ニック・ケイヴ、一連の反対要請を経てイスラエル公演の敢行を決意。「彼らに立ち向かう」


現地時間11月19日と20日にイスラエルでの公演を予定しているニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズに対し、ロジャー・ウォーターズサーストン・ムーアらなどがこの公演を取りやめるよう促す公開書簡を発表したことは先日報じた通りだが、バンドは予定通りイスラエル公演を行う意向を示した。公演のチケットは2日間とも完売しているという。

「NME」によると、ニック・ケイヴはこの件に関し以下のように話しているという。

私たちは20年ほど前に初めてイスラエルでの公演を行い、その時にはツアーも何度か行いました。個人的にも、イスラエルには深い繋がりを感じているのです。愛国心などと言いますが、私は心のどこかで、言葉では説明しきれない(イスラエルとの)関係性を持っていると言えるでしょう。


ザ・バッド・シーズが最後にイスラエルで公演を行ってから20年ほど経つというが、それから今回の公演までの間に、ブライアン・イーノから「アーティスツ・フォー・パレスチナ UK」への参加を誘われたのだと明かす。

「アーティスツ・フォー・パレスチナ UK」はロジャー・ウォーターズやサーストン・ムーアらも参加しているイスラエルへの文化的なボイコットを訴える団体だが、ニック・ケイヴは「直感的に」加入を拒んだのだと以下のように話す。

(サインを勧められた)リストには、なんとなく疑わしいものがあった。しかしリストにもサインせず、イスラエルで公演を行うわけでもない自分に気がついたんだ。そしてその事実が、とても臆病な選択に見えてしまった。


その後熟考の上イスラエル公演の敢行を決意した理由について、ニックはこう語っている。

(イスラエルで公演を行うことが)突然、自分にとって重要なことになったんだ。ミュージシャンたちを休業させ、脅し、検閲し、黙らせようとしている彼らに立ち向かわないといけないってね。

公演が終わったあと、自分がなぜイスラエルにいるのか、そこには2つの理由があるだろう。1つはイスラエルという国を愛していて、イスラエルの人たちも愛しているということ。そして2つ目は、道義的に正しい態度で、ミュージシャンたちに対して検閲や沈黙を求めようとする人に立ち向かうこと。

だからある意味、BDS(ボイコット・資本引き上げ・制裁運動)が私のイスラエル公演を敢行させたのだとも言えるね。


なおニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズのこの決断に対し、イスラエルへの文化的かつアカデミックなボイコットを求める団体、「PACBI」は「テルアビブで演奏することが単に音楽の問題だけではないことを証明してくれたニック・ケイヴに感謝する」と、皮肉を交えた声明文を発表している。


ロジャー・ウォーターズからニック・ケイヴへ宛てた書簡も含め、「アーティスツ・フォー・パレスチナ UK」からニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズへのイスラエル公演中止要請の流れは以下の記事より。

ロジャー・ウォーターズら、ニック・ケイヴのイスラエル公演に反対。公開書簡の邦訳掲載
現地時間11月19日と20日にイスラエルのテルアビブで公演を予定しているニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズに対して、ロジャー・ウォーターズ、サーストン・ムーアらなどがこの公演を取りやめるよう促す公開書簡を「アーティスツ・フォー・パレスチナ UK」のサイト上に発表している。 ロジャー・…