P・T・アンダーソン監督、ダニエル・デイ=ルイスとの2度目にして「最後」の共作を語る

P・T・アンダーソン監督、ダニエル・デイ=ルイスとの2度目にして「最後」の共作を語る

12月25日に全米公開を控えるポール・トーマス・アンダーソン監督作品『Phantom Thread(原題)』だが、主演のダニエル・デイ=ルイスがこの映画を最後に俳優業を引退することを発表したことは以前報じた通りだ。

この度監督のポール・トーマス・アンダーソンが「Rolling Stone」のインタビューに答え、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)に続き2度目のタッグを組むことになったダニエル・デイ=ルイスとの最後の共作について語っている。

まず、本作の脚本の執筆にも深く関わったというデイ=ルイスとの10年ぶりの共作が実現したきっかけについて以下のように明かしている。

もちろん、ダニエルとはいつでもまた一緒に仕事をしたいと思っていた。でも、また共作するために気を急く必要はなかったんだ。(中略)でもある時、時計の針が音を立てて動き出したような気がしてね。

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のあと、彼も僕も2本の映画をこなしていた。タイミングはぴったりのように思えたんだ。「僕は今何もしていない、君も何もしていない、じゃあやってみようよ!」っていう感じでね。


しかし撮影中、デイ=ルイスが俳優業から引退することを発表することとなる。

彼が真剣だったから、とても重い気持ちになったことを覚えてる。何ヶ月もの間、僕は自分に「しばらくはこの件を脇に置いておくことにしよう、今は他にやるべきことがあるから」って言い聞かせ続けてきてたんだ。

でも、もう考えないといけない時がやってきたね……(中略)彼には少し休憩が必要なだけなんだって信じたいよ。でも本当のところは分からない。とりあえず今のところはそんな風には見えないし、僕たち全員が暗い気持ちになっているよ。


また、引退を決意した理由のひとつとして「悲しみに襲われてしまった」ことを挙げていたデイ=ルイスだが、ポール・トーマス・アンダーソン監督はこのことについて以下のように考えているという。

彼の代弁はしたくないんだけど、最終的にはこの映画を観ることができるわけだろ。それってとても軽やかでありつつ、ある意味で不条理を感じることでもある。

制作の過程は憂鬱なものだったと言えるよ。憂鬱な日がたくさんあった。レイノルズ(デイ=ルイスの役名)は気難しくある必要があったし、彼のことを愛していた女性に辛く当たる必要もあったから。

こう言えば分かるかな……週5日働いたあと、君を愛する女性の首に手をかけないといけないとしたら……なかなか大変なことだよね。


2007年の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』で初のタッグを組んだ2人だが、本作は第80回アカデミー賞で監督賞と主演男優賞にノミネート、主演男優賞を受賞する結果となった。

この他に『マイ・レフトフット』(1989年)と『リンカーン』(2012)でも主演男優賞を受賞しているデイ=ルイスだけに、『Phantom Thread』での4度目の受賞が期待されている。
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