ロジャー・ウォーターズら、ニック・ケイヴのイスラエル公演に反対。公開書簡の邦訳掲載

ロジャー・ウォーターズら、ニック・ケイヴのイスラエル公演に反対。公開書簡の邦訳掲載

現地時間11月19日と20日にイスラエルのテルアビブで公演を予定しているニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズに対して、ロジャー・ウォーターズサーストン・ムーアらなどがこの公演を取りやめるよう促す公開書簡を「アーティスツ・フォー・パレスチナ UK」のサイト上に発表している。

ロジャー・ウォーターズらはこれまでにもパレスチナ自治区におけるイスラエルの実質的な支配とパレスチナ人への抑圧的な政策へ批判の声を上げており、近年ではイスラエルへの文化的なボイコットを訴える団体「アーティスツ・フォー・パレスチナ UK」との連携を続けてきている。

今年の7月にはレディオヘッドがやはりテルアビブでライブを行い、その際にも「アーティスツ・フォー・パレスチナ UK」はレディオヘッドに公演の中止を促す公開書簡を発表。トム・ヨークは「Rolling Stone」に対し「ぼくたちにはまともなモラルを持ち合わせた判断ができないって決めつけられてるんだからね。完全に上から目線で言ってるし、それで当然だと思ってるところがぼくには信じられないよ。本当に驚いちゃうよね」と反応したことに対し団体がさらに反論するなど、批判の応酬が起こっていた。

最終的にレディオヘッドは、バンドにとって大ブレイク曲となった1992年の“Creep”が世界で一番最初にヒットした国でもあるイスラエルへの公演を予定通り敢行し、ここ11年では最も長いセットを披露することに。その後、イタリア公演を経て『ア・ムーン・シェイプト・プール』の世界ツアーを終えている。

公開書簡の中で、今回もロジャーたちはイスラエルに入国しないよう促しており、最近の国連の報告書で「イスラエルはパレスチナ人を支配する差別的な体制を確立している」と断定されているとの旨をバンドに呼び掛けている。

さらに、パレスチナ自治区では作家などが実質的に自宅軟禁状態に置かれていること、文学的なイべントは開催を阻止され(ニック・ケイヴは詩人としても活躍している)、俳優やミュージシャンらは旅行や移動を禁止され、ソーシャル・メディアは常に監視され、メディアそのものが根絶されているという自治区での現実にも言及。そうした状況でパレスチナ自治区へのイスラエルによる不法な入植活動が行われていることを指摘している。

これに続いて、次のようにも公演決行の再考を促している。

テルアビブへの公演を加えたほかのアーティスト同様、あなたたち自身は(イスラエルの)ネタニヤフ首相には反対だというかもしれません。しかし、アーティストがイスラエル政府や当局を支持するかしないかなどというのはどうでもいいことなのです。(国際的に著名な)アーティストがイスラエルでの公演を希望するかどうかが重要なのです。公演を希望することによって、現状が受け入れられているように見えてしまうからです。

だからこそ、7月のレディオヘッド公演をイスラエルの外務省がわざわざ称賛することになったのです。そしてイスラエルのメディアはレディオヘッド公演をこぞって「昨今ではイスラエルにとって最良のハスバラ(有利な宣伝材料)になった」と褒めそやすことになりました。

ノーム・チョムスキー(アメリカの哲学者)は最近、パレスチナ人の人権が無視されていることを隠蔽するために利用される、いかなるイスラエルへの訪問への反対の意思を表明しています。ぜひ、あなたたちがチョムスキーに同意することを願います。


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