星野源×細野晴臣「なんて楽しい時間なんだ」――ラジオから伝わってきたふたりの素敵な関係性

11月7日深夜1時から放送された『星野源のオールナイトニッポン』には8日にアルバム『Vu Jà Dé』をリリースした細野晴臣がゲストで登場した。


この番組に細野が登場するのは今年1月以来。その間にあった出来事として5月にNHKで放送された、細野が星野の長男役で出演した『おげんさんといっしょ』の話に。星野が番組をやる際最初にイメージしたのが、2001年に同じくNHKで放送されたコントあり演奏ありの細野の音楽番組『細野晴臣イエローマジックショー』だったことを明かし、そこから自身と細野との付き合いを振り返っていた。

星野が自身の音楽遍歴を語るうえで必ずといっていいほど名前が挙がるのが細野晴臣だ。高校時代、細野のソロアルバム、通称「トロピカル三部作」に影響を受けた星野はその後、インストゥルメンタルバンドSAKEROCKを結成。ラジオで語られたように、フェスの楽屋で挨拶をしてからは対談連載を2007年から続けている。星野がマリンバを叩くようになったのも細野が叩いている写真を見たのがきっかけで、初めて対談連載をする際には星野がその写真の細野のコスプレをして会いに行ったというファンっぷり。歌うことに踏み出せなかった星野にアルバムを作るように誘ったのも細野で、まさに音楽家・星野源にとって恩人のような存在だ。

前回、この番組に細野がゲストで出演した時と同様、今回もお互いが選曲し合って語り合うという放送だった。星野が1曲目に選んだのは対談連載の時、話によく出てくるというディアンジェロの“Playa Playa”。細野曰く当時、世界中のミュージシャンが聴いていたというディアンジェロに思わず「気持ちいい」、「たまらないね」と唸るふたり。続いて、細野の選曲はスライ&ザ・ファミリー・ストーンの“Frisky”。これに強く影響し作られたのが、細野が小坂忠に提供した“ほうろう”で、星野は“Frisky”よりも前に“ほうろう”を先に聴き興奮したという当時の自分に代わって「本当にあの時はありがとうございました」と感謝。細野も「やっぱり音楽聴いて興奮するっていいね」と語り、音楽を聴き語り合う楽しさに浸っていた。

CMを挟み行われたのは「イントロクソやべえ」のコーナー。細野が3曲選び、星野がイントロを聴いて1曲だけフルでかけられるというもの。エディ・コクラン“Summertime Blues”、フリー“All Right Now”、デイル・ホーキンス“Susie Q”の3曲のイントロを聴いた星野はいずれも「最高」と唸るも悩んだ挙句、今回、細野がアルバムでカバーもしているデイル・ホーキンス“Susie Q”を選曲。星野もオリジナル版を知らなかったという楽曲で、リスナーと一緒に知らない曲を知る楽しさを共有できた時間だった。

再び、選曲し合うコーナーに戻り、星野はザ・ビーチ・ボーイズの“I Just Wasn't Made for These Times”を選んだ。ディアンジェロ同様、対談連載で名前が挙がるそうで、細野はリアルタイムで聴き衝撃だったと語る。ザ・ビーチ・ボーイズの来日公演で星野が前座を務めた話にもなり、客席から細野が見ている状況に星野は「未だに信じられない」と振り返っていた。細野が最後に選んだのはザ・テンプテーションズの“I Wish It Would Rain”。いずれ、日本語詞に直してカバーしようと思っていると明かした。

“I Wish It Would Rain”の良さを語り合っている中で星野が「なんて楽しい時間なんだ」と笑いながら話していたのが、こちらにも伝わってくる放送だった。好きなものを心から「好き」だと言い、語り合っている時間は聴いているこちらも楽しい。また、それは星野と細野の素敵な関係だからこそ出てくるものだろう。途中、この放送を聴いているという娘のアヤさんに星野が「こんばんはー」と呼びかける場面も。好きなせんべいの話やタイトスカートの話をしていてもふたりが普段連載でこんな感じで話しているんだろうなー、という穏やかな感じが伝わって来るし、音楽もお互いの趣味を知り合っているから「好きそうだね」と紹介するのが微笑ましい。

星野にとって細野は倍近くも年の離れている、プロになる前から聞いてきた音楽界の大先輩でありながらも、仕事を共にする機会が出来てから10年以上になる。今回の放送のはじめに細野がその長さを振り返り「古い友達じゃない」と話していたが、放送を聴き終えると本当にそう思えてくる。星野が細野を尊敬している様子が終始伝わってきながらも、お互い音楽談義や昔話で笑い合ったり感動し合ったりする声は、さながら年の離れた友達のようだった。(菊智太亮)

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