THE ORAL CIGARETTESが描いておかなければならなかった新曲“ReI”という光について

THE ORAL CIGARETTESが描いておかなければならなかった新曲“ReI”という光について - 『ReI』『ReI』


大阪城ホールワンマン「Diver In the BLACK Tour 〜ReI of Lights〜」の翌日、2月16日からフリーダウンロード公開されているTHE ORAL CIGARETTESの新曲“ReI”。オーラルの新たなアクションのひとつとして立ち上げられた「ReI project」の公式サイトでダウンロードできるほか、各サブスクリプションサービスでも配信されている。公式サイト上に記された山中拓也(Vo・G)のメッセージに触れれば、“ReI”に託された思いの大きさや無料配信の意図を汲み取ることができるはずだ。

この曲は昨年末までの「Diver In the BLACK Tour」各地公演で披露され、また来場者向けにパスワード制で未完成の音源が限定公開されてきた経緯がある。多くのファンはオーラルのこの曲に込めた思いの大きさを受け止め、そしてバンドと同じように正式な一般公開まで“ReI”を大切に見守ってきたわけだ。

個人的に、大阪城ホール公演の最後に初めて触れた“ReI”は、そこに辿り着くまでのステージ上のオーラルのダークで妖艶な爆発力が余りにも凄まじかったため、ひときわ眩く異彩を放つ楽曲として衝撃をもたらしてくれた。約2年の構想を経て誕生したという“ReI”は、まさに掻き消されることのない一縷の光明として、確かなエネルギーを放射していたのである。

オーラルというバンドは、社会や人の心に巣食う闇と真っ直ぐに向き合い続けてきたバンドだ。アルバム『UNOFFICIAL』のフィナーレや、そのツアーを締め括る武道館公演の本編は“LOVE”という共闘のための眩いエネルギーが配置されていたが、そんなふうにオーラルは極限状態へと追い込まれたときにこそ光を放つ。そして災害という理不尽に襲い来る闇と向き合ったときに、どうしても彼らは“ReI”という光を描いておかなければならなかった。シリアスな思いだけを歌詞にして綴りながら、そこにどうにか光を差し込ませる音楽を、ロックを鳴らさなければならなかったのだと思う。

明るく温かなものだけに心を奪われていては、人の表現は脆弱なものにしかならない。だからこそオーラルというロックバンドは、その影になる部分、闇を見つめ続けてきた。ならば、巨大な闇の裏側にも差し込む光はあるはずだ。そして2年の歳月をかけ、微かな光をたぐりよせ纏めあげるように、オーラルは“ReI”を紡ぎ上げた。“ReI”という光もまた、人々の協力なしには成立しないものだ。「ReI project」という呼びかけや無料配信は、その思いを裏付けている。(小池宏和)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする