2016年に行われたアリーナツアー「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016」とホールツアー「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016 -SUBJECTIVE LATE SHOW-」にまつわる映像が中心となっているが、演奏シーンはさほど多くはない。メンバー4人と関係者へのインタビュー、ファンの声や表情、過去の映像、舞台裏やプライベートの様子、そして演奏シーンをもとに、批評と愛をもって構成されている。「こんなところまで映し出していいのだろうか?」という衝撃や、「この楽曲はこんなにも深かったのか!」という発見もあり、それらはピュアな視点を持つ監督・松永大司だからこそ切り取れたものだろう。
2004年に解散してから、メンバー個々にいろいろなことがあった。再集結後も、自身の体調不良や身近な人の死にぶつかって苦悩することもあった。それでも、ステージに立つときは徹底してきらびやかであり続ける――そんな4人の「THE YELLOW MONKEYとしての矜持」は、これぞロックスターだ!と感激させられるほど、美しい。ステージ以外を見せるのはロックスターではない? いやいや、すべての生き様を楽曲やライブにぶつけてこそのロックスターだ。私は、彼らにそう教えられたことを、今作を観て改めて思い出した。4人の表情は笑顔が多く、THE YELLOW MONKEYであることを心から楽しんでいることが伝わってきた。ヒリついた場面もあったが、それも乗り切れる信頼関係の強固さが、オフステージの様子やオンステージのグルーヴには表れていた。今作は、そんなロックバンドというひとつの「家族」の絆を、象徴するような場面の宝庫になっている。
そして、ファンが大いにフォーカスされているところも印象的だった。ライブ前のインタビューで「生で観られるなんて!」と感激している若い男の子から、子連れのお母さん、そして映像にはおばさまやおじさまも、たくさん見受けられた。メンバー4人だけではなく、ファンも彼らの解散から、様々な道を歩んで、今、ひとつの場所に集結しているのだ。こういった背景も想像させられることで、映画の人間臭さが増している。
彼らにとっても、僕らにとっても、バラ色の日々を追い求める物語は、まだまだ続いていく。そこでぶつかる出来事に、彼らの楽曲がシンクロすることは、きっと必然なのだ。何故なら、時代や生き様を、彼らほど鮮やかに描けるロックバンドは、なかなかいないのだから――そう思える、「ドキュメンタリー」と呼ぶに相応しい映画である。(高橋美穂)