像資料はニューヨークにあるショーンの仕事場にて2人に向けて公開され、ヨーコの両親の小野英輔と磯子、英輔の父で藩士から財界人へと身を立てた小野英二郎、さらに磯子の実家の安田財閥らのストーリーがさまざまな関係者の証言とともに紹介された。
もともとヨーコが財閥の令嬢であったことはこれまでもよく知られていることだが、今回その実家の物語が紐解かれたことで分かってきたことは、小野家の面々にクリエイティビティや平和を希求する気質が色濃く備わってきたことだ。そのことを確認するショーンとヨーコの表情がとても印象的で、ショーンがやっぱり血筋なんだねといったことを口にしたのがとても微笑ましかった。
さらにヨーコは50年代から家族とともにアメリカへ渡航し、ニューヨークの芸術大学に通いながらそのエキセントリックな前衛芸術家としての活動を始めていく様子が説明されていった。簡単な経歴を読んだだけだとどうしても裕福な令嬢の気紛れとしか思われかねないこうしたヨーコの活動が、戦争体験や幼児期からの長い海外生活体験から生まれたさまざまな違和感の表出だということが分かり、とても納得がいく。
ある意味でアーティストとしてのヨーコの作風は突拍子もない思いつきのように思えるものが多いし、そうしたものが番組でも紹介されるが、それはヨーコが生い立ちの過程で感じてきた違和感がどこまでも純化されたものでもあるということに気づかされたところがとても秀逸だった。
こうした活動の果てに行き着いたのがジョン・レノンとの出会いだという。番組ではジョンの名作中の名作である“Imagine”が、ヨーコのコンセプチュアル・アートとしての出版作品『グレープフルーツ』の一節をそのまま発展させたものであることが示される。
さらにヨーコは、実はジョンとの共作曲であった“Imagine”をジョン名義にした理由についても触れた。当時のジョンはビートルズの3人と別れたばかりで苦悩していたため、2人で相談し、あえて共作ということにはしなかったのだという。
その後“Imagine”のミュージック・ビデオが紹介されるが、ワイプでヨーコとショーンの表情が捉えられる。字幕はジョンの歌詞を訳しているのでワイプの言葉は訳されていなかったが、ヨーコが「ジョンに会いたいわ」とつぶやき、ショーンも「ぼくも会いたいよ」と応え、およそワイプがこれほど心に染みたことはないと感じたのだった。(高見展)