基本的に僕の人生において、僕が決断していることってないんです。この人がいたからこっちに足を踏み込んだ。それを振り返って『あのとき決断したんだな』と思うんです。(中略)そうすると、ある程度、誰かが僕を作っている感覚があるんです。もう大体の芯はブレない、ブレないという自信が年々ついてきているから、表層的な部分――僕にとっては、決断すらももはや表層なんですけれど――それは人に委ねているところはあります
好きな言葉は『一』、一生(いっせい)の一です。やっぱり、始まりの衝動って超えられないと思うんです。欲しかったスケートボードを買ってもらって、そのスケートボードに乗った瞬間ほど最高に輝く瞬間がないのと一緒で、それ以上に最高の瞬間って絶対来ないんです。そういう始まりの『一』ってやっぱり忘れてはいけないところだと思うから、『一』は孤独だし好きな言葉です
さらに、映画『blank13』で監督を務めた齊藤工が高橋についてじっくり語ったインタビューも掲載されている。撮影で共に過ごした時間は「“監督と主演”の関係性を超えた、結婚よりももっと深いもの」だったと話すほど、高橋と濃密にタッグを組んだ齊藤工にしか語れない「高橋一生像」が満載だ。
日本にも面白い役者さんはたくさんいらっしゃいますけど、一生さんの方向から表現している人って稀有だなと思います。みんな未熟なほうから背伸びして役に到達しようとしているけど、一生さんは先のほうから調弦している感じがする。(中略)僕の世代はみんな、一生さんが次はどういう芝居をするのかに注目しているんです。それだけは見届けないといけないって思ってしまうような、ちょっと異次元の存在です
このほか、過去作で高橋が演じたキャラクターを振り返るコラムも掲載されている。その確かな演技力や、色気の漂う佇まいなど、あらゆる魅力を放つ一方で、どこかミステリアスな存在である高橋。そんな彼にあらゆる角度から迫り、高橋一生の実像を浮かび上がらせる必見の特集だ。