THE BACK HORNが歌い続ける限り、自分の人生もこんなふうに続いていく――ベスト盤発売に寄せて

THE BACK HORNが歌い続ける限り、自分の人生もこんなふうに続いていく――ベスト盤発売に寄せて

来年で結成20周年を迎えるTHE BACK HORNが、約10年ぶり2枚目のベストアルバム『BEST THE BACK HORN Ⅱ』をリリースした。いろいろな時代の曲を改めて聴くと、そこに自分の人生も重なり合い、なんだか感慨深い心地になってきたりする。

僕は彼らがいなければ今こうして文章を書くこともなかった。そもそもの出会いは大学生の時。それまでは完全に海外ロック至上主義で、ニルヴァーナレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ブルースものしか聴かなかった。振り返ってみるとバカみたいなのだけれど、国内の音楽なんてのっぺりしていてクソじゃんとか思っていた。そんな拗らせボーイに、バイト先の先輩がTHE BACK HORNを紹介してくれたのだ。「とにかく狂ってて、ライブはよだれを垂らしながら演ってる」と言われ、「はあ……」と正直引いたのだけど、先輩の熱量に押されすべての音源を借り、初めてライブハウスにも連れて行ってもらった。もう計り知れない衝撃にぞわぞわと全身の毛が逆立ち、こんなにカッコいいバンドがいたんだ!と思った。引き込まれていった要因はまずそのサウンドだ。荒々しくカオスで野性的。かと思えばすごくきれいな瞬間もあるし、曖昧なコード感で心の隙間にスッと入ってくる場面もある。ロックに対する固定概念がどんどんブチ壊され、未知の扉が開かれる。自分にとって、それが音楽体験のひとつの形となっていった。

大学時代というのは、高校までのように何も考えないで遊んだり、ただただ反抗していればいいわけでもなく、かといって社会人のように身を粉にして働くわけでもない。一番宙ぶらりんな時期だ。何よりも辛かったのは、生きる意味が見つからなかったこと。夢も愛もない。だから感情もなくなっていくし、死んだほうが楽だというくらい、どん底にいたと思う。そんな時に僕の心臓を突き動かしてくれたのがTHE BACK HORNの歌だった。もう生きるためには叫ぶしかないというほど魂を震わせる姿に自分を投影できたし、《死にたくなるほど自由さ》(“サイレン”)とか、そう思えば本当は何でもできるんだ、という気分になれた。

その後も彼らの音楽が血となり肉となるような感覚で年を重ねたのだけど、やはり東日本大震災は大きかった。彼らが劇的な変貌を遂げたからだ。それまで生きることを歌い鳴らし続けてきた4人が、ほとんど反射的に“世界中に花束を”を作り、各地で響かせたことはものすごく納得できる。ただ開けっぴろげにオープンマインドなパワーを届けようとしたり、笑顔でフランクなMCをしたりすることに対して違和感もあった。「そんなのバクホンじゃない!」と、頭では納得しているのに身体が拒絶反応を示す感じ。少しの間、聴けなくなったりもした。でもそこには彼らの人間的成長も関係しているだろうし、何よりどんな曲を演っても根本のブレはなかったし、未知の扉を開いてきた彼らがあの状況で自身を更新し、より自覚的に音楽を伝えなければそれは逃げになると思うから、その変貌ぶりも次第に受け入れられた。するとより深いところまで彼らの音楽が響くようになった気もする。


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